グループ診療、介護の統合化による経済効果に関する研究

文献情報

文献番号
200000266A
報告書区分
総括
研究課題名
グループ診療、介護の統合化による経済効果に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成12(2000)年度
研究代表者(所属機関)
関田 康慶(東北大学大学院経済学研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生科学研究費補助金 総合的プロジェクト研究分野 長寿科学総合研究事業
研究開始年度
平成12(2000)年度
研究終了予定年度
平成13(2001)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
次の諸点を明らかにすることを目的とする。(1)開業医グループ診療システム(CGMS)の類型化,システム化の方法論を開発する。(2)介護機能(看護を含む)の集積化,システム化(CGCS)の方法論を開発する。(3)CGMSとCGCSとの連携,統合の類型化,方法論を開発する。(4)CGMSとCGCSの統合によるCGWSの実現可能な類型を明らかにする。(5)CGWSの情報システムを設計する。(6)CGWSのサービス利用者に対する効用を分析する。(7)CGWSの経済的効果を明らかにする。
研究方法
(1)CGMSとCGCSの開発方法論を文献資料収集に基づいて検討し,その検討結果を参考に構築した。(2)構築した開発方法論を検証するために,仙台市内2ヶ所のCGMSと2ヶ所のCGCS,秋田市内1ヶ所のCGMS,横浜市内1ヶ所のCGMSとCGCSの複合体(CGWS),名古屋市内1ヶ所のCGMSを訪問調査し,調査結果の分析からCGMSおよびCGCS開発の必要条件と十分条件を明らかにした。(3)介護保険訪問系サービスの資源利用効率に関する数理モデルを構築した。このモデルを用いて,訪問回数や介護報酬などを変量とし,訪問系サービスの資源効率と妥当な介護報酬,動線コストなどを検討した。(4)このモデルを用いて宮城県内市町村についてCGCSの経済効果に関するフィールドスタディを行なった。(5)CGMSおよびCGCSのサービス利用者を対象とした調査票を設計した。この調査票を用いて,平成13年4月にCGMS5ヶ所,CGCS約100ヶ所について調査実施予定である。(6)CGCSの訪問系サービスの動線コスト調査を設計し,CGCSと居宅機能の近接性の効果を測定する指標化を試みた。(7)診療所の集積性を測定する方法論を開発する。この方法により,地図を用いた医療機関の集積性の調査が可能となる。
結果と考察
CGMSとCGCSの開発方法論を,構築までの方法,構築の呼びかけ方法,構築者と構築手順,構成と機能,参加者の選択方法,法制度の制約の視点から体系化した。この体系を用いて,仙台市,秋田市,横浜市,名古屋市のCGMSとCGCSを訪問調査し,開発方法論の妥当性を検討した。開発方法論の視点からCGMSとCGCSの分類を試み,開発の必要条件と十分条件を明らかにした。ただし,検討ケースが少ないので,今後ケースを増やして追加検証することが望ましい。CGMSとCGCSとも高齢社会の中で重要な機能を果たすことが期待されるが,サービスの質の効果については,簡単な確率モデルを用いて明らかにした。また,経済的効果については,患者,診療所,共同利用部門それぞれの視点から明らかにした。患者にとっては近接してサービスが受けられると同時に,移動コストが削減される。診療所にとっては,患者数の増加や投資が少なくて済む効果がある。
CGMSとCGCSとも介護保険とのかかわりが大きいが,ここではCGCSの訪問系サービスについて経済的効果を検討した。訪問系サービスの費用を施設入所費用と比較することにより,訪問系サービスの資源利用効率がよいことが明らかになった。さらに,CGMS,CGCSもしくはCGWSに居宅機能を併設する効果について,数理モデルを構築して検討した。このモデルは,訪問回数,介護報酬などを変量とし,訪問系サービスの資源利用効率と妥当な介護報酬,動線コストなどを分析した。この結果,居宅機能併設効果は,訪問系サービスの動線コストの合計として算出された。
サービス訪問回数と損益分岐点報酬との関係を,宮城県の市町村データを用いて分析した。その結果,ある程度訪問回数を維持しないと,損益分岐点介護報酬が急速に上昇することが判明した。CGMSおよびCGCSの利用者を対象とした調査票を検討した。平成13年度4月以降に調査を行なう予定である。診療所の集積性と機能を測定(データベース化)するために,地図を用いて集積性を測定する方法を開発した。この方法は,地図上で500m×500mに複数の医療機関が存在するケースを抽出し,医療機関情報も加えて,集積性のある診療所のデータベースを構築し,その効果を明らかに出来る。これらの研究成果に基づいて,平成13年度はCGMSとCGCS,居宅機能の集積システム(CGCRS)を統合化する効果や問題点についても明らかにできる。
結論
CGMSとCGCSの開発方法論を体系化し,検討し,開発方法論の必要条件,十分条件を明らかにした。CGMS,CGCSのサービスの質の効果,経済的効果を出せるモデルを開発し,データ解析した。訪問サービスの動線コストと損益分岐点介護報酬モデルを開発した。

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