糖尿病予防のための運動教育の介入による運動継続効果に関する研究

文献情報

文献番号
200000859A
報告書区分
総括
研究課題名
糖尿病予防のための運動教育の介入による運動継続効果に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成12(2000)年度
研究代表者(所属機関)
新実 光朗(国立名古屋病院)
研究分担者(所属機関)
  • 津下一代(あいち健康の森健康科学総合センター)
  • 横地正裕(国立名古屋病院)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
平成12(2000)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
糖尿病の一次予防および二次予防としての糖尿病運動療法を有効なものとするために、運動実践の評価方法を確立し、運動教育と運動習慣を継続維持することによる生活習慣病の改善状況、糖尿病のコントロールおよび合併症進行に与える影響、さらには運動療法の実際・指導のあり方や運動継続のための動機付けの方法について追求する事を目的とする。
研究方法
簡単に運動の量と質とが記録ができる運動教育ツールである多メモリー加速度計測装置付歩数計(LC)を使用して、 日々の運動量・運動強度・運動持続時間の記録をモニターし、逐次にその運動記録をもとに評価を行い、個人指導(1-2ヶ月毎に)をしながら、継続して運動教育による追加介入を行うことにより、生活習慣に対する行動の変容に与える影響や長期間での耐糖能、脂質、血圧、体型の変化についての経時的な観察を対照群(運動記録する機器は使用するが、運動教育介入はせずに運動の実践は自主性に任せる群)と比較しながら、縦断的な観察を行なった。
結果と考察
LC群と運動量を手帳に手記するダイアリー群と比較すると6か月後の運動記録の継続率・定期検査受診率はLC群が良好であった。また、運動能力、代謝指標についてもLC群がより改善した。
糖尿病発症初期患者(N=64)の2年間の1ヶ月毎の外来運動教育介入での prospective case control study において、介入群では約1万歩/日の歩行数が維持され、体重、糖質・脂質代謝の改善が対照群に比し有意であった。
糖尿病合併症が無いか軽度の糖尿病教育入院患者(N=48)の退院後の 1年間に渡る介入研究でも対照群より歩行数で5千歩/日より多く、グリコヘモグロビンA1c で、約2%近くより低下することが、対照群と比して有意差をもって認められた。
外来での運動教育あるいは教育入院での運動教育を行い、それに続く1~2か月毎の定期的な運動教育の追加介入を行うことにより、歩数・運動量は維持され、体重、糖・脂質代謝も良好な状態を保つことができた。追加の運動教育の介入がない場合は一旦形成された運動習慣も徐々に失われて、 代謝状態も悪化することが、病院と検診センター外来の二つの研究で見られたことは運動効果を維持するためには、継続的な運動教育介入を定期的に付加することが欠かせないものと思われた。
結論
運動教育ツールを用いて、運動の量および質を評価しながら、運動教育の定期的・継続的な追加介入をすることが、生活習慣病の有効な、また効率のよい治療となり、個人のQOLをさらに高めるばかりでなく、 医療費の削減にも繋がるものとなる。

公開日・更新日

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