栄養補助食品の栄養成分素材による健康影響に関する研究(総括研究報告書)

文献情報

文献番号
200000079A
報告書区分
総括
研究課題名
栄養補助食品の栄養成分素材による健康影響に関する研究(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成12(2000)年度
研究代表者(所属機関)
田中 平三(東京医科歯科大学・難治疾患研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 鈴木和春(東京農業大学)
  • 松村康弘(国立健康・栄養研究所)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生科学特別研究事業
研究開始年度
平成12(2000)年度
研究終了予定年度
-
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ビタミン、ミネラルについては栄養成分としての機能やその許容上限摂取量について栄養所要量を含め、知見の集積も見られるが、「その他の生理活性物質」については有効性、安全性に関する知見の集積はほとんどなく、検討会において定義、範囲、表示のあり方等大枠を設定する際、その判断が得られない状況にあり、その検討に要する基礎データを早急に収集する必要がある。本研究は、「いわゆる栄養補助食品の取り扱いに関する検討会」の報告書を年度内に早急にとりまとめるためる必要性があることから、その基礎的データを収集することを目的とした。
研究方法
栄養補助食品の規格基準を設定するために、各ビタミン、ミネラルの専門家からなるレビューワーキンググループを設定し、ビタミン、ミネラルの現在の摂取状況及び人における安全性、有効性に関する基礎的データを早急に収集した。
それと並行して、栄養機能食品の上限値および下限値設定のための基本的考え方を整理した。すなわち、規格基準の上限値設定にあたっては、医療用医薬品の承認基準が設定されていること、栄養摂取量データがあるもの、科学的にNOAEL(最大無作用量)、UL(上限値)があることを条件とした。
結果と考察
規格基準の設定条件の状況を踏まえ、以下のように規格基準の上限値を設定した。①設定条件すべてがそろっているもので、ULと栄養摂取量の和がNOAELより大きい場合:NOAEL-栄養摂取量、②設定条件すべてがそろっているもので、ULと栄養摂取量の和がNOAELより小さい場合:UL、③設定条件のうち、ULが不明なもの:NOAEL-栄養摂取量、④設定条件のうち、栄養摂取量が不明なものでULと栄養摂取量の和がNOAELより大きい場合:NOAEL-栄養摂取量、⑤設定条件のうち、栄養摂取量が不明なものでULと栄養摂取量の和がNOAELより小さい場合:UL、⑥設定条件のうち、ULおよび栄養摂取量が不明なもの:NOAEL-栄養摂取量、⑦設定条件のうち、医療用医薬品の承認基準のみ判明しているもの:医薬部外品の最大分量とした。
規格基準の下限値設定にあたっては、1日の食事回数は3回を基本とし、栄養バランスの上から、当該補助食品を1日分食べることによって少なくとも1食分程度の栄養所要量を満たしてもらうことを前提とし、1日当たりの食品の用法・用量表示を必須条件に、栄養所要量の1/3とした。
その結果、各ビタミン、ミネラルの上限値・下限値の設定案として以下の値が得られた。
ビタミンA(上限値:5000IU、下限値:600IU)、ビタミンB1(上限値:500mg、下限値:3mg)、ビタミンB2(上限値:12mg、下限値:)、ナイアシン(上限値:1500mg、下限値10mg)、ビタミンE(上限値:600mg、下限値:3mg)、カルシウム(上限値:2000mg、下限値250mg)、鉄(上限値:40mg、下限値:4mg)、マグネシウム(上限値:700mg、下限値:100mg)、カリウム(上限値:200mg、下限値:650mg)、銅(上限値:4mg、下限値:0.6mg)。なお、カリウムは基本的な考え方に基づいて設定されたものであるが、これによると下限値が上限値より大きくなっており、別の考え方の必要性が示唆された。
また、設定条件のうち、NOAELのみが判明している、あるいはすべてが判明していないもの(リン、ヨウ素、マンガン、セレン、亜鉛、クロム、モリブデン)は、今回規格基準の上限値を設定できなかった。今後の研究の進展が望まれる。
結論
本研究では、いわゆる規格基準型の栄養補助食品中のビタミン・ミネラル成分に関して、安全性・有効性の観点から、上限値および下限値を設定するための科学的根拠を検討し、それに基づいて設定を試みた。これによって、検討会で規格基準を設定する際の根拠資料を提出することができた。しかし、十分な科学的根拠の蓄積がないものも判明し、今後それらに対する研究を推進することが望まれた。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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研究報告書(紙媒体)