文献情報
文献番号
200000005A
報告書区分
総括
研究課題名
DRG導入検討モデルとしての冠動脈インターベンション(PTCA)全国コストデータベースに関する調査研究(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成12(2000)年度
研究代表者(所属機関)
茅野 眞男(国立病院東京医療センター 循環器科)
研究分担者(所属機関)
- 山口徹(東邦大学医学部付属大橋病院)
- 中西成元(国家公務員共済虎ノ門病院)
- 岡部輝雄(国立病院東京医療センター)
- 橋本英樹(帝京大学医学部衛生学公衆衛生学教室)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究事業
研究開始年度
平成11(1999)年度
研究終了予定年度
平成13(2001)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
医療費償還の疾患別定額払い(国立病院試行DRG/PPS)も本年3月から一歩後退して、DRG検討のみとなった。かように急性期疾患入院費支払いの問題は難しい。医療政策的手段はDRG/PPSに限られるのではない。これを医療経済学分野で有名なDonabedian の3model(構造因子、過程因子、結果因子)に分けて考えると、構造因子が大きければ診断群分類包括化、重症度補正、病院機能分化の対策が、過程因子が大きければガイドライン、クリティカルパスの徹底対策が医療政策的提言になる。本研究の目的は第1に冠動脈インターベンョンたる経皮的冠動脈形成術(以下PTCA)症例に限定した本邦初のコストデータベース(以下DB)を作成すること。第2にそのDBの各項目を構造因子=患者属性・病院特性、過程因子=PTCA関連特性、結果因子=費用関連に対応させ、構造と過程のいずれの因子が費用に与える影響が大きいのかを定量的に検討することであった。
研究方法
DB作製自体、本邦初の試みであり、多くの困難が伴ったが、現在参加病院38施設、各病院急性心筋梗塞を含む連続50例、参加病院38施設、登録症例1900例で完成している。その詳細は初年度報告と別冊を参照(分担研究者 中西)。レセプトその他資料を送ってもらい中央入力していたが、個人情報保護問題から本人の文書同意が必要とされたため、本法を使った登録病院の拡大は不可能な状態になっている。
そのDBを使い、初回PTCA施行入院費を従属変数として、上記の構造及び過程因子、合計46因子を説明変数とし、初年度は単変量、今年度は多変量モデルで解析を行った。最終年度は追跡費用を含めた多変量モデルの解析を行う。
情報変数たる病院番号を、構造因子たる病院特性とは異った過程因子と仮定した。従属変数値の変動に寄与する説明変数の程度をみる指標として、p値でなく、決定係数(相関係数の二乗 R-square)の重要性を初年度に強調した。今年度は多変量モデル解析に当たり、急性心筋梗塞の有無で2群に分け、各説明変数の単独影響を見るために、線型性と多重共線性のチェックを厳密に行った後(分担研究者 橋本)、線形回帰でのステップワイズ結果から病院番号のpartial R-squareを算出し、これを定量化された病院間較差と定義した。
そのDBを使い、初回PTCA施行入院費を従属変数として、上記の構造及び過程因子、合計46因子を説明変数とし、初年度は単変量、今年度は多変量モデルで解析を行った。最終年度は追跡費用を含めた多変量モデルの解析を行う。
情報変数たる病院番号を、構造因子たる病院特性とは異った過程因子と仮定した。従属変数値の変動に寄与する説明変数の程度をみる指標として、p値でなく、決定係数(相関係数の二乗 R-square)の重要性を初年度に強調した。今年度は多変量モデル解析に当たり、急性心筋梗塞の有無で2群に分け、各説明変数の単独影響を見るために、線型性と多重共線性のチェックを厳密に行った後(分担研究者 橋本)、線形回帰でのステップワイズ結果から病院番号のpartial R-squareを算出し、これを定量化された病院間較差と定義した。
結果と考察
本年度は多変量解析に重点を絞った。
1.基本統計量;本DBの非急性心筋梗塞群の院内死亡率0.3%。日常診療成績として米国MEDPAR の院内死亡とバイパス1.1-2.8%(65才以上、stent普及後の1996年のデータ)と比較すべく、本DBから65才以上を抽出すると、同じく0-0.6%と良い成績であった。(分担研究者 山口)10)。
入院費の7割以上はカテーテル材料費であり、この保険償還価格が下がることも重要である。そこで平成13年7月に日本心血管インターベンション学会パネルにて内外価格差問題を茅野が主催する。
2.初回全入院費の多変量モデル
急性心筋梗塞群での、優位な説明変数の相対的説明力の方向性とpartial R-squareを共に示すと、合併症があるほど入院費が高い;0.16、POBA本数が多いほど高い;0.07、stent本数が多いほど高い;0.07、年間PTCA数が150以上では低い;0.06、複数回PTCA例のほうが高い;0.03。これら項目の線形回帰でのステップワイズの結果はR-square=0.40と計算され、これから算出する病院番号のpartial R-squareは0.20と大きなものであった。
非急性心筋梗塞群では同じくpartial R-square標記で、POBA本数;0.19、stent本数;0.19から始まって、合併症0.13、病床規模で<400が>600より高い;0.09、複数回PTCA;0.05、高齢ほど入院費高い;0.03、インターベンション既往がないほうが高い;0.03、年間PTCA数;0.03、経営主体(国公立が私立に比べて高い)0.02、総計のR-square=0.53、病院番号のpartial R-squareは0.04と、急性心筋梗塞群のそれよりは低くでている。
1.基本統計量;本DBの非急性心筋梗塞群の院内死亡率0.3%。日常診療成績として米国MEDPAR の院内死亡とバイパス1.1-2.8%(65才以上、stent普及後の1996年のデータ)と比較すべく、本DBから65才以上を抽出すると、同じく0-0.6%と良い成績であった。(分担研究者 山口)10)。
入院費の7割以上はカテーテル材料費であり、この保険償還価格が下がることも重要である。そこで平成13年7月に日本心血管インターベンション学会パネルにて内外価格差問題を茅野が主催する。
2.初回全入院費の多変量モデル
急性心筋梗塞群での、優位な説明変数の相対的説明力の方向性とpartial R-squareを共に示すと、合併症があるほど入院費が高い;0.16、POBA本数が多いほど高い;0.07、stent本数が多いほど高い;0.07、年間PTCA数が150以上では低い;0.06、複数回PTCA例のほうが高い;0.03。これら項目の線形回帰でのステップワイズの結果はR-square=0.40と計算され、これから算出する病院番号のpartial R-squareは0.20と大きなものであった。
非急性心筋梗塞群では同じくpartial R-square標記で、POBA本数;0.19、stent本数;0.19から始まって、合併症0.13、病床規模で<400が>600より高い;0.09、複数回PTCA;0.05、高齢ほど入院費高い;0.03、インターベンション既往がないほうが高い;0.03、年間PTCA数;0.03、経営主体(国公立が私立に比べて高い)0.02、総計のR-square=0.53、病院番号のpartial R-squareは0.04と、急性心筋梗塞群のそれよりは低くでている。
結論
全国規模の精緻なPTCAデータベースを作成し、入院費を従属変数とする多変量モデルにおてい、世界で始めて病院間較差(病院番号のpartial R square)を算出することにより、疾患によりDRG/PPSを施行する優先度に差があることを証明した。
公開日・更新日
公開日
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更新日
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