電磁界の白血球及び免疫系機能に及ぼす影響に関する研究(総括研究報告書)

文献情報

文献番号
200000766A
報告書区分
総括
研究課題名
電磁界の白血球及び免疫系機能に及ぼす影響に関する研究(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成12(2000)年度
研究代表者(所属機関)
大久保 千代次(国立公衆衛生院)
研究分担者(所属機関)
  • 牛山 明(国立公衆衛生院)
  • 増田 宏(国立公衆衛生院)
  • 岡田 秀親(名古屋市立大学)
  • 多氣 昌生(東京都立大学)
  • 伊坂 勝生(徳島大学)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 生活安全総合研究事業
研究開始年度
平成12(2000)年度
研究終了予定年度
平成14(2002)年度
研究費
17,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
建築物内における商用周波電磁界とトランジェント磁界への暴露状況を把握すると共に電磁界暴露と白血球及び免疫機能との関連の有無を含めて、電磁界の健康影響を追究する。
研究方法
商用周波の正弦波のほかに、WHOで議論されている、トランジェント電磁界として生活環境中に見られる非正弦波成分の波形、大きさを調査した。また、商用周波電磁界が白血球の血管内皮への粘着性亢進現象を惹起することが皮膚微小循環系で認められたので、その分子レベルでの解析を展開するために、局所炎症反応の抑制に関わると考えられるCarboxypeptidase R (CPR) の変化に焦点を絞り、Carboxypeptidase N (CPN) と共に解析した。
結果と考察
電気工学的研究では、トランジェント成分により、生体中に誘導される電流度の大きさ、分布を明らかにするための解析手法の開発を行った。一方、誘導電流は、比較的高周波の成分を含んでいる。高周波電磁界の生体影響については、多くの研究が行われているので、トランジェント磁界により誘導される電流密度の高周波成分の及ぼす作用について、高周波領域での研究結果に基づき検討を行った。
。白血球挙動に関連する免疫学的解析では、3.0 mT の電磁場下に1週間置いたラットでは有意(p < 0.05)なCPR活性の低下が認められた。しかし肝臓から抽出したProCPR のMRNA 量には大きな変動は認めなかった。
結論
建築物内における商用周波電磁界とトランジェント磁界への暴露状況が把握できた。また、トランジェント磁界により誘導される電流密度の高周波成分の及ぼす作用について、高周波領域での研究結果に基づき検討を行った。一方、労働環境で遭遇する可能性がある3mTという高レベル商用周波磁界を1週間に亘ってラットへ継続的暴露をすると、炎症反応を抑制するCarboxypeptidase R が有意(p < 0.05)な活性低下が認められた。しかし、その生理的意味については今後更なる研究が求められる。

公開日・更新日

公開日
-
更新日
-