免疫・アレルギー等研究に係わる企画及び評価に関する研究(総括研究報告書)

文献情報

文献番号
200000611A
報告書区分
総括
研究課題名
免疫・アレルギー等研究に係わる企画及び評価に関する研究(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成12(2000)年度
研究代表者(所属機関)
秋山 一男(国立相模原病院)
研究分担者(所属機関)
  • 谷口正実(国立相模原病院)
  • 當間重人(国立相模原病院)
研究区分
厚生科学研究費補助金 先端的厚生科学研究分野 感覚器障害及び免疫・アレルギー等研究事業(免疫・アレルギー等研究分野)
研究開始年度
平成12(2000)年度
研究終了予定年度
平成14(2002)年度
研究費
20,050,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成4~6年度の厚生省アレルギー総合研究事業による調査により我が国のアレルギー疾患有病率は各世代を通じて人口の約30%であることが明らかになっている。気管支喘息発作死亡率は過去20年間、人口10万対5~5.5人であったのが、最近特に青少年男子の死亡が増加しつつあることが明かとなり、問題となっている。リウマチ膠原病疾患においては、日常動作の困難に起因する患者のQOLの著しい低下が明かである。また我が国における臨床研究が基礎研究に比較して国際的に立ち遅れている原因の一つとして検討対象症例数の少ないことが挙げられている。そこで今後の我が国の臨床研究の質の向上を視野に入れて、質の高い臨床研究を実施するため国病・国療政策医療“免疫異常(アレルギー・リウマチ性疾患)"ネットワークにおいて、共通カルテ、共通初診時検査項目の作成等の基盤整備を行い、均一な多数症例を対象としたプロスペクティブ臨床研究をパイロットスタディとして立ち上げることで、国際的に比肩し得る臨床研究をめざす。
このようなアレルギー・リウマチ性疾患研究の分野において諸外国に比肩しうる研究を実施するためには、適切な課題の設定、最適な研究者の選考、公正な研究費の配分が必要であり、さらに厳密な研究成果の評価が必要不可欠である。そのためにもアレルギー・リウマチ研究の専門家からなる評価委員会において適正かつ厳正な評価を行う必要がある。
研究方法
主任研究者を事務局責任者としてアレルギー部門を分担研究者谷口正実、リウマチ研究部門を分担研究者當間重人が担当して事務局業務を行った。昨年度までは、免疫・アレルギー等研究事業はアレルギー・リウマチ部門と臓器移植部門に分かれて事務局が運営されていたが、本年度からは、免疫・アレルギー等研究事業はアレルギー・リウマチ性疾患研究に限定されることになった。当該研究の企画・評価等を免疫・アレルギーの専門家による事前評価委員会の指導のもと、研究協力者としてアレルギー臨床部門4名、リウマチ臨床部門4名、基礎免疫部門2名の合計10名の専門家評価小委員及び行政職評価小委員2名を委嘱し評価小委員会を構成し、平成13年度新規課題に関する一次評価実施体制を整えた。本年度は平成13年度新規課題募集が例年よりも約2ヶ月遅かったため、評価小委員による1次評価は例年のように平成12年度内には実施されなかった。一方本年度実施された研究課題は、平成10年度からの継続課題3課題(アレルギー部門1課題、リウマチ部門2課題)、平成11年度からの継続課題5課題(アレルギー部門4課題、リウマチ部門1課題)及び平成12年度からの開始された6課題(アレルギー部門5課題、リウマチ部門1課題)の合計14課題であった。平成13年1月に中間事後評価委員による書面評価を実施した後、中間事後評価委員会を開催し、2年目、3年目の研究課題8課題の主任研究者による口頭発表報告を受け、平成12年度研究の中間事後評価を実施した。さらに平成13年2月に研究報告会を開催し、本研究事業に関わる研究者間の情報交換を行った。本年度は、2月にヒューマンサイエンス振興財団の主催のもと海外から3名の著名研究者を招請しアレルギー・リウマチ疾患に関する「研究者対象国際シンポジウム」及び「一般市民向け公開講座」を実施するにあたり、本研究事業の成果の情報発信とともに企画に関与した。また外国人研究者2名を招へいし、本研究事業の企画、評価についての意見を求めるとともに、各研究課題の成果、進行状況についての意見、助言を受けた。
また、各研究課題についての平成12年度研究報告をまとめ、平成12年度感覚器及び免疫・アレルギー等研究事業免疫・アレルギー部門研究報告書を刊行する(5月刊行予定)。さらに昨年度と同様平成12年度に3年間の研究を終えた課題について、3年間の成果を一般国民に向けて情報発信すべくカラーパンフレットを作成する予定である。
具体的な年間スケジュールは以下の通りである。
平成12年
3月29日 事前評価委員会(平成12年度新規課題採択)
5月31日    事務担当者説明会
6月 平成12年度研究課題決定
7月      新規課題主任研究者会議
平成13年
1月 5日    平成13年度継続課題申請締め切り
1月19日 中間事後評価委員会(平成12年度研究評価、平成13年度継続課題採択)
2月13日 平成12年度研究業績報告会(am:リウマチ部門、pm:アレルギー部門)
於:KKR HOTEL TOKYO
2月16日 平成12年度研究業績報告会 (am/pm:アレルギー部門)
於:KKR HOTEL TOKYO
2月27日 平成13年度新規公募課題官報告示
3月23日 平成13年度新規課題公募締め切り
4月 3日 評価小委員への平成13年度新規応募課題研究計画書第1次評価依頼
4月10日    平成12年度研究報告書用各班研究報告締め切り(事務局宛)
4月27日 事前評価委員会(平成13年度新規課題採択)
結果と考察
免疫・アレルギー疾患研究の分野において諸外国に比肩しうる研究を実施するためには、適切な課題の設定、最適な研究者の選考、公正な研究費の配分が必要であり、さらに厳密な研究成果の評価が必要不可欠である。そのためにも免疫・アレルギー研究の専門家からなる評価委員会において適正かつ厳正な評価を行う必要がある。平成12年度実施14研究課題について、本年度は中間事後評価委員会において書面評価とともにヒヤリングを行うことにより、これまで以上に適正かつ厳正な評価が実施された。さらに、その成果を3月11日に開催された国際シンポジウムにおいて国内当該分野の医師、研究者に報告するとともに公開市民講座において本研究事業における主任研究者を講師、パネリストとして本年度の研究成果を踏まえて一般市民向けの情報提供がなされた。
また我が国における臨床研究が基礎研究に比較して国際的に立ち遅れている原因の一つとして検討対象症例数の少ないことが挙げられている。そこで今後の我が国の臨床研究の質の向上を視野に入れて、国際的に比肩しうる質の高い臨床研究を実施するため国病・国療政策医療“免疫異常(アレルギー・リウマチ性疾患)"ネットワークにおいて、共通カルテ、共通初診時検査項目の作成等の基盤整備を行い、均一な多数症例を対象としたプロスペクティブ臨床研究をパイロットスタディとして立ち上げた。本年度はリウマチ部門において、`慢性関節リウマチの重症化と関節外病変の病態解明・治療法開発に関する研究'という研究課題のもと1)患者疫学調査、2)病態機序の解明研究・診断法研究、3)治療法の研究、を研究の3大柱として実施する。特に初年度としての本年度は、研究協力者としてのネットワークリウマチ部門担当者間での検討により慢性関節リウマチ患者用共通カルテの作成を行い、疫学的調査の効率化を図るとともに、今後の各種プロスペクティブ研究、臨床治験研究の実施に備えた。
質の高い臨床研究の基盤整備としての共通カルテ、共通検査項目等の策定は、全国に張り巡らされた国病・国療政策医療(拡大)ネットワークを活用する臨床研究に不可欠の整備である。一施設での個別の臨床研究では不可能である多数の患者群を対象とし、統一された研究計画に基づき治療等の質の均一な対象に対する臨床研究を遂行し得るという特色がある。さらに疫学調査の場合には、地理的には北は北海道から南は九州沖縄までほぼ日本全体を網羅する患者層を対象とし、かつ医療者側の専門性の面からも専門医による多数の患者を診療する専門施設から、非専門医による少数の当該患者を診療する一般医療施設まで非常に幅が広く包含した本ネットワークは、我が国の患者実態を反映した不偏性の高い調査フィールドとして他に例をみないものと思われる。さらにこれらにより構築される多数の患者群は、現在空洞化の危機にある我が国の新薬臨床治験実施のための質の高い均質のフィールドとして活用される可能性を有している。
結論
本研究班は平成9年度から開始された感覚器障害及び免疫・アレルギー等研究事業の内、免疫・アレルギー等研究の遂行にあたり研究報告会の開催、中間・事後評価の為の評価委員会への資料作成、及び新規課題の第1次事前評価及び事前評価委員会への資料作成等の事務局業務を実施することであるが、本年度から臓器移植研究事業が切り離され、免疫アレルギー研究に特化された。本研究事業による成果を高めるため厚生科学研究の目的にそった適切な課題の設定、最適な研究者の選考、公正な研究費の配分さらには厳密な研究成果の評価を行い、次年度のさらなる研究の発展へとつながる評価体制の確立と実行をめざした。中間事後評価におけるヒヤリングの実施、国際シンポジウム・公開市民講座の開催等の新たな試みを行い、本事業の成果の国民への還元を含め少なからぬ成果が得られたことと思われる。今後とも免疫・アレルギー研究分野において我が国の研究が国際的に高い評価を得るように研究体制の整備を図っていかねばならない。

公開日・更新日

公開日
-
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
-
更新日
-