アルツハイマー病における神経細胞死促進機構の解明と抑止方法の開発(総括研究報告書)

文献情報

文献番号
200000434A
報告書区分
総括
研究課題名
アルツハイマー病における神経細胞死促進機構の解明と抑止方法の開発(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成12(2000)年度
研究代表者(所属機関)
田平 武(国立精神・神経センター神経研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 巻淵隆夫(国立療養所犀潟病院)
  • 大八木保政(九州大学大学院医学系研究科)
  • 工藤 喬(大阪大学大学院医学系研究科)
研究区分
厚生科学研究費補助金 先端的厚生科学研究分野 脳科学研究事業
研究開始年度
平成12(2000)年度
研究終了予定年度
平成14(2002)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
この研究はアルツハイマー病、とくにプレセニリン1(PS1)、プレセニリン2(PS2)変異によっておこるアルツハイマー病にみられる神経細胞死の促進機構を明らかにし、その中から発症を予防し、進行を抑止する方法を開発することを目的とする。
研究方法
①PS1トランスジェニックマウス及びヒト剖検脳を用いて、免疫組織化学的にAβ40、Aβ42の神経細胞内蓄積の有無及びアポトーシスとの関連を明らかにする。更に、免疫電顕により、その存在を明らかにする。②PS1、PS2と結合する蛋白質をyeast two hybrid systemを用いてスクリーニングし、PS変異による機能障害機構を明らかにする。③Aβ42と結合する蛋白質をyeast two hybrid system Q  免疫沈降法により明らかにし、細胞死促進機構との関連を明らかにする。④PS1変異とERストレスセンサーの一つPERKとの関連をそのリン酸化を指標に明らかにする。
結果と考察
①ヒト脳においても細胞内Aβ42の蓄積を示すニューロンが有意に高濃度に見られ、アポトーシスを促進していることが明らかとなった。②Aβ42の細胞内局在を明らかにする為に免疫電顕を行ったが、死後変化その他の理由により明らかにすることができなかった。③PS2と特異的に結合する新規物質DRALを見いだした。この遺伝子は脳及び筋肉で強く発現していた。④細胞内Aβ42は24KDaのコンプレックスを形成していることを明らかにし、その蛋白を分離精製した。また、Aβ42と結合する蛋白を明らかにする為に、yeast two hybrid systemを組み立てた。⑤Aβ42はp53プロモーターに結合し、アポトーシスを誘導することをらにPS変異による細胞死誘導機序を明らかにするために、アデノウイルスベクターに組み込んだPS2を作製した。⑥PS1変異はERストレスセンサーの一つPERKのリン酸化を障害し、ERストレス脆弱性を示すことを明らかにした。以上よりPS変異による神経細胞死促進機構が少しずつ見えてきた。今後はAβ42の細胞内局在の決定、Aβ42と結合し細胞死を誘導する分子の同定、ERストレスとAβ42との関係を明らかにする研究を重点的に行う必要がある。
結論
PS変異はAβ42産生増強、ひいては細胞内蓄積をひきおこし、神経細胞死を促進している。

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