健康日本21の推進に資する健康関連機器の開発に関する調査研究

文献情報

文献番号
200000046A
報告書区分
総括
研究課題名
健康日本21の推進に資する健康関連機器の開発に関する調査研究
課題番号
-
研究年度
平成12(2000)年度
研究代表者(所属機関)
箭内 博行((財)医療機器センター)
研究分担者(所属機関)
  • 片山 文善(健康増進機器連絡協議会)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生科学特別研究事業
研究開始年度
平成12(2000)年度
研究終了予定年度
-
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
健康日本21を推進する上で、個々人がより健康でありたいと思ってすすめる健康増進活動を支援するために必要な健康関連機器の開発について、その方向性を示すとともに、関連企業がその開発に乗り出すための基盤整備についての基礎的調査を行うことを目的として研究を行った。
研究方法
本研究は、主任研究者、分担研究者及び研究協力者による研究班を組織し検討を行った。研究班において、現在販売されている健康関連機器の現状を把握するとともに、関係各方面に対し、アンケート等により将来動向および現在の機器の改良点などを聴取し、今後の健康関連機器の開発に関する一定の方向性について検討した。また、企業が健康関連機器の開発を行う上で必要となる公的資金など、開発を促進するための方策についても検討した。
結果と考察
1. アンケート調査
現在販売されている健康関連機器の現状を把握するため、健康関連機器開発企業及び健康運動指導士に対しアンケート調査を行った。健康関連機器開発企業に対するアンケートの結果、今後開発または普及させたい機器は、計測機器が50%、次いで訓練機器が28%を占め、また個人向け機器が61%を占めていることも解った。健康運動指導士に対するアンケートの結果、施設では、健康指導に、エルゴメータ(58.6%)、トレッドミル(48.4%)、体育館・スタジオ(45.3%)の順に多く利用され、健康指導の管理に、体脂肪計(75.8%)、自動血圧計(70.3%)、体重計(44.5%)の順に多く利用されているのが解った。また、個人では、健康指導に、歩数計(44.5%)、体脂肪計(38.3%)、体重計(19.5%)の順で多く利用されていることが解った。この健康関連機器開発企業及び健康運動指導士に対するアンケートの結果、健康指導の実践のために、施設の連携、指導者の育成や指導マニュアルの充実が必要であることが、明らかとなった。また、マニュアルの内容については、具体的な機器の効用を含めた指導管理マニュアルや実践プログラムの必要性が高いことが、企業側から伺えた。
2. 健康関連機器の開発のための要素技術
「健康日本21」の推進に資する健康関連機器の開発にあたり、次の技術が提案された。
・ 運動を安全に且つ効果的に行うための測定・訓練技術  
・ 疾病予防、健康管理・増進のための行動変容サポートシステム技術
・ 遠隔健康管理により在宅での運動を支援し、効果を測定する技術
3. 「健康日本21」の推進に資する健康関連機器
「健康日本21」の推進に資する健康関連機器の開発に当たっては、個人個人が健康に関心をもち、その必要性を自覚して楽しみながら、運動や栄養などの生活習慣の改善が図れる様な育成ゲーム感覚のものや、携帯電話などを利用して双方向の情報のやりとりで、行動変容をもたらすものが求められていることが解った。また、個人個人の健康指導において、ベテランの指導ノウハウ、医師のアドバイス、高齢者や身体活動度の低い人の指導方法などあらゆる情報を総合的にデータベース化、ナレッジ化して関係者が共有して、提供できるネットワークを開発し、相談対応や相互の経験やノウハウの提供、相互連携に生かしていくことも、健康関連機器の開発・促進・普及と合わせて、考えていかなければならないことが解った。
4. 開発を行う上で必要となる公的資金
健康関連機器の開発・普及・促進のための公的資金援助については、市町村などとのモデル事業や実証実験に対して支援する助成制度が必要であることが解った。
本研究成果の活用により、「健康日本21」の理念に沿った企業による健康関連機器開発活動が促進されれば、その周辺に介在する関連企業の成長をも促進させることとなり、健康関連産業及び関連IT産業の発展に寄与するものと考える。またひいては、健康関連機器の普及・使用により「健康日本21」が推進され、生活習慣病などに対する一次予防効果が、国民の継続的な健康づくりをすすめる上で重要なものとなり、結果的に、医療費の抑制が図られ、さらには、健康寿命の延命による介護保険費用の低減が図れることが実現すれば、今後の少子高齢化社会の社会保障関連予算の総枠の抑制が図れることとなることが期待されると考える。
結論
本研究の結果、「健康日本21」の推進に資する健康関連機器の開発・普及・促進には、次のような施策を「健康日本21」の推進のパイロット事業、モデル事業として実施することが必要であるとの結果が得られた。
1) 自治体・団体・健康関連機器企業が一体となって、施設を中心とした個人個人にあった目標値を達成するための実践プログラムを開発する。
2) 前述で得られたノウハウをデータベース化、ナレッジ化して広く、関係指導者に活用できる様、IT技術を利用してネットワーク化する。これにより、指導者間の情報交換、人材の育成、機関の連携を図る。
3) 1)2)項で蓄積されたノウハウや情報を元に、個人指導の為のパーソナルユースの機器の普及やこれをネットワーク化して、双方向の情報提供を目指して、集団で競いながらゲーム感覚で運動などの生活習慣を改善できるシステムを展開する。

公開日・更新日

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