新指標“有効歯根表面積"を用いた定量的相対的評価法による歯の将来残存予測評価法の開発に関する研究(総括研究報告書)

文献情報

文献番号
200001143A
報告書区分
総括
研究課題名
新指標“有効歯根表面積"を用いた定量的相対的評価法による歯の将来残存予測評価法の開発に関する研究(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成12(2000)年度
研究代表者(所属機関)
渡邊 達夫(岡山大学歯学部)
研究分担者(所属機関)
  • 梅村長生(愛知三の丸病院)
  • 滝沢秀彦(愛知県歯科医師会)
  • 山本龍生(岡山大学歯学部附属病院)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究事業
研究開始年度
平成12(2000)年度
研究終了予定年度
平成13(2001)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
歯の残存状態に歯槽骨骨吸収のレベルを加味した現在歯の健全度は、「全ての現在歯における歯根膜との線維性結合を有する歯根の表面積の総和」の大小によって近似的に表すことができるという基本的な考え方から、現在歯数、個々の現在歯の歯種、及びそれぞれのアタッチメント・レベルという三つのファクターをもとに得られる“有効歯根表面積"という歯科健診のための新しい指標を用いて、「歯の喪失状態」だけでなく「残存歯の歯牙支持組織の喪失状態」をも勘案した現在歯の健全度を測る評価方法の確立を目指す。
研究方法
通常、加齢に対する歯牙の喪失曲線は40~50歳代から増加傾向が強まるため上に凸の曲線となるが、平成5年歯科疾患実態調査報告のデータを使ったシミュレーションにより、20~80歳の範囲でマクロ的に見た有効歯根表面積はある程度加齢に逆比例して直線的に減少するという仮説を設定した。このシミュレーションの妥当性を実測値で確認するため、300名の歯科健診データを収集し、分析した。また、シミュレーションでは円柱状の歯根を想定し、アタッチメント・ロスによる変化を一定と考えていたが、実際の歯根は根尖に近づくほど細くなることより、補正が必要となる。そこで、抜去歯を用いてアタッチメント・レベルごとの歯根表面積を測定する方法を確立した。
結果と考察
臨床データを分析した結果、有効歯根表面積をy、年齢をxとして、y=-48.79x+7264.5という近似直線が求められ(決定係数:0.945)、仮説が検証された。また、抜去歯の歯根表面積を測定する方法としては、合成樹脂を用いたmembrane technique法とコンピューターによる画像解析を組み合わせ、確立した。その再現性は、変動係数で約5%であった。今後は、有効歯根表面積が加齢と共に直線的に減少する特性を応用して明確に各年齢における8020目標値を設定することで、被検者が8020達成に関して可能域と危険域のどちらにあるかを相対評価する予定である。また、抜去歯を用いてアタッチメント・レベルによる各歯種の残存歯根表面積を推定する近似式を求めることにより、臨床データからの有効歯根表面積の算出をより正確にしていく予定である。
結論
現在歯の残存歯根表面積の総和を表す「有効歯根表面積」という新たな指標を設定し、残存歯の健全度の判定と歯の残存状態の予測を行う手段になりうるかどうかを検討した。まず、平成5年度歯科疾患実態調査のデータから、有効歯根表面積が年齢の増加と共に直線的に減少するという仮説を設定した。この仮説は、実測値による分析で証明された。また、有効歯根表面積を正確に予測するための基礎的研究として、抜去歯の歯根表面積を求める再現性の高い方法を確立した。

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研究報告書(紙媒体)

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