小児薬物療法におけるデータネットワークのモデルに関する研究

文献情報

文献番号
200000082A
報告書区分
総括
研究課題名
小児薬物療法におけるデータネットワークのモデルに関する研究
課題番号
-
研究年度
平成12(2000)年度
研究代表者(所属機関)
櫛田 賢次(国立小児病院)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生科学特別研究事業
研究開始年度
平成12(2000)年度
研究終了予定年度
平成13(2001)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
小児臨床において添付文書に記載されていないいわゆる適応外使用医薬品が有効性・安全性上問題となっている。米国において7年11月クリントン大統領により、政策として小児医療の改善が大きな柱として取り上げられ、法律化されて以来行政的な対応策がとられている。具体的な取り組みとして、The National Institute of Child Health and Human Development (NICHD) が小児の適切な薬物療法の目的のために“The Pediatric Pharmacology Reserch Unit Netwok (PPRU)"を構築し、急速に小児臨床試験が進んでいる。また、平成12年12月に厚生省より「小児集団における臨床試験のガイダンス」が通知され、小児臨床試験の推進が社会的要請である。その要請に応えるためには製薬企業、医療機関、医療行政が三位一体となり、小児医薬品の適正使用を改善するための枠組みを整備することが求められている。
そこで、我が国においても小児治療薬の有効性・安全性を確保するために、小児臨床試験を積極的に進めるために、日本版「PPRU」(改良型)の構築を行うことにした。
研究方法
本研究は、研究協力施設からインターネットを介して、処方実績データを入力することで、一元的なデータベースとする。また、治験をサポートする対象患者の分布に関する情報を一元的なデータベースモデルを構築する。
1.対象とするデータについて
(1)処方せん及びカルテからの実績データを薬剤部から入力する。
(2)対象となる医薬品は添付文書で用法・用量の項目に小児に対する記載のない次の医薬品として、初年度は入力作業での問題点等を検証することにした。
①抗てんかん薬(バルブロ酸ナトリウム)、②抗アレルギー薬(d-マレイン酸クロルフェニラミン)、③感染症治療薬(スルファメトキサゾール・トリメトプリム)、④血液疾患治療薬(イホスファミド)、⑤循環器治療薬(フロセミド)の各剤型とした。
2.入力方法
各施設においてインターネットを用いて「小児薬物療法研究」のホームページにアクセスし、所定の入力画面の項目に従い入力を行う。
3.施設の範囲
国立小児病院を中心として、国立病院成育医療ネットワーク基幹施設・協力施設及び日本小児総合医療施設協議会施設会員施設(県立こども病院など)を対象とした。
4.技術仕様の検討
個人情報の保護、暗号化、回線の仕様セキュリティを踏まえたネットワークの設計を行った。、
結果と考察
平成12年度は特別研究で実質3カ月余りの研究期間であったことから、主にデータベースの構築を行った。入力データは医薬品名、生年月日、性別、対象疾患及び患者ID(施設コードと各施設独自の添付コードからなり、患者を特定できる情報については各施設保管とする。)を入力必須項目(入力画面Ⅰ)とした。患者病名については、ICD10による入力を検討したが、現時点では各施設からの正確な入力が困難であることから、ある程度幅を持たせた添付文書による「対象疾患」とした。入力画面Ⅱは身長、体重、剤型情報、投与経路、1日投与量及び実投与期間とした。入力画面Ⅲは診療区分、有効性及び安全性情報とした。
患者情報のセキュリティについては、Webサーバとデータベースサーバを分離独立させることにより、不正アクセス者のWebサーバ・アタック(情報の改竄など)から完全に保護されている。また、Webサーバからデータベースへの情報は暗号化テキストとして配信されるように配慮した。
結論
研究協力施設がいかに無理なく処方実績データを入力できるかを前提にデータベースの画面構成を検討した結果、臨床治験を推進することが最も大きな目的であることから3画面構成とし、入力画面Ⅰ(必須項目)の入力のみでも目的が達せられるように工夫した。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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研究報告書(紙媒体)