高齢者高脂血症の長期予後に関する研究(総括研究報告書)

文献情報

文献番号
200000171A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者高脂血症の長期予後に関する研究(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成12(2000)年度
研究代表者(所属機関)
北 徹(京都大学大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 松沢佑次(大阪大学大学院医学系研究科)
  • 板倉弘重(茨城キリスト教大学教授)
  • 横山信治(名古屋市立大学医学部)
  • 横山光宏(神戸大学医学部教授)
  • 馬渕宏(金沢大学医学部教授)
  • 佐々木淳(福岡大学医学部助教授)
  • 大久保雅通(広島大学医学部)
  • 秋下雅弘(杏林大学医学部)
  • 林登志雄(名古屋大学医学部)
  • 森聖二郎(千葉大学医学部)
  • 大類孝(東北大学医学部)
研究区分
厚生科学研究費補助金 総合的プロジェクト研究分野 長寿科学総合研究事業
研究開始年度
平成11(1999)年度
研究終了予定年度
平成13(2001)年度
研究費
13,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高脂血症は急性心筋梗塞症などの生命に関わる心血管疾患と密接に関連することが示され、薬物療法が積極的になされるようになっている。申請者らは平成8-10年度に厚生省長寿科学研究事業を実施し、高齢者の高コレステロール血症治療ガイドラインをとりまとめた。ところが、我が国においては高齢者高脂血症の長期予後に関する研究がほとんど実施されておらず、上記ガイドラインは諸外国の調査結果等を検討して作製せざるを得なかった。そこで、本研究では、我が国における高齢者高脂血症の長期予後の現状を把握することを目的とした。
研究方法
当初、65才以上の高齢者を新たに登録し、種々の血液検査とともに3年間の長期予後を追跡することを目標としたが、種々の制限のため、そのまま計画を遂行することが困難であると判断し、班員関わっている、我が国において現在進行中のコホート研究(PATEスタディ、JLITスタディ、JELISスタディ、KLISスタディ、CLIPスタディ、北陸地方における家族性高コレステロール血症の予後調査(金沢大学)等)に協力を求め、それらの結果を総合判断して高齢者高脂血症の長期予後を解明することとした。さらに、各班員は、高脂血症と無症候性脳梗塞との関連の研究や、高齢者ADL(日常生活レベル)と高齢者高脂血症の関連に関する研究、可溶型新規酸化低比重リポ蛋白質受容体(LOX-1)の測定法開発などそれぞれ高齢者高脂血症の長期予後に関する重要な問題について取り組んでいる。
結果と考察
3年計画の2年目である。高齢者高脂血症の長期予後を解明するため、我が国において現在進行中のコホート研究(PATEスタディ、JLITスタディ、JELISスタディ、KLISスタディ、CLIPスタディ、北陸地方における家族性高コレステロール血症の予後調査(金沢大学)等)のメタアナリシスが考慮されたが、それぞれのスタディで患者背景に大きな差があり、それぞれのデータを個別に扱うのが妥当かと考えられた。最大の登録症例を持つJLITスタディではすでに6年間の追跡調査が終了しており、現在解析がなされている。このスタディではシンバスタチン服用の70才以下の症例を対象としているが、65才-70才の症例数は約10,000であり、予備解析の結果では、高齢者の方が若年者より高コレステロール血症の心血管イベントに対する危険率は上昇するようである。詳細な解析により、高レステロール値をどの程度まで低下させるべきか明らかになればと期待している。さらに、その他のスタディでも13年度には、年齢を考慮して解析していただき、高齢者の高脂血症を明らかにしていきたいと考えている。なかでも、JELISスタディでは、70才以上の症例が3,000を越え、有意義な結果をもたらすと期待される。しかし、JELISスタディは、現在、経過中であり、今回の調査に何らかの解析が間に合えばと期待している。
結論
我が国の高齢者高脂血症の長期予後を我が国において現在進行中のコホート研究の協力を得て、解明することとなった。すでに、方針は定まり、その方針に従い、必要に応じて、データの再解析等を依頼しながら、最終年度に、結論を導き出したいと考えている。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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