諸外国における看護婦の資格試験実施に関する研究(総括研究報告書)

文献情報

文献番号
199900938A
報告書区分
総括
研究課題名
諸外国における看護婦の資格試験実施に関する研究(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成11(1999)年度
研究代表者(所属機関)
濱田 悦子(日本赤十字看護大学)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究事業
研究開始年度
平成11(1999)年度
研究終了予定年度
平成12(2000)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、諸外国の看護婦資格試験制度及び実施状況を分析、比較、考察し、我国の国家試験の課題を明らかにするための基礎資料とすることを目的とした。
研究方法
アメリカ合衆国(N.Y.州)、英国、ドイツ、フランスの4カ国を対象とし、各国で規定されている看護婦の役割、看護婦免許申請資格(教育・試験・適正等の要件)、資格試験の内容・作成・実施状況を調査した。対象国の法令・法規、白書等の政策文書、学会・関連団体の刊行物、統計等の資料を検討(インターネットや専門業者が収集した資料を含む)し、加えて海外試験作成機関や留学生へのヒアリングを通じデータを収集し、検討した。
結果と考察
1.資格試験実施状況
看護婦資格を取得するための条件は、各国によって相違がみられる。合衆国(NY州)とドイツ、フランスは資格登録管理主体が定める資格試験への合格を求めているが、英国では資格試験は実施しておらず、登録前教育の修了が資格取得を意味する。試験問題作成過程は、合衆国では全米の看護協会の代表者からなる単一の連盟が作成し、その作成・検討の手順が明確に公開されている。これに対しドイツは単一の国家試験作成機関はなく、各学校単位に結成される資格試験委員会に試験の作成が委ねられている。再受験の実施状況については、合衆国では、資格試験に不合格だった者は最低91日以降に再受験可能、ドイツでは筆記、口頭、実務試験毎に合否判定が行われ、不合格となった試験のみ1回再受験可能である。
2.資格登録・更新体制と継続教育
合衆国(N.Y.州)、英国が3年ごとの更新を義務づけているが、ドイツは終身免許である。特に英国では資格更新体制と継続教育体制が連動し、看護婦の資質維持が行われている。
3.資格試験範囲及び内容
合衆国における試験範囲や内容は関連法規や業務分析に基づき4つのクライエントニーズのカテゴリーと看護学の概念及び看護過程の組合わせによって構成され、それらは実践と理論との統合を図るものであり、看護学の体系に基づいた分類が採用されている。ドイツの場合は看護、病理学、解剖・生理学、職業学、法律・公民学など、看護学及び他の関連諸学問から構成されており、理論と実践については明確な区分はない。フランスでは、一つの症例について医学的知識、看護学的知識、社会保障・福祉・法令に関する知識を問う幾つかの設問から構成されている。特に社会保障・福祉・法令に関する知識を問う設問の割合が多いのが特徴的である。試験の形式については合衆国がコンピュータによる試験を実施しており(客観式、多肢選択式問題:記述式、実技は含まれない)、ドイツでは筆記試験、口頭試験、実務試験を実施している。
結論
以上の基礎資料の検討を通じて、資格試験問題の出題基準と作成手順、試験問題・解答の公開の是非、資格試験不合格者に対する継続教育あるいは再教育の実施(再受験期日の設定)、看護婦の質の維持・向上のための継続教育と資格更新との関連づけ、理論と実践を統合した試験内容の検討、実技試験及び口頭試験を含む資格試験の形式の検討など、諸外国による特徴が明らかになった。我が国の国家試験制度については、これらの点を加味し、検討して行くことが望まれる。

公開日・更新日

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研究報告書(紙媒体)