文献情報
文献番号
200000350A
報告書区分
総括
研究課題名
わが国における妊産婦の喫煙・飲酒の実態と母子への健康影響に関する疫学的研究(総括研究報告書)
研究課題名(英字)
-
課題番号
-
研究年度
平成12(2000)年度
研究代表者(所属機関)
大井田 隆(国立公衆衛生院公衆衛生行政学部)
研究分担者(所属機関)
- なし
研究区分
厚生科学研究費補助金 総合的プロジェクト研究分野 子ども家庭総合研究事業
研究開始年度
平成12(2000)年度
研究終了予定年度
-
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
妊婦が喫煙すると、喫煙しない場合に比べて、低出生体重、早産、周産期死亡、妊娠・分娩合併症(胎盤早期剥離、前置胎盤、出血など)、自然流産などのリスクが1.5~2.0倍高まるとされている。また出産後も、母親の喫煙によって、子どもの気管支炎や気管支喘息のリスクが2.0倍程度高まることが報告されている。若い女性の喫煙率が上昇を続けている現状を考慮すると、妊産婦の防煙・禁煙教育は今後さらに重要性を増すことが予想される。また妊娠中の過度の飲酒は、場合によっては胎児性アルコール症候群を引き起こすことが知られている。しかしわが国では現在までのところ、妊産婦の喫煙・飲酒実態に関する全国調査に基づくデータはない。本研究では、全国規模で妊産婦の喫煙・飲酒行動および関連要因を疫学的に明らかにし、健康教育の推進を含めた今後の政策立案に資するための科学的根拠を確立することを目的とする。平成12年度は、全国調査の基本的枠組みを構築し、産科医療機関を受診する妊婦を対象とした調査票を作成し、プレテストを実施し、調査方法・内容を検討した。
研究方法
調査対象は、平成12年12月~平成13年2月に、三重・福井・富山・福岡の各県内の計4ヶ所の大規模産科医療機関を受診した女性のうち、「妊娠の確定した再診の妊婦」とした。初診の者、妊娠未確定の者、妊娠の継続を望まない者は除いた。調査方法として、受付時に自記式調査票、封筒、筆記用具を配布し、診療の待ち時間に回答してもらい、封筒を密封した状態(医療機関側に回答がわからない状態)で受付に設置した箱に投函してもらい、箱ごと調査票を回収した。調査項目は、①属性等、②喫煙の状況、③飲酒の状況であった。①属性等に関しては、年齢、最終学歴、妊娠状況(出産予定日、妊娠回数、今回の妊娠が確定した月)、就業の有無、を設問した。②喫煙の状況に関しては、妊娠前の喫煙状況(喫煙の有無、喫煙本数)、現在の喫煙状況(喫煙の有無、妊娠が確定してからの喫煙本数の変化)、喫煙が胎児に及ぼす影響に関する認知及びその情報源(妊娠・出産に関する本・雑誌、テレビ・ラジオ・新聞、母子手帳、自治体のパンフレット、医師・助産婦・看護婦などの専門家、夫・家族・知人・友人、等)、受動喫煙の有無及びその発生源(夫、夫以外の同居家族、友人・職場の人、飲食店・路上などの人、等)、妊娠が確定してからの喫煙に関する周囲への働きかけ(自分の近くで吸わないように伝えた、喫煙している人に近づかないようにした、喫煙者に禁煙を勧めた、換気に気をつけるようにした、等)、周囲の人からの喫煙に関するアドバイスの有無及びその情報源(夫、自分の親または夫の親、友人・知人・同僚、医師・助産婦・看護婦などの専門家、等)、今後の禁煙・節煙の意思(喫煙者のみ)、を設問した。③飲酒の状況に関しては、妊娠前の飲酒状況(頻度、1回当たりの飲酒量)、現在の飲酒状況(飲酒の有無、妊娠が確定してからの飲酒量の変化)、飲酒が胎児に及ぼす影響に関する認知及びその情報源(妊娠・出産に関する本・雑誌、テレビ・ラジオ・新聞、母子手帳、自治体のパンフレット、医師・助産婦・看護婦などの専門家、夫・家族・知人・友人、等)、周囲の人からの飲酒に関するアドバイスの有無及びその情報源(夫、自分の親または夫の親、友人・知人・同僚、医師・助産婦・看護婦などの専門家、等)、今後の禁酒・節酒の意思(飲酒者のみ)、を設問した。
結果と考察
調査票の回収状況は三重504人、福井98人、富山367人、福岡504人、合計1,473人であった。妊娠前の喫煙状況に関しては、「吸っていなかった」が70.1%、「以前吸っていたがやめた」が8.2%、「吸っていた」が21.6%であ
った。「吸っていた」者の1日の喫煙本数の平均値は13.3本であった。妊娠後の喫煙状況に関しては、「吸っていない」が91.6%、「吸っている」が8.4%であった。また「吸っている」者の喫煙本数に関しては、「妊娠前と同じ本数」が22.8%、「本数を減らした」が74.8%、「本数を増やした」が2.4%であった。全体としては、妊娠後に禁煙・節煙を実施している者が増加していた。受動喫煙の状況に関しては、63.7%の者が受動喫煙していた。受動喫煙の発生源(複数回答)は、夫82.8%、夫以外の同居家族16.6%、友人・職場の人31.7%、飲食店・路上などの人8.6%で、家族の喫煙者からの受動喫煙が多かった。妊娠中喫煙者の今後の禁煙・節煙の意思に関しては、「ぜひ禁煙したい」が26.4%、「できれば禁煙したい」が52.9%、「節煙したい」が16.5%、「禁煙も節煙もしたくない」が4.1%で、ほとんどの者が禁煙・節煙を希望していた。妊娠前の飲酒状況に関しては、回数では、「飲んでいなかった」が26.4%、「年に1、2回」が16.5%、「月に1、2回」が28.1%、「週に1、2回」が15.5%、「週に3、4回」が6.1%、「ほとんど毎日」が7.4%であった。また1回当たりの飲酒量では、「飲んでいなかった」が25.8%、「コップ・グラスで1杯未満」が22.7%、「1、2杯」が35.5%、「3~5杯」が13.2%、「6杯以上」が2.4%であった。妊娠後の飲酒状況に関しては、「飲んでいない」が86.3%、「飲んでいる」が13.2%であった。また「飲んでいる」者の飲酒量に関しては、「妊娠前と同じ量・回数」が15.1%、「量・回数を減らした」が82.8%、「量・回数を増やした」が2.1%であった。全体としては、妊娠後に禁酒・節酒を実施している者が増加していた。妊娠中飲酒者の今後の禁酒・節酒の意思に関しては、「ぜひ禁酒したい」が10.4%、「できれば禁酒したい」が31.2%、「節酒したい」が45.7%、「禁酒も節酒もしたくない」が12.7%で、ほとんどの者が禁酒・節酒を希望していた。
った。「吸っていた」者の1日の喫煙本数の平均値は13.3本であった。妊娠後の喫煙状況に関しては、「吸っていない」が91.6%、「吸っている」が8.4%であった。また「吸っている」者の喫煙本数に関しては、「妊娠前と同じ本数」が22.8%、「本数を減らした」が74.8%、「本数を増やした」が2.4%であった。全体としては、妊娠後に禁煙・節煙を実施している者が増加していた。受動喫煙の状況に関しては、63.7%の者が受動喫煙していた。受動喫煙の発生源(複数回答)は、夫82.8%、夫以外の同居家族16.6%、友人・職場の人31.7%、飲食店・路上などの人8.6%で、家族の喫煙者からの受動喫煙が多かった。妊娠中喫煙者の今後の禁煙・節煙の意思に関しては、「ぜひ禁煙したい」が26.4%、「できれば禁煙したい」が52.9%、「節煙したい」が16.5%、「禁煙も節煙もしたくない」が4.1%で、ほとんどの者が禁煙・節煙を希望していた。妊娠前の飲酒状況に関しては、回数では、「飲んでいなかった」が26.4%、「年に1、2回」が16.5%、「月に1、2回」が28.1%、「週に1、2回」が15.5%、「週に3、4回」が6.1%、「ほとんど毎日」が7.4%であった。また1回当たりの飲酒量では、「飲んでいなかった」が25.8%、「コップ・グラスで1杯未満」が22.7%、「1、2杯」が35.5%、「3~5杯」が13.2%、「6杯以上」が2.4%であった。妊娠後の飲酒状況に関しては、「飲んでいない」が86.3%、「飲んでいる」が13.2%であった。また「飲んでいる」者の飲酒量に関しては、「妊娠前と同じ量・回数」が15.1%、「量・回数を減らした」が82.8%、「量・回数を増やした」が2.1%であった。全体としては、妊娠後に禁酒・節酒を実施している者が増加していた。妊娠中飲酒者の今後の禁酒・節酒の意思に関しては、「ぜひ禁酒したい」が10.4%、「できれば禁酒したい」が31.2%、「節酒したい」が45.7%、「禁酒も節酒もしたくない」が12.7%で、ほとんどの者が禁酒・節酒を希望していた。
結論
ほとんどの妊婦は妊娠後に禁煙・節煙、禁酒・節酒を実行しており、実行していない妊婦も禁煙・節煙、禁酒・節酒を希望していた。今後、飲酒状況に関する設問を改善した上で医療機関ベースの全国調査を実施すること、禁煙・禁酒希望者に対する効果的な教育介入の方法論を開発すること、によって、妊産婦の喫煙・飲酒行動の実態とその関連要因を疫学的に明らかにする必要がある。
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