脳障害に伴う失認による生活機能障害の評価と生活支援に関する研究

文献情報

文献番号
200100302A
報告書区分
総括
研究課題名
脳障害に伴う失認による生活機能障害の評価と生活支援に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成13(2001)年度
研究代表者(所属機関)
荒木 信夫(埼玉医科大学神経内科)
研究分担者(所属機関)
  • 三村 將(昭和大学医学部精神医学教室)
研究区分
厚生科学研究費補助金 総合的プロジェクト研究分野 障害保健福祉総合研究事業
研究開始年度
平成12(2000)年度
研究終了予定年度
平成13(2001)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
(1).脳損傷後に生じる種々の高次脳機能障害について、日常生活機能や行動面での変化を評価すること、(2).さらにその知見に基づいて脳損傷患者の生活支援プランを立案すること。
研究方法
半側空間無視をとらえる検査法として,直線の二等分,探索抹消課題,模写課題,読み(漢字と横書き単語)などを用いるとともに,患者家族からの情報をもとに,食事の際の不都合,また左側の障害物への衝突の有無などを考慮し,機能障害の程度をあらわし検討した。
2000年度に作成した包括的な基礎的神経心理検査バッテリーと、記憶・遂行機能に関する行動的評価法に基づき、2001年度は引き続き、高次脳機能障害患者の臨床的評価を継続した。2002年3月末までの症例エントリーは総計40名である。引き続き初回・第2回評価を継続中である。
結果と考察
半側空間無視の検討に関しては、2002年度3月末現在までのエントリー症例数は23例(脳出血3例、脳梗塞20例)であった。半側空間無視の患者ではすべての検査で有意に低得点であった
行動学的な遂行機能に関しては、Behavioural Assessment of Dysexecutive Syndrome (BADS), Tinkertoy test (TTT)ともに明らかに高次脳機能障害患者群では不良であった。両者の関連については、BADSの下位検査のうち鍵探し検査とTTTの総得点との間に有意な相関が見られた(p<.005)。鍵探し検査とTTTとはいずれも課題の自由度が高く、遂行機能のうち計画の実行や行動のモニタリングなど、比較的共通する要因が多いと思われた。また、BADSのなかのDEX(遂行機能障害に関する質問表)を用いて評価した患者の日常生活上の問題点については、行動面や情動面に比べて認知面での評点が患者自身と家族とでは解離していること、行動・情動・認知の各側面はBADSの下位検査とも相関のパターンが異なることが示唆された。
結論
高次脳機能障害患者群では行動学的な遂行機能が不良であり、これは患者の日常生活の障害を反映していると思われた。社会的予後の指標となり得るか否か、引き続き評価を行っていく予定である。

公開日・更新日

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