心肺蘇生法の国際規格作りと研修プログラムの開発に関する研究(総括研究報告書)

文献情報

文献番号
200000068A
報告書区分
総括
研究課題名
心肺蘇生法の国際規格作りと研修プログラムの開発に関する研究(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成12(2000)年度
研究代表者(所属機関)
小濱 啓次(川崎医科大学救急医学教室教授)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生科学特別研究事業
研究開始年度
平成12(2000)年度
研究終了予定年度
平成13(2001)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
心肺蘇生法は人命を救助するために知っていなければならない知識であり技術である。しかし、その方法に組織や団体によって一部異なるところがある。このことは、心肺蘇生法の全国普及の隘路となることから、心肺蘇生法に関係する学会、団体、省庁等に参加願い、一般市民が行う心肺蘇生法の国際的な統一規格を図ることを目的とした。
研究方法
新しく作られる心肺蘇生法が等しく認められるために、心肺蘇生法に関連する学会、団体、省庁に委員会に参加してもらった。また、国際規格とするためにAHAのガイドライン2000を参考資料とした。これらをもとに国際規格の心肺蘇生法と研修プログラムを作成した。
結果と考察
研究結果=心肺蘇生法の全国統一の資料として日本医師会が1991年に監修、出版した「救急蘇生法の指針ー一般市民のためにー」がある。これをもとに、AHAのガイドライン2000を参考に新しい基準作りを行い、以下の変更、追加をすることとした。
①口腔内の異物を確認することなく気道を確保して人工呼吸を行う。②人工呼吸の呼気吹き込み量の適切な量は約10ml/kg とする。(2秒間で吹き込む)③2人で行う心肺蘇生法でも、1人で行う場合と同じく、心臓マッサージと人工呼吸の比率を15:2とする。④意識のない傷病者に対しては、異物除去の方法としてハイムリック法は行わない。⑤心停止の観察・判断には、頚動脈の拍動を触れる必要はない。(反応がなく呼吸をしていない傷病者に呼気を吹き込み、それに反応して呼吸を始めるか、咳をするか、その他の動きを示すかどうかで心停止を判断する。)⑥心臓マッサージは1分間に100回の速さ(割合)で行う。⑦口対口人工呼吸ができない場合、電話で指示する場合は心臓マッサージだけでも良い。
以上の結果をもとに、新しい心肺蘇生法の基準を作り、これを指導者が適切に教育、指導できるよう「救急蘇生法の指針ー一般市民のためにー指導者用」も作成した。また、この研修のためのプログラムも作成した。
考察=心肺蘇生法は全ての国民が修得すべき知識であり技術である。このことから、心肺蘇生法は全ての国民が統一された規格のもとに教育されなければならない。またこのためには、心肺蘇生法に関係する全ての学会、団体、省庁等の合意がなければならない。このことから今回、これらの組織、団体に声をかけ、心肺蘇生法の規格作りと研修プログラムの作成を行った。また、この規格が国際的にも通用するものでなければならないとの見解から、国際的に用いられているAHAの心肺蘇生法ガイドライン2000を参考資料として用いた。
結果としては、今アメリカで最も重要視されているAED(Automated External Defibrillation)をわが国に法的な問題があることから取り入れることができなかったが、その他の手技に関しては国際的にも通用する心肺蘇生法の国際規格作りと研修プログラムが出来た。今後はこの規格をもとに、一般市民への心肺蘇生法の普及、啓蒙が望まれる。
結論
心肺蘇生法に関連する学会、団体、省庁等に参加願い、一般市民のための心肺蘇生法の国際規格作りと研修プログラムの作成を行った。結果としてAEDを取り入れることができなかったが、その他に関しては、関係する学会、団体、省庁合意のもと、国際的にも十分通用する心肺蘇生法の規格と研修プログラムが出来たものと思われる。

公開日・更新日

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