痴呆性老人グループホームの適正かつ効果的な運営とケアスキル開発に関する研究

文献情報

文献番号
200001090A
報告書区分
総括
研究課題名
痴呆性老人グループホームの適正かつ効果的な運営とケアスキル開発に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成12(2000)年度
研究代表者(所属機関)
中島 紀恵子(北海道医療大学看護福祉学部)
研究分担者(所属機関)
  • 北川公子(北海道医療大学看護福祉学部)
  • 太田喜久子(宮城大学看護学部)
  • 大久保幸積(特別養護老人ホーム幸豊ハイツ)
  • 長井巻子(痴呆性老人グループホームもえれのお家)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
平成13(2001)年度
研究費
-円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
痴呆性高齢者グループホーム(以下GHと略す)の運営においてスタッフの質の維持向上のための資質として要求されるもの、また能力獲得のための訓練学習のあり方ならびに組織的な研修教育に適した教育プログラム開発を目的とした。
研究方法
本研究は2つの研究プロジェクト(以下N班、O班と呼ぶ)によって進められた。N班はGHの場の全体状況の中で働く当事者が求めるスタッフの資質及び資質開発へのニードの所在の解明にあたった。方法は、現任のGH管理者2名とGHづくり指導者1名を対象としたインタビュー調査を行ない、KJ法による定性的分析によった。O班のねらいは、GH従事者に対する組織的効果的な教育・研修の教育内容の開発におかれた。このために先駆的に開設し実績を評価されているGHのうち5ヶ所の創始者、管理者(リーダーを含む)に対する聞き取り調査を行った。主な内容としては、開設動機・期待、方針、スタッフの資質、研修の条件内容への意見等である。これを資料に記述分析を行った。
結果と考察
1.インタビューの対象者であるGH管理者は、利用者、スタッフのポテンシャルな能力を見出すことで自己の能力の強化とGHケアにおける理念のための課題を獲得している。また、管理者のリーダーとしての自己期待は上司のGH運営に関する行動指針との共有と両者の信頼に基づく柔軟な権限付与の構造によって強化される。2.管理者はその役職に与えられたリーダーとしての資質とスタッフの資質に期待される内容は異なると考えている。3.スタッフ教育の方策として有用なのは、相方向の対話型による洞察力訓練と気づきの訓練プログラムである。リーダーの訓練では、スーパービジョンのプログラムが有用である。4.組織的研修では次の展開方式をとり入れる必要がある。①共通言語を用いたコミュニケーションがとれるようにな教育内容にする。②できるだけマニュアル化を避ける。③スタッフ一人一人が、感じる、考える、熟慮する、創造する、見出す、問題意識を持つ。課題に向き合い解決していこうとする。④一方的な講義形式は最小にし、スタッフが自ら参加するグループワーク、実習などの体験学習を多くする。体験学習では、体験した内容を振り返り、まとめることで、体験からの学びを深める。⑤比較対照からの学びをとり入れる。⑥事例学習をとり入れ、学びを統合させ、理解を深める。5.異なるGHのタイプに応じた教育・研修プログラムが必要である。
結論
1.GH経営者の力量として、組織体制を設定することよりもGHの運営に関する行動指針を管理者に明示し、権限をゆだねることに対する信頼へのメッセージ力のある方が管理者の能力の強化に結びつく。2.スタッフの資質強化における教育のためには、管理者の発信受信能力のスキル訓練とスーパービジョンの機会提供が重要である。3.インタビューから明示できたスタッフの資質に関する事項はスタッフ採用のスキル開発の可能性をもつ。4.今後、詳細なプログラムの作成、研修の実施、試行、プログラムの修正を経てプログラム開発されていく必要がある。

公開日・更新日

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