文献情報
文献番号
200000013A
報告書区分
総括
研究課題名
保険者機能に関する研究プロジェクト(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成12(2000)年度
研究代表者(所属機関)
山崎 泰彦(上智大学文学部教授)
研究分担者(所属機関)
- 尾形裕也(国立社会保障・人口問題研究所社会保障応用分析研究部長)
- 府川哲夫(国立社会保障・人口問題研究所社会保障基礎理論研究部長)
- 泉田信行(国立社会保障・人口問題研究所社会保障応用分析研究部研究員)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究事業
研究開始年度
平成11(1999)年度
研究終了予定年度
平成12(2000)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書（概要版）
研究目的
本研究では、医療保険制度の要の存在である医療保険者の役割を検討することにより、医療制度改革に対して一定の政策提言を行うことを目的とするものである。医療保険制度は現在制度疲労ともいえる状況に陥っている。その状況を改善するための方法のひとつとして、保険者機能の強化が考えられる。保険者は医療とそれに係わる問題の鍵となる情報の収集が患者や医療機関よりも容易に行える立場にある。それゆえ、保険者の機能を適切に設定することにより、現在議論されている医療に関連する問題に対する回答が得られる可能性がある。
研究方法
平成12年度は、前年度のサーヴェイ、実証的研究成果を踏まえ、各研究協力者毎の研究とその発表を中心に研究会を進めた。また昨年度の米国に引き続き、本年度はヨーロッパの保険者機能実態調査を実施した。これらの研究も踏まえ、最終的な研究全体での成果として、研究会の共通意見となるエグゼクティブサマリーの作成にも取り組んだ。各項目に関する研究結果は下記の通りとなっている。(1)研究者、実務家など多岐にわたる各研究協力者の異なる視点からの保険者機能に関する研究発表を受け、その成果を最終報告書の中に個別執筆論文として掲載した。(2)近年の医療制度改革において特に保険者機能の発揮を先行して導入しているヨーロッパ諸国での公的保険者、プロバイダー(組織)、民間保険会社、医療保険関連の調査研究機関等に対する訪問調査を行った。(3)介護保険法との比較研究では、医療保険と介護保険との保険者機能について比較検討を行った。(4)エグゼクティブサマリーの作成は、従来の先行研究との差別化をできる限り図ることを念頭に置きながら、本研究会における共通理解部分としての一定の見解の作成を行った。
結果と考察
研究協力者による研究発表を通じ、様々な切り口から保険者機能に関する研究を行うことができ、それぞれの成果は最終報告書中に掲載されている。海外実態調査では、昨年度の米国実態調査も踏まえ、米国・イギリス・フランス・ドイツ・オランダ5カ国について各国毎に保険者機能に関する報告書を作成した。また保険者機能の視点での国際比較可能な資料の作成も行った。以上の研究成果を包括するために、エグゼクティブサマリーの作成に取り組んだ。具体的には、理論的分析(概念整理、定義再検討、各種理論の整理)、国内現状分析(医療保険関連法・介護保険法制度比較、定量分析、歴史的背景調査)、国際比較(欧米の実態調査、評価)の観点から、医療政策全体における保険者機能の位置づけをあぶり出し、保険者機能に着目する観点から構想した政策提言を提示し、更に残された問題も含め今後の展望についての検討など、成果を得ることができた。
結論
これまでの医療保険制度は、公平な医療提供体制の量的整備に重点が置かれ、その実現のためには、プロバイダーの協力による行政主導の医療制度が運営されてきた。しかし今日医療保険制度の目的は、良質な医療の効率的な提供へと推移している。その実現のためには、従来型のシステムから、自立した各プレイヤー(保険者・サービス受け手・プロバイダー)が対等に対話できる制度への改革が必要である。そのプロセスや新しいモデルの実現には、保険者の機能を活用することが必要なのである。
公開日・更新日
公開日
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更新日
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