文献情報
文献番号
200000580A
報告書区分
総括
研究課題名
日本手話学習のための基本語彙を中心にした日本手話―日本語辞書の作成―
課題番号
-
研究年度
平成12(2000)年度
研究代表者(所属機関)
福田 友美子(国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所)
研究分担者(所属機関)
- 木村晴美(国立身体障害者リハビリテーションセンター学院)
- 市田泰弘(国立身体障害者リハビリテーションセンター学院)
研究区分
厚生科学研究費補助金 先端的厚生科学研究分野 感覚器障害及び免疫・アレルギー等研究事業(感覚器障害研究分野)
研究開始年度
平成11(1999)年度
研究終了予定年度
平成14(2002)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
日本手話は視覚言語であり,単語や文法などの体系が異なるばかりでなく,聴覚言語である日本語とは,表現の面でも大きく異なっている.本研究は,日本手話を学習しやすくするために,基本語彙についてそれぞれの語彙で異なった語義に対応する例文を,ビデオ画像とともに提示する「日本手話-日本語辞書」の作成する.
研究方法
これまでの研究の結果,聾者間の対話で話された大量の手話サンプルを所持している.本研究では,これらの手話資料を活用して,日本手話で高頻度に使用される基本的な単語を選択する.そしてそれらの各々について, ① 語義に関する分類とそれらの例文 ②その単語が含まれる慣用句 ③必要な場合には文法的な説明とその例文などを網羅し,さらに併せてそれらの手指動作や顔の表情・姿勢の取り方などで表わされる表現方法を記述し,それらを手話表現の動画を含むデータベースに整理して,利用しやすい電子辞書の作成を行なう.
結果と考察
本研究の第2年度であるH12年度では,①使用頻度が高いこと,②手話独特の単語の用法の単語であることを条件に,辞書に掲載する基本単語140種を選定し,それらの単語について,語義に関して分類を行い,それに対応した個々の例文を作成した.さらに,手話表現については,従来,絵で表す方法が用いられてきたが,本研究では,手話表現に関係する身体部位の動きを分析的に記述する方法をとることにし,表記をみて再現できるような表記の形式を考案した.その結果,①手指動作表現の単語ラベル ②頭・体の動き ③眉・目の辺りの顔の表情 ④口形の変化 を4行に分けて記述することにし,記述に用いる記号についても決定した.そして,具体的に単語毎に,例文を記述し,その例文について日本手話の語彙や文法を特徴つけるものを解説し,辞書のための記載データとして蓄積した.また,「日本手話-日本語辞書」について,その全体の構成・単語の検索の流れについて検討・決定するとともに,ビデオ画像の表示方法を決定し,単語データ入力プログラムを作成し入力を開始した.
結論
日本手話は視覚言語であり,単語や文法などの体系が異なるばかりでなく,聴覚言語である日本語とは,表現の面でも大きく異なっている.これまで日本手話を学ぼうとするものは,聾者と実際に接触することによって学ぶしか方法はなかった.本研究では,使用頻度が高く,日本語と異なった用法を持つ単語を記載単語とする「日本手話-日本語辞書」を作成する.本研究の第2年度であるH12年度では,辞書に掲載する基本単語140種を選定して,その表記の形式を決定し,具体的に単語毎の記載データを蓄積し,「日本手話-日本語辞書」について,その全体の構成・単語の検索の流れについて検討・決定した.来年度には,画像ファイル・検索プログラムも作成して,日本手話-日本語辞書を完成させる.この辞書ができることで,日本手話の単語の用法やその表現方法・関係する文法の解説と共に,実際の手話動作のビデオ画像を繰り返し見られるようになり,学習しやすい環境が提供できることになる.
公開日・更新日
公開日
-
更新日
-