文献情報
文献番号
200000326A
報告書区分
総括
研究課題名
健康志向型による乳幼児健康診査の介入効果(育児満足感・育児能力・育児不安軽減・対処行動)に関する対照群を含む追跡研究(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成12(2000)年度
研究代表者(所属機関)
星 旦二(東京都立大学)
研究分担者(所属機関)
- 渡部月子(神奈川県立衛生短期大学)
- 標美奈子(神奈川県立衛生短期大学)
- 山崎秀夫(東京都立大学)
研究区分
厚生科学研究費補助金 総合的プロジェクト研究分野 子ども家庭総合研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
平成12(2000)年度
研究費
2,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
乳幼児健康診査において健康志向型に子育てを支援する介入策を企画・実施し、育児不安および健康診査を受診しての満足度を評価指標としてその介入効果を明らかにする。
研究方法
Ⅰ.研究対象地区の選定と健康志向型の子育て支援介入モデルの実施:新しい子育て支援介入を企画・実践するにあたり4カ月児健康診査を実際に担当している保健婦・栄養士等とともに共通理解として議論し、市町村ごとに子育て支援マニュアルを作成した。Ⅱ.事前・事後アンケートの実施:①事前調査;4カ月児健康診査の受診1カ月前に郵送する健康診査の案内にアンケート用紙を同封し健康診査当日回収する。この事前調査により介入前の2群の属性を明らかにし、2群間に差がないことを確認する。健康診査の当日によって対照群と介入群の2群にわける。②4カ月児健康診査における介入;介入群に対しては新しく作成したマニュアルを用いて実施し、対照群には従来の方法で対応する。
③事後追跡調査;健康診査受診後1カ月後のアンケートによる追跡調査を実施する。
③事後追跡調査;健康診査受診後1カ月後のアンケートによる追跡調査を実施する。
結果と考察
Ⅰ.健康志向型介入健康教育によるアンケート調査結果
事前調査の対照群は345名、介入群363名、事後調査の対照群は248名、介入群は264名であった。事前調査による個人の属性においては、母親の年齢・子どもの数・居住年数・同居家族・現在の職業、結婚や妊娠による職業の変化・学歴・社会活動への参加状況いずれの変数においても有意な差は認められなかった。健康志向型子育て介入の効果について、健康志向型に子育てを支援する介入を受けた群と従来の健康診査を受けた対照群との差をみると、最終評価指標である育児不安には2群間に差は認められなかった。しかし、手段的評価指標の一つである「対処行動」は介入群の方が統計上有意にポジテイブであり、健康志向型の介入による集団健康教育の満足度は介入群が有意に高かった。
自由記載による乳幼児健康診査への要望では、集団指導への改善を望む意見が大半を占める中、介入群に「集団指導は楽しかった」「こういう集団指導は初めてで母親同士話ができてよかった、また受診したい」という意見があった。今回、健康診査の中の集団指導を、知識普及型の講義方式から、対話式のの相互学習型へ変換させたことによって、母親同士が今までの子育てへの思いを表出でき、交流する機会となった。先輩ママからのメッセージや地域に散在する保健・医療・育児情報をマッピングした地域情報を掲載した手作りパンフレットは、地域で孤立しがちな母親に対して、少し先の見通しがもてるきっかけとなり、自分の住んでいる地域を意識するために有効であった。
Ⅱ.育児不安規定要因
乳児が4か月の時点で、その母親が持つ要因から5か月になる頃の育児不安の程度を予測できる可能性について検討した。育児不安に影響していた要因は、母親の子育て観・対処行動であり、子どもの数では、第2子の方が育児不安が強いという結果が得られた。ポジテイブな子育て観が育児不安の少なさと関連することから、子育て支援の中の子育て観の向上を図る支援を加えることが必要ではないかと考えられる。また、育児不安の概念を育児に対する具体的な心配事の多さではなく、脅威があることに対する漠然とした心の状態とすると、出生順位だけで育児不安の有無を予測するのではなく、兄弟をみながら4か月の乳児を育てていることへの身体的・精神的な負担に注目すべきである。
事前調査の対照群は345名、介入群363名、事後調査の対照群は248名、介入群は264名であった。事前調査による個人の属性においては、母親の年齢・子どもの数・居住年数・同居家族・現在の職業、結婚や妊娠による職業の変化・学歴・社会活動への参加状況いずれの変数においても有意な差は認められなかった。健康志向型子育て介入の効果について、健康志向型に子育てを支援する介入を受けた群と従来の健康診査を受けた対照群との差をみると、最終評価指標である育児不安には2群間に差は認められなかった。しかし、手段的評価指標の一つである「対処行動」は介入群の方が統計上有意にポジテイブであり、健康志向型の介入による集団健康教育の満足度は介入群が有意に高かった。
自由記載による乳幼児健康診査への要望では、集団指導への改善を望む意見が大半を占める中、介入群に「集団指導は楽しかった」「こういう集団指導は初めてで母親同士話ができてよかった、また受診したい」という意見があった。今回、健康診査の中の集団指導を、知識普及型の講義方式から、対話式のの相互学習型へ変換させたことによって、母親同士が今までの子育てへの思いを表出でき、交流する機会となった。先輩ママからのメッセージや地域に散在する保健・医療・育児情報をマッピングした地域情報を掲載した手作りパンフレットは、地域で孤立しがちな母親に対して、少し先の見通しがもてるきっかけとなり、自分の住んでいる地域を意識するために有効であった。
Ⅱ.育児不安規定要因
乳児が4か月の時点で、その母親が持つ要因から5か月になる頃の育児不安の程度を予測できる可能性について検討した。育児不安に影響していた要因は、母親の子育て観・対処行動であり、子どもの数では、第2子の方が育児不安が強いという結果が得られた。ポジテイブな子育て観が育児不安の少なさと関連することから、子育て支援の中の子育て観の向上を図る支援を加えることが必要ではないかと考えられる。また、育児不安の概念を育児に対する具体的な心配事の多さではなく、脅威があることに対する漠然とした心の状態とすると、出生順位だけで育児不安の有無を予測するのではなく、兄弟をみながら4か月の乳児を育てていることへの身体的・精神的な負担に注目すべきである。
結論
乳幼児健康診査において同じ月齢の子どもをもつ母親との出会いを有効に結びつけるためには意図的な介入が必要である。乳幼児健康診査の機会を活用して「母親同士の交流」の場を設け、育児を不安なく、子育ての楽しさや母親同士が交流しあえる楽しさを味わえ、困ったときには相談できるという両親のセルフケア能力を高めることを目的とした介入方法は、健康志向型の子育て支援サービスとして有効である可能性が示唆された。
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