医療機器の医療におけるテクノロジーアセスメントに関する研究

文献情報

文献番号
200001062A
報告書区分
総括
研究課題名
医療機器の医療におけるテクノロジーアセスメントに関する研究
課題番号
-
研究年度
平成12(2000)年度
研究代表者(所属機関)
櫻井 靖久((財)医療機器センター(東京女子医科大学))
研究分担者(所属機関)
  • 古川 孝((社)電子情報技術産業協会医用電子機器事業委員会)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
平成12(2000)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療機器を正しく開発、普及、使用するためには適正な技術評価(Technology Assessment)が不可欠であり、またそのTAを具体的に行うためには透明性の高い評価方法を研究する必要がある。
このため、医療機器を医療現場に導入する場合、どのような側面からのTAが必要か、将来の医療機器の開発の考え方も含め諸外国の実態調査の研究を行うと共に、医療技術としての定量的評価基準のあり方等について検討することを目的とした。本年度は、医療機器の医療におけるTAをその利用者の立場に立って分かり易いものとするため、次の目標を立てて実施した。
①評価項目を4種類の立場毎に整理すること。
②各評価項目の基準値について考え方を示すこと。
③具体的事例を研究し、本TA手法の適用可能性を検討すること。
④普及発展のための進め方を提言すること。
研究方法
1)立場毎の評価項目
医療のおける立場を次の4つに分けた。
①巨視的立場(行政、国家)、②中間的立場(医療機関など)、③中間的立場(企業など)、④微視的立場(患者、個人など)
この4つの立場に対し、昨年検討済みの評価項目を当てはめ、改めて整理した。
2)各評価項目の基準
共通的な基準もあるが、立場によってその重みづけの異なる可能性があるので、立場毎に検討した。
また、その表現法として、レーダーチャート法の他に新たにインパクトファクターを検討した。
3)具体的な事例による検討
次の技術、機器、用具について、その第一人者から実情を聴取した。
①PTCA 笠貫 宏(東京女子医科大学付属日本心臓血圧研究所教授)
②人工軟骨 越智 光夫(島根医科大学整形外科学教室教授)
③ハイパーサーミア 桑野 博行(群馬大学医学部第一外科学教室教授)
④脳ドック 田辺 功(朝日新聞東京本社編集委員室編集委員)
4)進め方の検討
研究班会議の中で進め方を検討し、提言化した。
結果と考察
1)TAのための評価項目
網羅的な評価項目に対し、各立場毎に強調されるべき項目を整理した。項目の比較からも、立場による重要度の差が明らかとなり、活用の方向が示唆された。
2)基準化と表現
基準化の考え方を整理し、その結果をレーダーチャートとして分かり易い表現法を示した。また一方、インパクトファクターを示し、一つの数値で医療機器の医療における貢献度を示す可能性を示した。
3)具体的事例調査の結果
①PTCA:PTCAの例数は非常に多いが、再閉塞率も高く、医療費としてみるとCABGの方が安いことになる。しかし、開胸術とカテーテル法との比較から、患者は肉体的負担の軽減と再閉塞の危険を選択しているようである。
②人工軟骨:バイオテクノロジーの成果であり、技術革新が大きく、日本独自の技術になり得る状況にある。その市場は米国でも大きいと考え、すでに相当額の自己細胞培養軟骨が使用されている。
③ハイパーサーミア:外科領域で技術として確立されつつある。特に癌治療法として、我が国のレベルが高いが、レーザや超音波の様に異なる手法があり、評価が少し難しい一面がある。現在、保険の点数評価について検討中で、経済的評価に力点がある。
④脳ドック:脳ドックは保険診療外であり、高額な脳画像装置が全国に普及した一因でもある。この検診に対する早期発見率は必ずしも高くないが、個人の立場では是非にも利用したいと考えられるような重要疾患と扱っている。
以上の状況に対して、本調査研究の手法は適用可能であるが、定量データの収集が課題となった。
4)進め方について
常設のTA実施組織が必要であること、またTAに用いる基礎情報を収集し続けるデータバンクの必要性も示唆された。
この研究結果により、TAのため評価項目と基準の考えを示すことが出来た。立場によってTAの利用法の異なることを明らかにしつつ、TAの有効性を示し、今後の医療におけるTAを推進する上での核となる基礎情報を整えた。しかし、次の問題のあることも、今後の進め方と併せ指摘された。
1)具体的事例についてTAを行うには、分析に必要な定量的データが著しく少なく、TAのため情報バンクが基盤として必要となった。2)TAを実施するには情報収集の他に、専門家による判断が不可欠で、その様なシンクタンクが必要となりそうである。3)TAによる結果を現実に活用する企業、銀行支援などに役立てるような道筋が必要である。4)健康政策の実現、そのための技術開発の方向などにTAは不可欠であり、今日以上に活用され、AHCPRの役割を果たせるような機関が求められる。5)そのためにも一種の常設部門の設置が望まれる。
結論
新世紀の医療機器開発や企業戦略、医療機関や行政施策の決定に活用し得る新しいTAの手法をまとめた。その具体的活用を前提とした事例調査では幾つかの問題点も明らかになったが、それらはTAに関する常設的機関(TA用の情報収集能力と分析能力を備えた中立的組織)を設けることで、世界に通じる我が国の医療機器の発展が可能であることが示唆された。

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