文献情報
文献番号
200100132A
報告書区分
総括
研究課題名
日本におけるヘルスプロモーション展開方法とその発展途上国での適応に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成13(2001)年度
研究代表者(所属機関)
岩永 俊博(国立公衆衛生院)
研究分担者(所属機関)
- 松田正己(静岡県立大学)
- 塩飽邦憲(島根医科大学)
- 仲間秀典(信州大学)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 社会保障国際協力推進研究事業
研究開始年度
平成11(1999)年度
研究終了予定年度
平成13(2001)年度
研究費
2,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
近年、国際協力の動きとして地方自治体からも専門家が発展途上国などへ派遣されるようになりつつある。しかし、施設、設備などハード面での支援ではなく、地域での保健活動の戦略モデルや展開方法の移入となると、日本型モデルの展開に対する、プライマリー・ヘルス・ケアやヘルスプロモーションなどの視点からの分析が十分ではなく、ややもすれば、日本での展開方法をそのまま移入しようとする過ちを起こす危険性をはらんでいる。そこで、今回の研究では、現在日本で試みられている、地域を基盤とした住民参加型目的志向型のヘルスプロモーションモデル(SOJO model)に対して、発展途上国への適応という視点から分析し、その展開の核となる要素を抽出し、国際協力としての適応の可能性を検討することを目的とした。
研究方法
研究の経過としては、以下の手順を取った。 ①途上国の社会背景による特徴とSOJO model 適応の可能性について、文献及びバングラディシュの予備的聞きとり調査などから検討した。②他のモデルとの特徴の違いによる使い分けについて、タイ北部パヤオ県を中心に行われているAIDS Competent Tanbon Projectに関連するPWAの当事者グループなどの地域組織に対して、発展の経過などの聞きとり調査を行い、その経過を分析し、発展要因についてモデル適応の視点から検討した。③SOJO model 実践のためのスーパーバイザー育成の可能性につて、一般行政職に対するトレーニングセミナーにおいてスーパーバイザーの役割を果たした人たちの経験からスーパーバイザーの役割を果たすための要点やスーパーバイザー育成のための課題などの抽出を試みた。④SOJO model のヘルスプロモーションの視点から見た特徴付けの再点検として、出雲市での実践事例及び認知心理学的な観点から、参加型目的描写法の改善について検討を行った。
結果と考察
まず、日本型ヘルスプロモーションモデルとして、地域づくり型保健活動(SOJO-Model)をとりあげ、その特徴を検討した。それはこのモデルが、①欧米型民主主義の発達した地域ではなく旧来型むら社会の人間関係の存在するコミュニティ、②地方分権とはいいつつも中央集権的色彩の強い行政組織、③住民からの行政依存性、政治依存性の傾向が強い地方公共団体と住民との関係などを背景としており、そのような社会的背景をもつプロセスモデルであることが、国により多少の違いはあるものの同様な背景を持つ発展途上国での適応の可能性を検討するに際して、このモデルを「日本型」として検討の対象とした理由である。その特徴として、①保健活動の目的を、地域住民の健康な暮らしの具体的な姿として描くという目的志向的であること、②そこで描いた目的の実現を統合的に志向し、そのための方法を住民や多分野の人たちで一緒に考え決めていくという、住民とのパートナーシップ、③そのような経過をたどって出来た計画書に基づいて活動を始め、途中経過を検討しながら進めていくという展開プロセスを概念化したモデルであることなどがあげられた。発展途上国においてヘルスプロモーション活動を進める条件として、国民生活の安定、既存の保健活動の実践的経験、地方分権や住民参加に対する政策決定者の理解などがあげら、実践にはさまざまな課題があることが示唆された。しかし、ヘルスプロモーションの実践を目指すことは時代的にも潮流であり、小さなコミュニティからでも試み、課題解決の方法を実践的に検討することの必要性も提示された。次年度以降において、バングラディッシュ、ブラジルなどで実践的に適応の可能性を検討する予定である。
結論
発
展途上国においてヘルスプロモーション活動を進める条件として、国民生活の安定、既存の保健活動の実践的経験、地方分権や住民参加に対する政策決定者の理解などがあげら、実践にはさまざまな課題があることが示唆された。しかし、ヘルスプロモーションの実践を目指すことは時代的にも潮流であり、小さなコミュニティからでも試み、課題解決の方法を実践的に検討することの必要性も提示された。
展途上国においてヘルスプロモーション活動を進める条件として、国民生活の安定、既存の保健活動の実践的経験、地方分権や住民参加に対する政策決定者の理解などがあげら、実践にはさまざまな課題があることが示唆された。しかし、ヘルスプロモーションの実践を目指すことは時代的にも潮流であり、小さなコミュニティからでも試み、課題解決の方法を実践的に検討することの必要性も提示された。
公開日・更新日
公開日
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更新日
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