医療コストと診療報酬に関する調査研究

文献情報

文献番号
200100104A
報告書区分
総括
研究課題名
医療コストと診療報酬に関する調査研究
課題番号
-
研究年度
平成13(2001)年度
研究代表者(所属機関)
松田 晋哉(産業医科大学)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生科学特別研究事業
研究開始年度
平成13(2001)年度
研究終了予定年度
-
研究費
2,187,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、診療報酬をめぐる基本的問題を根幹から見直すことを目標に、医療機関経営と診療報酬のあり方、医療機関のコスト分析の方法、個別の医療行為のコスト分析の方法、診療報酬における技術料と病院管理コストの二分法による評価体系、診療科特性や技術の難易度を適正かつ公平に評価することを目的とした、診療行為間の相対的な定量化の具体的方法などについて、主任研究者及び研究協力者のこれまでの研究成果に基づいて総合的な検討を行った。
研究方法
研究は研究課題に関連して、主任研究者及び4名の研究協力者がこれまで行ってきた研究をセミナー方式で発表し、それを全体で討論する形式で行った。発表内容は次の通りである。第1回研究会平成(13年11月12日)医療コストと診療報酬(産業医大・松田晋哉: 欧州、特にフランスにおける診断群分類を活用した病院医療におけるコスト分析例を紹介た)。第2回研究会平成(13年11月25日)医療コストについて(東京医科歯科大学・川渕孝一: わが国におけるこれまでの診断群分類研究の概要及び外保連試案を用いた医療コストの検討の結果等について紹介)。第3回研究会平成(14年3月25日:診療報酬とコスト(学習院大学・遠藤久夫: アメリカのRBRVSを利用した相対評価を内科系診療を対象として行い、その妥当性を検討した結果について説明)、診療報酬と病院経営について(九州大学・尾形裕也: 国内のいくつかの病院について経営分析を行った事例をもとに、診療報酬体系について、特に経常的経費、投資的経費のそれぞれとの関係について整理)。
結果と考察
本研究会における検討の結果、以下のような知見が得られた。(1)断群分類を活用した標準的なコスト評価体系を導入することで、一定程度、経常的コストと資本的コストの分離とその施設別あるいは傷病別の特性を明らかにすることができる。(2)そのようなコスト分析においては、医師の技術料をいかに評価するかが課題になるが、これについては、アメリカのRBRVSやフランスのCCAPなどのように、個々の診療技術を平均的に使用する資源の量に対応して相対化することが必要になる。その上で、医療職の標準給与などを設定し、分析を行うことになる。いわゆるわが国の外保連試案はそのような試みであり、今後これを試験的に用いた詳細な研究が必要である。一方、内科系については外科系のように個々の診療技術を分離して評価することが難しく、今後の検討課題である。(3)上記のような検討を踏まえた上で、経常的経費及び資本的経費と診療報酬との関係について今後、議論が必要である。
結論
本研究により、診療報酬と医療コストについて検討するための課題をある程度、整理することができた。今後、この問題を解決するためには、標準的な手法による医療機関のコスト分析が必要である。そのためには、分析の単位となるケースミックスの定義が必要であり、現在、研究が進んでいる急性期診断群分類に関する検討結果を踏まえて、コスト分析の研究を行っていく必要がある。この際、外来医療については分類の策定ならびにコスト計算の範囲をどのように設定するかなど、解決すべき課題が多く、したがって、急性期入院医療からこの問題の検討を行っていくことが妥当である。また、すでにわが国におけるいくつかの先行研究ではRBRVSとわが国の診療報酬表の対応付けなどが行われていることから、そのような結果を用いて、欧米の事例をもとにコスト分析を行っていくことも可能である。本研究の成果については「急性期試行診断群分類を活用した調査研究」におけるコスト分析等に今後反映されることが望まれる。

公開日・更新日

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