社会保障政策が育児コストを通じて出生行動と消費・貯蓄行動に及ぼす影響に関する研究(総括研究報告書)

文献情報

文献番号
200100009A
報告書区分
総括
研究課題名
社会保障政策が育児コストを通じて出生行動と消費・貯蓄行動に及ぼす影響に関する研究(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成13(2001)年度
研究代表者(所属機関)
金子 能宏(国立社会保障・人口問題研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 永瀬伸子(お茶の水女子大学大学院人間文化研究科)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究事業
研究開始年度
平成12(2000)年度
研究終了予定年度
平成13(2001)年度
研究費
7,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
育児コストの変化は家計の可処分所得の変化を通じてその消費や貯蓄に影響を及すことに配慮しながら、子育て支援策などの社会保障政策が女性の出生行動や就業行動、家計の消費・貯蓄行動に及ぼす影響を実証分析することにより、多様化する人々のライフサイクルに対応する社会保障政策のあり方を検討する。
研究方法
育児コストと女性の出生行動、就業行動及び家計の消費・貯蓄行動との関係を把するために「国民生活基礎調査」を利用した分析と育児コストを費目別に尋ねるアンケート調査を実施する。また、これらの分析と対比しながらライフサイクルの多様性に応じた社会保障政策のあり方を考察するために、カナダ日本社会保障政策研究円卓会議を通じて協力しているカナダとの国際比較を行う。
結果と考察
平成13年度は、平成12年度から行ったカナダとの国際比較で重要であることがわかった子育て期に仕事と家庭を両立しようとする際の心理的負担の有無についての調査項目を含むアンケート調査を、小学生6年生以下の子供を持つ女性を対象に実施した。また、育児コストのその他の面の実証分析を「国民生活基礎調査」を用いて行った。特に、アンケート調査から、教育費など育児コストの軽減が女性の就労や子供を持つ可能性を大きくすること、出産・育児によって離転職を余儀なくされるために女性の退職金は少ないこと、子育て期の心理的負担を軽減する必要性が明らかになった
結論
少子高齢化の進展により将来の国民貯蓄が低下することが予測されている今日、社会障政策が育児コストを通じて女性の就労と育児に及ぼす影響と、その影響が女性自身の引退後の生活に備えた貯蓄行動に及ぼす影響を同時に考慮する必要がある。出産、育児により離転職を余儀なくされる場合の多い女性に対する社会保障を充実させるためには、育児コスト軽減の財政的援助のみならず、就業継続を心理的に支える子育て期の夫、職場、社会の支援、及び離転職しても不利にならない企業年金を含む年金制度体系の整備が必要であると考えられる。

公開日・更新日

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更新日
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