血液製剤の安全性向上に必要な試験法、評価法の開発と改良

文献情報

文献番号
200000811A
報告書区分
総括
研究課題名
血液製剤の安全性向上に必要な試験法、評価法の開発と改良
課題番号
-
研究年度
平成12(2000)年度
研究代表者(所属機関)
小室 勝利(国立感染症研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 吉原なみ子(国立感染症研究所)
  • 水澤左衛子(国立感染症研究所)
  • 福武勝幸(東京医科大学)
  • 柴田洋一(東京大学医学部)
  • 池田久實(北海道赤十字血液センタ-)
  • 脇坂明美(日本赤十字血液センタ-)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬安全総合研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
平成12(2000)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
血液製剤の有効性と安全性をより高めることに応用する目的で、有効性と安全性の評価に使用する試験法の開発、改良、標準化に関する研究、標準品の作製、安全性強化法の基礎的、臨床的研究を行う。
研究方法
NAT法の特異性、感度評価に使用する国際標準品、及び国内標準品として、HCV,HBV,HIV標準品の作製、HIV定量法のコントロールサーベイ、凝固第Ⅷ因子活性測定法のコントロールサーベイ、血小板の有効性に関する臨床的評価、血液成分製剤、血漿分画製剤のウイルス不活化法に関する評価を行った。
結果と考察
血液製剤の有効性と安全性を高めるための試験法の開発と改良、必要な標準品の設定、血液成分製剤の安全性調査と対策につき検討し、以下の結果を得た。
1)HCV,HBV,HIV検出のための核酸増幅法(NAT法)の評価に使用する国内標準品作製作業に参加した。HCV,HBVは完成し、HIVについて継続中である。
2)B19パルボウイルス、HAV検出のための国際標準品作製作業に参加している。
3)HIV-1のウイルス量測定キットを使用している国内施設を対象に、アンケート調査及びパネル血清によるコントロール・サーベイを実施した。40施設中、6~7施設で測定値に問題があり、コントロール・サーベイの定期的な実施を求める声があった。
4)凝固因子製剤中および血漿中の血液凝固第Ⅷ因子を測定する方法を標準化するための基礎研究を実施した。使用機器、APTT試薬、管理血漿、標準物質は、施設間で異なっており、又精度管理法の方法も異なっていた。施設間サーベイ、測定法プロトコールの標準化が必要であると考えられた。
5)血小板製剤への放射線照射及び白血球除去フィルター使用の血小板機能に及ぼす影響の検討を行った。放射線照射のみでは血小板数、血小板凝集能に前後で変化は見られなかった。白血球除去フィルターを照射後に使用すると、数、凝集能の有意な低下がみられた。白血球除去フィルター使用時期には注意が必要である。
6)現在、開発途中にある血液成分製剤に使用する感染性因子不活化法(S-59, S-303, INACTINE, リボフラビン)の相互比較を行った。優劣決定には、多くの要因を考慮する必要があることがわかった。
7)血液凝固第Ⅷ因子製剤(F-Ⅷ)からのB19パルボウイルス除去に、RHAスクリーニングは極めて有効であり、F-Ⅷ最終製剤中のB19-DNA量はスクリーニング導入後顕著に減少した。最近製造された51ロットには、B19-DNAは検出されず、10倍濃縮しても36ロットは検出限界以下であった。
結論
血液製剤の有効性、安全性向上に貢献することを目的に、その手段として必要な標準品の作製、検査キット及び検査法の評価、標準化に対する提言、製剤の安全性分析、臨床評価等について検討した。各々の結果から、今後検討していかなければならない項目についての示唆が得られた。国家レベルで方針を決めなければならない複雑な問題も提示されたので、早急な対応が求められる。本研究班で検討した結果が役立てられるよう願っている。

公開日・更新日

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