早期退院と継続ケアを可能にするケアプラン・システム・マネジメントに関する研究(総括研究報告書)

文献情報

文献番号
200001094A
報告書区分
総括
研究課題名
早期退院と継続ケアを可能にするケアプラン・システム・マネジメントに関する研究(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成12(2000)年度
研究代表者(所属機関)
島内 節(東京医科歯科大学)
研究分担者(所属機関)
  • 石井英禧(石心会狭山病院)
  • 中澤典子(石心会狭山病院)
  • 設楽美佐子(石心会狭山病院)
  • 丸茂文昭(東京医科歯科大学)
  • 杉山孝博(石心会川崎幸クリニック)
  • 友安直子(東京医科歯科大学)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
平成12(2000)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
S病院においてディスチャージプランニングを推進するための様々な試みをおこなた。本年度研究では、以下の2点を明らかにすることを目的とした。一連のディスチャージプランニングのための施策が退院患者の身体的・精神的・社会的準備状況にどのような成果をあげたか。(患者・家族の退院準備の評価研究)ディスチャージプランニングのための教育が看護婦のアセスメントとケアプラン作成能力にどのような変化をもたらしたか。(看護婦に対する教育効果研究)
研究方法
(患者・家族の退院準備の評価研究)ディスチャージプランニングの諸施策実施前の平成12年1月11日~平成12年4月10日の3ヶ月間に入院した患者・家族群83名と諸施策実施後の平成12年11月10日~平成13年1月10日の3ヶ月間に入院にした患者・家族75名を対象にして、患者・家族の退院準備状況を明らかにするために、退院準備状況に関する質問18項目で作成された自記式の質問紙を用いて調査した。そして両群の退院準備状況の違いをみるために、各質問項目に対する回答をそれぞれ点数化し、質問事項毎に両群の比較をノンパラメトッリク検定(Mann-Whitney test)で行なった。
(看護婦に対する教育効果研究)ディスチャージプランニング対する教育実施前の平成11年12月27日~平成12年1月4日に看護職員78名と教育実施後の平成13年2月15日~平成13年2月23日に看護職員90名を対象にして、モデル事例について問題点・ニーズの特定、ケアプラン作成を行なってもらい評価をした。評価には、本研究者らが作成したモデルプランをもとに、問題領域の特定ができ、プランが立てられる場合を2点、問題領域が特定できる場合を1点、できない場合を0点とした。その2群の評価の変化を見るためにノンパラメトッリク検定(Mann-Whitney test)を行なった。すべての分析には、SPSS10.0Jを使用した。
結果と考察
(患者・家族の退院準備の評価研究)ディスチャージプランニング実施前の有効回答は73名(有効回答率87.9%)で、後の有効回答は71名(有効回答率94.6%)であった。対象の属性で、両群に有意な差はなかった。「ADLの理解」「ADLの受容」「緊急時の対応」「居住環境の準備」「衣料処置の方法」(p<0.05)について、実施後の群に退院準備状況が良くなる結果が見られた。
(看護婦に対する教育効果研究)対象の属性で、両群に有意な差はなかった。教育実施前と比較して教育実施後の看護婦群のほうが「コミュニケーション・聴力障害の検討」(p<0.05)「ADL/IADLの低下・リハビリテーションの検討」「転倒の危険性の検討」「歯・口腔ケアの検討」「排泄ケア・コントロールの検討」(p<0.01)について問題点・ニーズの特定、ケアプラン作成能力に向上が見られた。
結論
ディスチャージプランニング導入は患者の退院準備状況の改善した。ディスチャージプランニング導入のための教育は、看護婦のアセスメントとケアプラン作成能力を向上させた。

公開日・更新日

公開日
-
更新日
-