後縦靭帯骨化症責任遺伝子同定と予防・治療への応用

文献情報

文献番号
200000257A
報告書区分
総括
研究課題名
後縦靭帯骨化症責任遺伝子同定と予防・治療への応用
課題番号
-
研究年度
平成12(2000)年度
研究代表者(所属機関)
井ノ上 逸朗(東京大学医科学研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 原田征行(弘前大学)
  • 米 和徳(鹿児島大学)
  • 松永俊二(鹿児島大学)
研究区分
厚生科学研究費補助金 総合的プロジェクト研究分野 長寿科学総合研究事業
研究開始年度
平成12(2000)年度
研究終了予定年度
平成14(2002)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
脊椎後縦靱帯骨化症(OPLL)は整形外科領域の脊髄症の第一位原因となっており、頻度の高い疾患であるので医療の現場での重要度は高い。未曾有の少子高齢化を迎えつつある我が国において、高齢者に多いOPLLの成因解明かつ治療法の開発は急務といえるだろう。成因解明のためにOPLL責任遺伝子の同定がその端緒となり、疾患機序の解明、ひいては新たな治療法の開発に結びつくと予想される。
研究方法
OPLLに関連する遺伝子同定法として、ゲノム全域での罹患同胞対連鎖解析により、染色体上での遺伝子座の特定を試みた。141対の罹患同胞対を得ることができている。同様にアソシエーションスタディに必要となるOPLL患者、非OPLL患者(単純X線でOPLLを否定できたグループ)、それぞれ250例、210例収集できている。遺伝子解析をおこなうにあたり、本研究は鹿児島大学、弘前大学の倫理委員会承認を得ている。
結果と考察
OPLLのゲノムスキャン解析で5ケ所の遺伝子座を特定できた。その中で、もっとも強い連鎖を認めた領域は21番染色体長腕(21q22)であった。D21S263および近傍マーカーでの連鎖を認めており、D21S263ではlod=3.6, P=0.000009と非常に強い連鎖を得ている。この結果からD21S263近傍に新たなOPLL責任遺伝子が存在することが強く示唆される。21q22領域ほぼ10センチモルガンにわたり100個のマイクロサテライトを同定し、それらを用いた連鎖不平衡マッピングをおこなった。5つのマーカーで有意差を認めたものの、その中には偽陽性が含まれるものと予想される。確実なマッピングをおこなうためにSNP情報を組み合わせたハプロタイプ解析、連鎖不平衡解析をおこなう必要がある。
結論
OPLL罹患同胞対141対の収集ができた。ゲノム全域での連鎖解析にていくつかの染色体領域で連鎖を認めた。その中でも21番染色体で強い連鎖を得た(最大LOD=3.6 at D21S263)。候補領域からのポジショナルクローニングを試みているところである。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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