社会保障制度の枠内での少子化対策に効果的育児支援(総括研究報告書)

文献情報

文献番号
200100013A
報告書区分
総括
研究課題名
社会保障制度の枠内での少子化対策に効果的育児支援(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成13(2001)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 眞理子(岩手県立大学社会福祉学部)
研究分担者(所属機関)
  • 山崎泰彦(上智大学社会福祉学科)
  • 福田素生(岩手県立大学社会福祉学部)
  • 駒村康平(東洋大学経済学部)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究事業
研究開始年度
平成12(2000)年度
研究終了予定年度
平成13(2001)年度
研究費
2,450,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
子育て支援には保育サービス・育児相談などの育児(ケア)負担軽減と子育てにかかる経済的負担軽減と2面ある。認可保育サービス、地域子育て支援事業などは前者であり、児童手当、市町村による第3子の保育料軽減などは後者である。しかし同じ制度システムでないと、両方受けられる場合と家庭育児で所得制限もありどちらにも恩恵に浴さない場合がでてくる。そこでより公平な社会保障の枠内での社会保険方式による育児支援を構想する。つまり育児という保険事故への現金給付の正当性を探り、その中に保育サービスの現物給付も包括する育児保険である。育児の社会化を社会保障の枠内で具現化し、育児の地位を向上させ、少子化対策にも有効である。
研究方法
平成13年度は児童が受ける公的給付・サービスを育児保険との関係から財源論的に、また個別受給額の面から比較検討する。児童手当の変遷と現在の課題、育児休業、学童保育、幼稚園就園奨励金、保育サービスの実態と課題を実践家や専門家からヒアリング調査をする。同時に、省庁や関係団体の資料をもとに分析調査を行う。文献・資料調査として欧州の育児休業、保育の代替え現金給付、サービス利用券の実践例なども参考に、保育サービス・就学前教育を組込んだ育児(家族)保険の可能性を探る。
結果と考察
保育サービス実践家、保育事業経営者のヒアリングからは、認可保育利用者と家庭育児の不公平さが裏付けされた。同時に育児中女性の再就労への意欲の高さと同時にその準備のための一時保育、リフレッシュのための臨時保育の必要性も認識された。また社会保障の世代間相互扶助の考え方から、次代の担い手を育てるための社会保険による育児支援の正当性と意義が実証された。また家庭育児への公平な社会サービスとして欧州の家族政策は保育サービスと関連した現金給付の例もあり、何らかの家庭育児への経済的支援の必要性が証明された。
結論
在宅介護と施設介護を統合し、医療と連携の上の役割分担である介護保険制度を参考にして、保育サービスや幼稚園教育も統合できる育児保険構想は極めて時代の要請に合っている。よって北欧の家庭育児、保育利用両者に公平な育児手当、在宅サービスと施設介護を包含した介護保険に連動して、日本で可能な育児保険を構想する。このような実質的かつ普遍的な育児支援こそ長期的に少子化対策にも効果的である。我が国の家族政策として将来プラスに機能し、社会保障の次代の担い手、基盤整備につながる。

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