高位頚髄損傷者のリスクマネジメントに関する研究(総括研究報告書)

文献情報

文献番号
200100100A
報告書区分
総括
研究課題名
高位頚髄損傷者のリスクマネジメントに関する研究(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成13(2001)年度
研究代表者(所属機関)
関 寛之(国立身体障害者リハビリテーションセンター)
研究分担者(所属機関)
  • 牛山武久(国立身体障害者リハビリテーションセンター)
  • 佐久間肇(国立身体障害者リハビリテーションセンター)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生科学特別研究事業
研究開始年度
平成13(2001)年度
研究終了予定年度
-
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高位頚髄損傷者の生命を維持する上で最も重要な人工呼吸器の使用について、リスク要因を分析してそれに対応した在宅リスクマネジメントの確立を目的とする。
研究方法
① 我が国では高位頚髄損傷者の生活の実態や支援システムのモデルがないため海外も含めた文献研究を行った。② 国立身体障害者リハビリテーションセンター病院退院後で在宅に生活する高位頚髄損傷者、国立伊東重度障害者センター入所の頚髄損傷者およびせきずい基金に登録している会員で、在宅に生活する高位頚髄損傷者を対象に、郵送によるアンケート調査、心理テストを行い頚髄損傷者の心理負担、経済負担、不安要因などの分析を行った。また、在宅に生活する高位頚髄損傷者については、その主たる介護者についても、本人同様の心理テストを行い、介護者の心理状態についても検討を行った。アンケート調査では、人工呼吸器使用状況の観察、リスクデータの収集を主目的とした。③ これをもとに自己管理プログラム、介護者の対応マニュアルに必要な事項の抽出を行った。④ 高位頚髄損傷者の安全な在宅生活を確保するために、どのような社会資源の整備が必要かを検討し、有効な支援体制のありかたについて提言した。⑤ 吸器装着の高位頚髄損傷者が自宅復帰、屋外での社会活動するための条件を、車椅子の視点から国立身体障害者リハビリテーションセンターでの取り組みについてまとめた。
結果と考察
①在宅生活を送る高位頚髄損傷者は施設入所者と比較して、有意に緊張・不安、抑うつ、混乱の傾向が高く、また、その介護者には抑うつと疲労が大きい傾向があること、②在宅の高位頚髄損傷者の多くは外出が少なく、外出をしても呼吸器のトラブルや呼吸器症状への対応(痰の吸引など)に不安が強いこと、③一般的に頚髄損傷について安心して対応をまかせられるかかりつけ医(医療機関)をもっていることが少ないこと、などが明らかになり、今後の医療機関・福祉のネットワーク作りおよび介助人員・費用負担を含めたの支援施策の重要性が浮き彫りになった。また、在宅での呼吸器管理にあたっての医療従事者以外の家族、ヘルパー、訪問看護婦などの関わり方についても法整備も含めた検討が必要と考えられた。そして、在宅呼吸管理のマニュアル作りに重要な事項を抽出した。また、人工呼吸器装着の高位頚髄損傷者が自宅復帰、屋外での社会活動をするための条件を車椅子の視点からまとめた。
結論
在宅生活を送る人工呼吸器装着の高位頚髄損傷者のリスクマネジメント確立を目的に、実際の在宅生活する当該障害者および家族を中心とした介護者を主な対象に、アンケート調査および心理評価調査を行った。在宅の人工呼吸器装着の高位頚髄損傷者および家族の心理状態には、不安や抑うつ傾向が強くみられた。かかりつけ医あるいはすぐに入院対応可能な医療機関に乏しいこと、電動車椅子で外出することは非常に少ないこと、家族以外の介護者確保が難しいことなどの実態が明らかになった。この結果と海外を含めた文献検討により、在宅呼吸管理のマニュアル作りに重要な事項が明らかになった。
また、人工呼吸器装着の高位頚髄損傷者が自宅復帰,屋外での社会活動するための条件として、姿勢の確保、クッションの選択、手押し式車いすの採寸、電動車いすの選択、ベッドと車いすの移乗、電動車いすの操作訓練、介助者への指導について、国立身体障害者センターの取り組みについてまとめた。
今後の医療機関・福祉のネットワーク作りおよび介助人員・費用負担を含めたの支援施策の重要性が重要であり、在宅での呼吸器管理にあったっての医療従事者以外の家族、ヘルパー、訪問看護婦などの関わり方についても法整備も含めた検討が必要と考えられた。

公開日・更新日

公開日
-
更新日
-