関節拘縮の力学解析に基づく治療機器の開発(総括研究報告書)

文献情報

文献番号
200100325A
報告書区分
総括
研究課題名
関節拘縮の力学解析に基づく治療機器の開発(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成13(2001)年度
研究代表者(所属機関)
赤居 正美(国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 薄葉真理子(筑波技術短大理学療法学科)
  • 白崎芳夫(独立行政法人産業技術総合研究所人間福祉医工学)
研究区分
厚生科学研究費補助金 総合的プロジェクト研究分野 障害保健福祉総合研究事業
研究開始年度
平成13(2001)年度
研究終了予定年度
平成15(2003)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
廃用性変化の代表である関節拘縮の力学解析に基づく治療機器の開発であり、3年間に達成すべき研究目標は、外力に対する関節の細胞応答と組織変化を解析して、弾性限界内の周期的外力を利用した手指用の関節拘縮治療機器の製作を行うことにある。
研究方法
動物モデルを用いた実験から開始し、関節拘縮の程度を力学的解析に基づく定量的評価によって把握し、種々の条件での治療効果を比較することで、有効性の裏付けを持った治療機器を開発する。3年計画において、概ね以下の3項目を各年度の中心に置くが、機器の試作については初年度から試験設計を開始する。
①拘縮の程度の計測システムの確立:ラットによる膝関節拘縮モデルを用い、関節の力学解析システムを構築する。物性の異なる複数の組織系からなる関節構造を評価するため、関節に加振機を用いて振動荷重を与え、生じた加速度や振動変位を加えた力との関係で求める手法を用いる。
②拘縮に影響を及ぼす力学因子の把握と生体への拡張:経時的に変化させた種々の関節拘縮条件での解析を押し進めると同時に、臨床例への応用をはかるために、人体の小関節用に向けた拘縮程度の計測部品を開発する。
③関節拘縮の治療機器の試作:手指関節の関節拘縮を対象とし、駆動装置と手指に装着する作動部分を連結し、一定の運動パターンを記憶させた上、その時間を延長し、さらに弾性限界内において周期的伸張力を加える治療機器を製作・評価する。動物実験から得られた治療に有効な条件をもとに、コンピュータ制御下にプログラムを組み立てる。
結果と考察
1)計画に基づくシステム図に従い、関節に加振機を用いて振動荷重を与え、それにより生じた加速度や振動変位を、周波数毎に加えた力との関係で求める力学計測装置システムを組み上げ、取り付けジグ、試験装置台を含めて完成させた。動物から摘出した拘縮モデルでの計測を開始した。
2)ラットの膝関節を実験モデルとしたが、従来の非吸収糸の縫合手技による関節拘縮モデルに代わり、鋼線とスクリューを用い、より固定力を高めた実験系を構築した。拘縮の完成した6週後に鋼線とスクリューを抜去し、拘縮改善のための種々の牽引伸長力を加え、軟部組織を中心にした力学試験を行った。3)駆動装置(アクチュエータ)の設計には未だ取りかかれず。しかし治療装置の基本的な試験設計のうち手指に装着する作動部分の設計を開始した。屈伸とともに牽引力等も加えられる機構を目指し、第一測範製作所および芝浦工業大学に委託し試験設計を行っている。
結論
交付研究費の減額のため、委託により機器の試験設計を行う計画が一部未達成となったが、初年度の2目標は達成できた。
①振動応答を計測する力学計測システムを組み上げ、取り付けジグ、試験装置台を含め完成させた。
②鋼線とスクリューを用いて強固に膝関節を固定するラットの拘縮実験モデルを構築した。
③関節に屈伸とともに牽引力等も加えられる機構を組み込んだ治療機器の作動部分の設計を開始した。

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