文献情報
文献番号
200100763A
報告書区分
総括
研究課題名
内耳遺伝子治療の導入に関する研究(総合研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成13(2001)年度
研究代表者(所属機関)
山岨 達也(東京大学医学部耳鼻咽喉科)
研究分担者(所属機関)
- 鈴木光也(東京警察病院耳鼻咽喉科)
- 加我君孝(東京大学医学部耳鼻咽喉科)
- 浅野知一郎(東京大学医学部糖尿病内分泌内科)
- 石本 晋一(東京大学医学部耳鼻咽喉科)
研究区分
厚生科学研究費補助金 先端的厚生科学研究分野 感覚器障害及び免疫アレルギー等研究事業(感覚器障害研究分野)
研究開始年度
-
研究終了予定年度
-
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
内耳における有効な遺伝子導入の方法を確立し、遺伝子治療による内耳障害の予防および治療法の基礎的研究を行う。
研究方法
1)In vitroで成熟モルモット蝸牛・前庭・半規管を培養し、LacZ遺伝子組み込みアデノウィルスベクター投与による遺伝子導入可能細胞の分布について検討した。実体顕微鏡下に組織観察し、surface preparationおよび凍結切片にてもLacZ遺伝子の分布を観察した。2)アデノウィルスベクタモルモット鼓室階に反復投与し、内耳障害をABRおよび有毛細胞のカウントで評価したのち、デキサメサゾン予防投与の効果を評価した。3)改良型アデノウィルスベクターと生食を蝸牛中央階に投与し、内耳障害はABRで評価し、免疫染色にて遺伝子の導入された細胞を調べた。4)音響外傷およびカナマイシンとエタクリン酸による内耳障害動物を作成し、アデノウィルスベクターを蝸牛鼓室階に注入して、遺伝子導入される細胞分布の正常動物との違いをを調べた。
(倫理面への配慮)
ヘルシンキ宣言を遵守した。
(倫理面への配慮)
ヘルシンキ宣言を遵守した。
結果と考察
C.研究結果
In vitroの培養では蝸牛では外有毛細胞および外柱細胞・ダイテルス細胞に初めて遺伝子導入できた。前庭でも有毛細胞およびその下の支持細胞に遺伝子導入ができた。アデノウィルスベクターの反復投与では中等度の感音難聴と有毛細胞変性がみられたが、デキサメサゾンの予防投与により、ほぼ完全に予防できた。改良型アデノウィルスベクターの蝸牛中央階投与では生食投与と同等の細胞障害であり、コルチ器に広汎に遺伝子導入できた。音響外傷・薬剤性内耳障害動物で遺伝子導入できた細胞分布は正常とほとんど差がなく、現在遺伝子発現効率の違いの傾向を評価中である。
D.考察
培養においてin vivoで遺伝子導入できなかった有毛細胞や支持細胞に遺伝子導入できたことは、投与法を工夫すればこれらの細胞に遺伝子導入できる可能性を示している。デキサメサゾンがアデノウィルスベクター反復投与の内耳障害を予防したことで臨床における内耳遺伝子治療の反復投与の可能性が開けた。また改良型アデノウィルスベクターの開発により直接蝸牛感覚上皮のある中央階への投与の可能性も開けた。
In vitroの培養では蝸牛では外有毛細胞および外柱細胞・ダイテルス細胞に初めて遺伝子導入できた。前庭でも有毛細胞およびその下の支持細胞に遺伝子導入ができた。アデノウィルスベクターの反復投与では中等度の感音難聴と有毛細胞変性がみられたが、デキサメサゾンの予防投与により、ほぼ完全に予防できた。改良型アデノウィルスベクターの蝸牛中央階投与では生食投与と同等の細胞障害であり、コルチ器に広汎に遺伝子導入できた。音響外傷・薬剤性内耳障害動物で遺伝子導入できた細胞分布は正常とほとんど差がなく、現在遺伝子発現効率の違いの傾向を評価中である。
D.考察
培養においてin vivoで遺伝子導入できなかった有毛細胞や支持細胞に遺伝子導入できたことは、投与法を工夫すればこれらの細胞に遺伝子導入できる可能性を示している。デキサメサゾンがアデノウィルスベクター反復投与の内耳障害を予防したことで臨床における内耳遺伝子治療の反復投与の可能性が開けた。また改良型アデノウィルスベクターの開発により直接蝸牛感覚上皮のある中央階への投与の可能性も開けた。
結論
公開日・更新日
公開日
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更新日
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