市町村における地域歯科保健推進に関する総合的研究

文献情報

文献番号
200000848A
報告書区分
総括
研究課題名
市町村における地域歯科保健推進に関する総合的研究
課題番号
-
研究年度
平成12(2000)年度
研究代表者(所属機関)
宮武 光吉(鶴見大学歯学部)
研究分担者(所属機関)
  • 安井利一(明海大学歯学部)
  • 尾崎哲則(日本大学歯学部)
  • 長田斉(杉並区保健衛生部)
  • 青山旬(国立公衆衛生院疫学部)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
平成12(2000)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
市町村における歯科保健事業の実情について把握し、これらの実施に関連が大きいと思われる要因について分析し、今後の歯科保健事業の推進に際して参考となる資料を得ることを目的として本研究を実施した。
研究方法
1.ライフステージ別に母子歯科保健、老人歯科保健の各事業について、その実施状況を把握するとともに、要因の分析を行った。2.科保健事業の実施状況と各種しか保健指標との関連について分析を行った。3.歯科保健事業が効率的に実施されている要因を分析するとともに、歯科保健担当者の有無等との関連について分析した。4.先駆的名事例を収集し、その効果等についての分析を行った。
結果と考察
結果=1.母子歯科保健事業の実施状況とその要因 保健所設置市区と含まない県を対象とした調査結果から、年少人口割合と一人当たり決算額とが母子歯科保健事業の実施率が高いことが示された。2.老人歯科保健事業の実施状況とその要因 老人保健法による歯周疾患検診を健康度評価のマニュアルを作成し、これに従って実施した。事業開始1か月後、刷掃、歯肉およびライフスタイルの面でそれぞれ改善が見られた。3.歯科保健事業の実施と各種歯科保健指標との関連 市町村の区分でみると町村部では、事業の実施が活発でなく、保健センターおよび口腔保健室の設置により実施率が高くなることがわかった。また、歯科衛生士の配置も事業実施率が高かった。これらの条件が3歳児のう蝕有病率を低下させる要因となっていることがわかった。4.歯科保健事業の効率的実施の要因 3歳児のう蝕と間食回数との関連について文献的な検索を行い、歯科衛生士の配置されているT町において間食回数の推移と保健指導の効果について分析を行った。その結果、住民の保健行動や環境要因に考慮して保健指導の項目を設定し、実施することが効果的であることが示された。また、歯科衛生士の常勤している市町村では、法定外の歯科保健事業が活発に行われているが、歯科衛生士がいなくても、保健婦等により独自の事業が実施されている例もあった。5.全国で17の市町村を対象として先駆的な歯科保健事業の事例調査を行いとりまとめた。
考察=1.母子歯科保健事業については、地域の人口構成や財政事情等の特性により、事業実施率に差があることがわかった。このことから、条件の悪い市町村に対しては、特別の対策が必要であると考えられた。2.老人歯科保健事業は、まだ実施市区町村が少なく、効果的な実施がなされていない実情であり、地域特性を考慮したマニュアルの作成が必要であると考えられた。3.保健センター・口腔保健室の設置、歯科衛生士の配置はいずれも、歯科保健事業の推進に大きく寄与しており、可能なかぎりこれらの設置および要員を配置することが必要であると考えられた。4.種々の条件下で、歯科保健事業を活発に実施している市町村が全国に散在しており、これらの市町村における実施方法、内容等は、同様の条件がありながら、あまり十分に実施されていない市町村の参考となること考えられる。
結論
1.母子歯科保健の実施困難な条件の市町村には特別の施策が必要である。2.老人歯科保健の実施には、地域特性を考慮したマニュアルの作成が必要である。3.保健センター・口腔保健室や歯科衛生士の配置は、歯科保健事業の推進のために必要である。4.効率的、先駆的に歯科保健事業を実施している市町村の事例を参考にして、さらに活発な事業が望まれる。

公開日・更新日

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