地域歯科医療における感染症に対する危機管理システムの検討(総括研究報告書)

文献情報

文献番号
200000002A
報告書区分
総括
研究課題名
地域歯科医療における感染症に対する危機管理システムの検討(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成12(2000)年度
研究代表者(所属機関)
花田 信弘(国立感染症研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 田沢光正(岩手県庁)
  • 佐藤保(岩手県歯科医師会)
  • 及川慶一(岩手県医師会)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
平成12(2000)年度
研究費
3,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「感染症の予防および感染症の患者に対する医療に関する法律案」が施行され、新しい危機管理体制が整備されている。岩手県でもその対応が協議されている。歯科の分野においても口腔感染症に対する対策が必要であるが、十分な検討がなされていない。在宅訪問診療や老人介護施設における歯科診療に際してどのような口腔の病原体に遭遇しているのかを具体的に調査し、その対策を立案する必要がある。
研究方法
対象:研究Aでは特別養護老人ホーム入居者329名。研究Bでは、幼児(5-6歳)657名、研究Cでは、8-12歳の児童256名、研究Dでは、成人(平均年令38.1歳の集団121名および39.8歳の集団144名)、研究Eでは歯科衛生士(平均年令30.3歳)15名およびヘルスケアーワーカー(平均年令43.6歳)14名である。検査材料は、歯垢(表層)、咽頭ぬぐい液。使用容器及び採取方法:専用採取器具(シードスワブ1号;BML,東京)にて歯面ならびに咽頭後壁を擦過し採取。検体を輸送後培養し、呼吸器系感染症の関連微生物を中心に検出した。また、研究Fで除菌方法の検討を行った。
結果と考察
平成12年度は、各年令層の人々の歯や義歯にはどのような病原体が定着しているのかを調べた。その結果、幼児(5-6歳)を含む各年齢層の口腔からは呼吸器系感染症などに関連する起炎性の高い病原体が多数検出されることがわかった。主な検出菌は以下の通りである。 Candida albicans ;Enterobacter cloacae、Pseudomonas 属、Xanthomonas maltophilia、Staphylococcus aureus (MSSA);Staphylococcus aureus (MRSA) ;Streptococcus pneumoniae(肺炎球菌) ;Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌);Branhamera catarrhalis ;Klebsiella ozaenae;Klebsiella pneumonia(肺炎桿菌);Haemophilus influenzae(インフルエンザ菌); Haemophilus parainfluenzae(パラインフルエンザ菌)。
黄色ブドウ球菌、インフルエンザ菌や緑膿菌などの菌は、インフルエンザウイルスの活性化や老人の誤嚥性肺炎との関連が指摘されているので、口腔ケアによる、的確な除菌対策が必要であることが示唆された。なお、歯科衛生士の集団からは、日和見病原菌が検出されないことからも、口腔ケアによる除菌が効果的であることが窺える。研究F (デンタル・ドラッグ・デリバリー・システム;3DS) により日和見病原体の除菌方法が報告されたので、検査システム、除菌システムを効果的に運用することで口腔に由来する感染症を未然に予防できる。更にデータを補強すると共に、医師会と歯科医師会および保健所の間で、感染症に対する危機管理のための一次医療、二次医療および三次医療圏の確立について更に検討していく必要があると思われる。
結論
研究A-Eの結果を分析すると口腔からは幼児を含む各年齢層で起炎性の高い病原体が多数検出された。研究F(デンタル・ドラッグ・デリバリー・システム;3DS)により日和見病原体の除菌方法が報告されたので、検査システム、除菌システムを効果的に運用することで口腔に由来する感染症を未然に予防できる。今後は医師会、歯科医師会、保健所が連係して、これらの日和見病原菌を除去する社会システムを確立する必要があることがわかった。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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