文献情報
文献番号
200001067A
報告書区分
総括
研究課題名
医療への応用を考えた画像を用いたバーチャル基礎技術研究(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成12(2000)年度
研究代表者(所属機関)
辰巳 治之(札幌医科大学医学部)
研究分担者(所属機関)
- 村上弦(札幌医科大学医学部)
- 高沖英二(メタコーポレーションジャパン)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
平成12(2000)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
米国国立医学図書館(NLM)で行なっている Visible Human Project(VHP)のデータ(正常人体の全身の横断画像データ)や情報G7の subproject 8 によるMulti-lingual Anatomical Digital Databaseの活動を参考にし、人体の解剖学的構造物をバーチャル技術で表現し活用するのに必要な要素技術の調査研究を行い、それに基づきプロトタイプの開発を行い、次世代のネットワーク(NGI:Next Generation Internet)を使った利用実験をする。
研究方法
昨年度までに開発したシステムを何処からでもバーチャルに利用できるようにシステム構築を行い、情報G7のGIBN(Global Interoperability for Broadband Network)の日米高速衛星通信実験を行った。医療系における高度応用を念頭に大規模ネットワークにおける通信環境の改善策の検討も行い、実証実験を行った。さらに、我々の開発した高速処理のできるNetwork Multi-parallel Computingのシステムの米国からの利用実験も行った。これらのシステムを使い、解剖学的構造物のClusteringを行い三次元再構築し、バーチャルに認識できるようにComputer Graphicsにて表現できるようにした。
結果と考察
昨年度までに開発したVHP viewerを使い、圧縮縮小画面にて任意断面を選び、原画像を種々の環境のネットワーク経由で取得する実験を行った。NFS(Network File System)とFastEther及びSwitching Hubを用いてLAN上にデータを置いて利用する場合、マシンーンに直接データを置いたときと比べて、実用上は全く苦にならないものであった。次に、高速衛星通信を利用して同様の実験をおこなったところ、N-starとIntelsatの2つの衛星を使って(OC12,OC3の回線で、実際には45Mbps程度の速さ)通信をすると、往復で約一秒程のtimelagがあるため、NFSの場合殆んど利用できないほど遅くなった。そこで、timedelayを解消するというXTP(Xpress Transport Protocol)[http://www.mentat.com/xtp/xtp.html]を使って改善を試みたが、効果なく、FTPの約100倍ほど遅く全く使い物にならなかった。XTPは、一般的なTCPにおけるtime delayの問題は回避できるが、NFSを利用出来るほどには改善しなかった。しかし、PFS(Personal File System)[http:/! /www.spa.is.uec.ac.jp/~tate/pfs/] を利用すると、最初のリクエストからデータが送られてくるまで一秒の遅延は入るが、そのあとは連続してデータが送られてくるので、十分に使えるものであることが分かった。さらに、高度な応用を考えると、利用者にとっては、横断面、矢状断面、前額断面だけでは、不十分である。そこで、任意断面(斜めの断面)も表示できるようにした。原画像と同じ精度の任意断面を作成するのに一台のコンピュータでは約2000秒かかった。そこで、科学技術振興調整費によるSensible Human Projectで我々が開発した、Network Multiparallel Computingのシステムを利用すると、約1-2秒で画像生成ができた。Network Multiparallel Computingとは、35台のパソコン(Mac OSX server: UNIX マシーン)をFastEtherで接続し、さらにControl Computerを置き、それが35台をコントロールし、端末プログラムは、Control Computer一台と通信するだけで、高速処理した結果を得られるようにした。エンドユーザーにとっては、Localにデータがあるのか、Remoteにデータがぁw)? るのか、Network Multiparallel Computing Systemを利用しているのkuゥ意識しなくても良いようになっている。但し、縦横2000x5000画素のデータであるので、実際観察する時には端末の画像観察コンピュータの性能に依存してしまい5秒前後はかかる。この札幌医大のシステム
を米国NLMから利用してもらい、良い成果を得た。バーチャル技術の一つとして、ネットワークを活用し、実際のデータが何処にあるかを意識しないでも利用できるようにするには、データの転送スピードなど、エンドユーザーの利用環境における機器の反応速度が重要になってくる。また、インフラのネットワークのことを意識しないでもつかえるようにする為に、経路制御が自動的に行われる必要がある。今回、衛星を使った経路と地上線を使った経路が、衛星リンクが落ちているときには、自動的に地上線に切り替えられるシステムを構築し実験的に切断したところ、1分以内に切れかわり、よい結果を得た。解剖学的な構造物のオブジェクトモデル化については、上記の、Viewerをつかって、解剖学の構造物を、各構成単位毎に扱えるようにsegmentationを行い、構想物の輪郭を抽出し、その二次元データをメタボールを使って三次元データに変換・u桙オて行った。このデータをイメージスコアと云う形式により表現し、コンピュータグラフィックスにより描画することにより、断面だけでは理解しにくいものが、リアルに理解できるようになった。
を米国NLMから利用してもらい、良い成果を得た。バーチャル技術の一つとして、ネットワークを活用し、実際のデータが何処にあるかを意識しないでも利用できるようにするには、データの転送スピードなど、エンドユーザーの利用環境における機器の反応速度が重要になってくる。また、インフラのネットワークのことを意識しないでもつかえるようにする為に、経路制御が自動的に行われる必要がある。今回、衛星を使った経路と地上線を使った経路が、衛星リンクが落ちているときには、自動的に地上線に切り替えられるシステムを構築し実験的に切断したところ、1分以内に切れかわり、よい結果を得た。解剖学的な構造物のオブジェクトモデル化については、上記の、Viewerをつかって、解剖学の構造物を、各構成単位毎に扱えるようにsegmentationを行い、構想物の輪郭を抽出し、その二次元データをメタボールを使って三次元データに変換・u桙オて行った。このデータをイメージスコアと云う形式により表現し、コンピュータグラフィックスにより描画することにより、断面だけでは理解しにくいものが、リアルに理解できるようになった。
結論
高速衛星通信によるremoteのデータやシステム利用は、うまく工夫すれば実用に耐えられる。すなわち、プロトコールによりerror recoveryの為のcheckが何度も入ると、その度毎にdelayが換算され、今回のように2台の衛星を使うと使い物にならなかった。しかし、表面的にはNFSのように見せかけ裏でFTPにてデータを取得するように工夫されているPFSを採用したところ所望の結果を得た。また、Network Multi-parallel Computingを利用に際しては、XTPにより利用できた。今回の情報G7の実験では、常時、衛星通信を利用できるのではなく、限られた時間帯のみの実験であった。それでは基礎実験に支障を来たすので、NGI (Next Generation Internet) である APAN(Asia Pacific Advanced Network)[http://alloc.apan.net/status/vha-colab.html]などの地上線を利用することになった。ただ、その度毎にネットワークを再構築するのは非常に困難であるので、大きなネットワークプロジェクト同士の経路制御プロトコールであるBGP4(Border Gateway Protocol version 4)を使って経路の・u梵リり替えを自動的に行った。この場合、衛星リンクが使えるときには、衛星を、衛星が使えなくなったときには自動的に地上線が選択されるようにした。実際、衛星が繋がっているときに、実験的に衛星リンクを切断したところ約一分以内に、経路が自動的に切れかわりエンドユーザーとしては余り切断を意識しないでも使える環境が構築できた。この成果は既に、北海道開発庁の北海道広域医療情報ネットワークに活用されている。このようなfail saveを考えた安定したネットワークのインフラ設計が医療・医学系での利用には必要であることを実感した。
公開日・更新日
公開日
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更新日
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