身体障害者福祉法における障害認定の在り方に関する研究 (総括研究報告書)

文献情報

文献番号
200100310A
報告書区分
総括
研究課題名
身体障害者福祉法における障害認定の在り方に関する研究 (総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成13(2001)年度
研究代表者(所属機関)
木村 哲彦(日本医科大学整形外科医療管理学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 長谷川恒範(全国生活協同組合)
  • 佐藤忠(岩手県立大学社会福祉学部)
  • 植村英晴(社会事業大学教授)
研究区分
厚生科学研究費補助金 総合的プロジェクト研究分野 障害保健福祉総合研究事業
研究開始年度
平成11(1999)年度
研究終了予定年度
平成13(2001)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
外国研究、理論研究、総合的評価法の研究、実態調査等により、現状の身体障害者の範囲・認定方法を検討際の基礎資料を提供する。
研究方法
医学領域については、従来の「機能障害」に重きをおいた障害評価から、「能力障害」、「機能障害」、「社会的不利」の側面からの総合的評価法の確立に向けての検討を前年度に引き続いて行った。
福祉領域については、社会モデル、環境モデル、少数派モデル、市民権モデル、機能モデル等いろいろな障害モデルについて、文献研究により、その内容について整理した。関連制度の分析では、機能障害以外の認定基準を用いているといわれているフランスとイギリスを取り上げ、詳細な検討を行った。
結果と考察
医学領域においては、比較的共通する要素の抽出から「社会的不利」の評価項目を検討すると、いわゆる神経心理学的検査に加えて、日常生活関連動作でもある、買い物、料理、公共の乗り物利用、衛生への配慮、郵便局など公共施設の利用ができるか、仕事場あるいは学校などの環境で他人との協調性を保てるか、自らの意志で作業や日課が組めるか、時間どおりに課題がこなせるか、インデックスカードのファイリングなどのパフォーマンスが一定の集中力・持続力をもってこなせるか(パーフォーマンステスト)などが評価項目の候補になると考えられた。福祉領域については、英国の障害モデルの特徴は、障害を個人対社会という対立構造でとらえていることであり、米国の特徴は、障害者をマイノリティーとしてとらえる市民権モデルが中心であることと、機能モデル、生態学モデルという経済的な観点が導入されていることであった。
関連制度の分析では、フランスでは、視覚障害と聴覚障害を除き、能力低下を認定基準として活用しているとしているが、具体的な認定基準をみると、能力低下を判断する基準として医学的診断が随所にみられることから、結果としては、機能障害の認定基準とあまり変わらないものであることがわかった。また、イギリスの障害認定制度については、就労不能給付(Incapacity Benefit)についての認定基準について詳細を検討した。本制度の認定基準も医学的診断を重視しているものの、認定の最終決定権は、医師ではない判定員がもっており、環境的要因も考慮して決定される点に特徴があった。今後は、具体的な認定基準のあり方について詳細をつめる必要があると考えられる。
結論
医学領域においては、「社会的不利」の評価項目を検討した。福祉領域については、各種障害モデルの特徴を明らかにした。関連制度の分析では、フランス及びイギリスの障害認定制度について特徴を分析した。

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