血管内皮細胞特異的受容体の制御による動脈硬化予防に関する研究

文献情報

文献番号
200000226A
報告書区分
総括
研究課題名
血管内皮細胞特異的受容体の制御による動脈硬化予防に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成12(2000)年度
研究代表者(所属機関)
望月 直樹(国立国際医療センター研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 深水昭吉(筑波大学筑波大学先端学際領域研究センター)
研究区分
厚生科学研究費補助金 総合的プロジェクト研究分野 長寿科学総合研究事業
研究開始年度
平成12(2000)年度
研究終了予定年度
-
研究費
9,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は動脈硬化症の発症・進行を制御する血管内皮細胞に特異的に発現する三量体GTP結合蛋白質共役型受容体①Edg焦点を絞って研究を行ない、動脈硬化症・細動脈の閉塞を予防することにより老人性痴呆・脳血管障害による寝たきり老人の増加を阻止することを究極の目的とする。本年度はEdg受容体からの細胞増殖機構の解明を目的とした。
研究方法
(1)培養細胞系でのEdg受容体の情報伝達機構:Edg受容体ど情報伝達系を解析するためEdg受容体サブタイプ特異的発現細胞株の樹立を試みる。(2)細胞増殖系のMAPキナーゼの調節機構を検討する。:内因性EDG受容体刺激による増殖刺激作用の検討は燐酸化Erkを指標として調べた。NIH3T3細胞、COS-1細胞、Hela細胞を12時間血清飢餓状態にした後、10mM SPP, 1mM LPAで刺激した。細胞溶解液で懸濁し15,000rpm10分間の遠心後の上清をSDS-PAGE後、PVDF膜に転写し3%Ovalbumin(TBS-0.1% tween20)でブロッキングの後、抗燐酸化Erk抗体(New England Biolab社)を使用してイムノブロットを行った。(3)細胞内Caの測定はNIH3T3細胞を血清飢餓状態で培養後Ca蛍光指示薬Fluo3-AMでラベル後SPPあるいはLPAで刺激後の蛍光強度を測定することでCa濃度を計測した。
結果と考察
研究結果=Edg-1,2,3,4,5cDNAのPCR法による単離とEDG- 1,2,3,4,-5発現Hela細胞株の樹立:Edg受容体のサブタイプ特異的発現Hela細胞株を樹立した。各細胞株でのEdg受容体の発現確認は野生型よりの刺激依存性Erkの活性化が顕著であることとintegrateされたEdg受容体をSouthernブロットで行った。
Edg受容体を介したErk活性化とErk活性化機構の検討:Edg受容体のErk活性化は三量体GTP結合蛋白質Giを介していることが判明した。またβγを介するがEGF受容体のTransactivation機構はEdgに関しては無いことが判明した。
Edg受容体刺激による細胞内Caの増加:NIH3T3細胞には内在性のEdg受容体があることがわかり同細胞を用いてCa蛍光指示薬Fluo3-AMにより細胞内Caの濃度を測定した。本測定系が96穴培養皿でも測定できる感受性を持っていた。
考 察=今年度Edg受容体発現細胞株を得られたことから細胞内情報伝達系の解析が容易となった。Edgに関してはErk活性化機構(βγを介するがEGF受容体のTransavtivation機構ではない)が明らかとなった。このErk活性化は百日咳毒素で抑制されることからGi共役型受容体であることが証明された。また、Edg受容体に関しては薬剤の開発のためのスクリーニング系を開発できたことから今将来的に創薬に有効利用できると思われる。
結論
Edg受容体の情報伝達系を解析するべく同受容体を発現する細胞株を樹立した。創薬に向けてのスクリーニング系を開発した。

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