アルツハイマー病における神経細胞死促進機構の解明と抑止方法の開発(総括研究報告書)

文献情報

文献番号
200100613A
報告書区分
総括
研究課題名
アルツハイマー病における神経細胞死促進機構の解明と抑止方法の開発(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成13(2001)年度
研究代表者(所属機関)
田平 武(国立療養所中部病院長寿医療研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 巻淵隆夫(国立療養所犀潟病院)
  • 大八木保政(九州大学大学院医学系研究科附属脳神経病研究施設神経内科)
  • 工藤喬(大阪大学大学院医学系研究科生体統合医学神経機能医学講座)
  • 秋山治彦(東京都医学研究機構東京都精神医学総合研究所)
研究区分
厚生科学研究費補助金 先端的厚生科学研究分野 脳科学研究事業
研究開始年度
平成12(2000)年度
研究終了予定年度
平成14(2002)年度
研究費
32,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
この研究はアルツハイマー病、特にプレセニリン1(PS1)、プレセニリン2(PS2)変異によって起こるアルツハイマー病に見られる神経細胞死の促進機構を明らかにし、その中から発症を予防し、進行を抑止する方法を開発することを目的とする。
研究方法
・PS1トランスジェニックマウス及びヒト剖検脳を用いて、免疫組織化学的にAβ40、Aβ42の神経細胞内蓄積の有無及び分布を明らかにする。更に、免疫電顕によりその局在を明らかにする。・Aβ42と結合する蛋白質の細胞死促進機構との関連を明らかにする。・細胞内Aβ42によるアポトーシス誘導機構、とくにP53プロモーター活性化機構を明らかにする。・PS1変異とERストレスとの関係を明らかにする。
結果と考察
・アルツハイマー病患者におけるマイネルト核の神経細胞においても細胞内Aβ42の蓄積を示すニューロンが高頻度に見られることが明らかとなった。・Aβ42の細胞内局在を明らかにする為に免疫電顕を行なったところ、特定の細胞内小器官ではなく、cytosolである可能性が高くなった。・Aβを捕捉するグリピカン1を見出した。・Aβ42はP53プロモーターに結合し、その結合は核内蛋白質により制御されている可能性を示す結果を得た。・ERストレスはAβ産生を増強し、AβはERストレス脆弱性を誘導することを明らかにした。以上よりPS変異による神経細胞死促進機構が少しずつ見えて来た。今後はこれらの点を更に詳細に検討し、細胞抑制機構に関する研究を重点的に行なう必要がある。
結論
PS変異はAβ42産生増強、ひいては細胞内蓄積を引き起こし、神経細胞死を促進している。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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