ダイオキシンのリスクアセスメントのための疫学研究

文献情報

文献番号
200000731A
報告書区分
総括
研究課題名
ダイオキシンのリスクアセスメントのための疫学研究
課題番号
-
研究年度
平成12(2000)年度
研究代表者(所属機関)
岩本 晋(山口県立大学)
研究分担者(所属機関)
  • 岩本 功(下松記念病院院長)
  • 飯田隆雄(福岡県保健環境研究所、保健科学部長)
  • 斎藤美麿(山口県立大学教授)
  • 小川雅広(山口県立大学教授)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 生活安全総合研究事業
研究開始年度
平成12(2000)年度
研究終了予定年度
-
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ダイオキシンのリスクアセスメントのために、枯葉剤散布によりダイオキシンが高濃度蓄積している環境で暮らしている人々がどのような状況にあるか、記述疫学的手法によりデータを整理して、健康被害の有無を整理していく。
研究方法
ベトナムの政府関係者と医療関係者、アメリカの毒性学の専門家と日本の研究者が協力することで、ベトナムの枯れ葉剤によるダイオキシン住民暴露による健康障害の有無についてデータを整理していく。初年度はベトナム、アメリカの関係者を一堂に集める研究会が結成できるかどうか、検討会や話し合いを重ねて、次年度やその先へと継続していく基礎作りとする。
結果と考察
ベトナムの枯れ葉剤被害者救済委員会(Agent Orange Victims Fund)副議長であるベトナム赤十字の理事長や、ハノイ医科大学副学長でダイオキシン委員会の副代表Nguyen Van Tuong 医師、厚生技官 Tran Van Phuong 医師、委員会委員数名、ハノイ友好病院のルン院長、グエン副院長、ビン医師等の協力により、南部ベトナムの高濃度汚染地域の健康調査とダイオキシン分析のための標本収集を実施。
結論
一般的には、戦後の長い年月でベトナム戦争中の枯れ葉剤も減衰していると考えられていたが、アメリカ空軍基地の跡地周辺ではきわめて高濃度のダイオキシン汚染が判明した。この原因は、ベトナム側の説明によると、終戦時にきわめて大量の備蓄してあった科学薬品類をドラム缶のまま、空軍基地内の池や湖、あるいは谷間に放棄したり埋め立てたりしていたために、これまで誰も気がつかなかった。ところが、戦後25年も経過すると、ドラム缶が朽ちて内容物が浸出することにより、周辺地域住民に多大な被害を継続的にもたらしていることが分かった。
我々の調査は、ベトナム南部の7カ所のホットスポットと呼ばれる高濃度汚染地域の1カ所を選択して、年齢10-15歳年少者の健康調査と血液サンプルを採取した。
分析はこれからである。
来年からの研究計画には、ホットスポット周辺で高頻度に奇形児の出生が見られることから、出生前診断の技術者の技術力向上に協力することが求められているので、山口大学産婦人科教室の協力を得て対応するように計画している。

公開日・更新日

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