文献情報
文献番号
199900879A
報告書区分
総括
研究課題名
電子診療録における医療情報交換技術の標準化とその仕様拡張に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成11(1999)年度
研究代表者(所属機関)
吉原 博幸(宮崎医科大学教授 附属病院医療情報部)
研究分担者(所属機関)
- 荒木賢二(宮崎医科大学附属病院医療情報部)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究事業
研究開始年度
平成11(1999)年度
研究終了予定年度
-
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
A.研究目的
1998年度の研究で、医事会計-電子カルテ連携のためのデータ交換フォーマット(開発名称 CLinical Accounting InforMation; CLAIM)の開発を行った。電子カルテシステムと医事会計システム(いわゆるレセコン)との電子的データ交換を標準化、粗結合化(オープン化)することのメリットとして、電子カルテシステム開発促進が挙げられる。現在、多くのメーカーが電子カルテ事業に新規参入を図っているが、医事会計システムを独自に持たないベンダーが電子カルテ事業に参入しようとする際に、これらのベンダーは既存の医事会計システムごとにインターフェイスを開発する必要がある。CLAIMを策定しておけば、電子カルテベンダーはCLAIMに対する一種類のインターフェイスを開発するだけで済み、開発効率の向上とコスト削減につながる。また、医事会計システムベンダーにとっても、ユーザから電子カルテ導入を依頼された際に、独自に新たな開発を行う必要がなくなる。また、紙カルテから得ていた情報の一部を、電子カルテから自動的に抽出することが可能となり、大きなメリットが生じると考えられる。
1998年度の研究で、医事会計-電子カルテ連携のためのデータ交換フォーマット(開発名称 CLinical Accounting InforMation; CLAIM)の開発を行った。電子カルテシステムと医事会計システム(いわゆるレセコン)との電子的データ交換を標準化、粗結合化(オープン化)することのメリットとして、電子カルテシステム開発促進が挙げられる。現在、多くのメーカーが電子カルテ事業に新規参入を図っているが、医事会計システムを独自に持たないベンダーが電子カルテ事業に参入しようとする際に、これらのベンダーは既存の医事会計システムごとにインターフェイスを開発する必要がある。CLAIMを策定しておけば、電子カルテベンダーはCLAIMに対する一種類のインターフェイスを開発するだけで済み、開発効率の向上とコスト削減につながる。また、医事会計システムベンダーにとっても、ユーザから電子カルテ導入を依頼された際に、独自に新たな開発を行う必要がなくなる。また、紙カルテから得ていた情報の一部を、電子カルテから自動的に抽出することが可能となり、大きなメリットが生じると考えられる。
研究方法
B.研究方法
以下の方針に沿って、CLAIMの改訂を行った。
1) CLAIMの使用目的
使用目的は、電子カルテシステムと医事会計システムの情報交換である。将来的には、病院の財務管理や経営分析にも応用されるべきものであるが、今回はとくに診療報酬請求情報(レセプト情報)を中心に開発を行った。
2) 電子カルテシステムとの関係
CLAIMには、電子カルテ・医事の両システムでやりとりを行う項目がタグとして準備されている。患者の外来受付時には、医事会計システムから個人情報、健康保険情報などが入力され、電子カルテシステムに渡される。診療が終わると、病名情報、診療情報および点数を含まない医事請求情報が医事会計システムに渡され、点数計算等の医事会計処理を行う。さらに、その結果は電子カルテシステムに渡され、電子カルテ側からも、診療報酬請求額などの医事会計情報が参照可能とする。
3) 柔軟性の重視
CLAIMは、たびたび行われる薬価や点数表の改訂はもとより、包括医療の導入などの大きな改訂にもなるべく影響を受けない構造とすべきと考える。よって、タグの種類はなるべく少なくし、タグによって表されるデータ(コード表、マスタあるいはテーブル)の書き換えで改訂に対応できるように設計する。
4)MMLとの関係
医療情報学会課題研究会「電子カルテ研究会」は、医療情報を施設間、あるいは異なる情報システム間で交換するための医療情報交換規約であるMML(Medical Mark-up Language)の策定を1994年から開始し、1999年にはバージョン2.2.1を公開し、製品レベルの電子カルテシステムに実装する段階に入っている。昨年度までのCLAIMで独自に定義していた、患者識別情報、健康保険情報、診断情報など、MMLとの共通部分については、MML側の定義を使用し、CLAIM特有の部分(医事データなど)についてのみCLAIM側で定義することとした。つまり、MML側から見た場合、CLAIMはMMLで使うことの出来るモジュールの一つと見なされ、CLAIM側から見た場合、MMLは親規格と見ることが出来る。
CLAIM(CLinical Accounting InforMation)は、電子カルテ-医事会計システム連携のためのデータ交換の仕様である。CLAIMにおけるデータ構造化の対象は、医事請求に必要な診療情報である。ただし、医事コードを送ることを前提としており、医事コードを選択するのに必要な情報(例えば、創傷処理において、傷の長さの情報など)を医事会計システムへ渡すのではない。
本仕様は、日本医療情報学会課題研究会「電子カルテ研究会」が策定したMML仕様Version2.21を上位の規約としている。本仕様によって、定義されるCLAIMモジュールは、MMLにおいて定義されるMMLモジュールと同様に扱うことが可能である。よって、MMLで決められている全ての仕様がCLAIMにも適用される。また、CLAIM独自のMMLに対する拡張(テーブル内容の追加など)も存在する。原則的に本仕様では、MML仕様に記載されていないCLAIM独自の定義が記載されている。
CLAIMモジュールは、MMLインスタンスにおいて、MMLモジュールと全く同じ規格のもとに使用される。すなわち、CLAIMモジュールは、MmlBody- MmlModuleItem- contentエレメントの下位に置かれる。また、一つのcontentに必ず一つのCLAIMモジュールが置かれる。
MMLインスタンスが一つ以上のモジュールにより構成されるのと同様に、CLAIMモジュールも、一つのMMLインスタンス内に一つ以上出現可能である。また、他のMMLモジュールと並存することも可能である。
CLAIMモジュールで使用する、XML Namespace のPrefix文字列は本仕様書で使用されているPrefix文字列を使うことを推奨する。アプリケーションの実装上は、XML Namespaceの規約に従って動作するものとする。
5) 使用言語
CLAIMはMMLと同様にXML(eXtensible Markup Language)で記述する。
以下の方針に沿って、CLAIMの改訂を行った。
1) CLAIMの使用目的
使用目的は、電子カルテシステムと医事会計システムの情報交換である。将来的には、病院の財務管理や経営分析にも応用されるべきものであるが、今回はとくに診療報酬請求情報(レセプト情報)を中心に開発を行った。
2) 電子カルテシステムとの関係
CLAIMには、電子カルテ・医事の両システムでやりとりを行う項目がタグとして準備されている。患者の外来受付時には、医事会計システムから個人情報、健康保険情報などが入力され、電子カルテシステムに渡される。診療が終わると、病名情報、診療情報および点数を含まない医事請求情報が医事会計システムに渡され、点数計算等の医事会計処理を行う。さらに、その結果は電子カルテシステムに渡され、電子カルテ側からも、診療報酬請求額などの医事会計情報が参照可能とする。
3) 柔軟性の重視
CLAIMは、たびたび行われる薬価や点数表の改訂はもとより、包括医療の導入などの大きな改訂にもなるべく影響を受けない構造とすべきと考える。よって、タグの種類はなるべく少なくし、タグによって表されるデータ(コード表、マスタあるいはテーブル)の書き換えで改訂に対応できるように設計する。
4)MMLとの関係
医療情報学会課題研究会「電子カルテ研究会」は、医療情報を施設間、あるいは異なる情報システム間で交換するための医療情報交換規約であるMML(Medical Mark-up Language)の策定を1994年から開始し、1999年にはバージョン2.2.1を公開し、製品レベルの電子カルテシステムに実装する段階に入っている。昨年度までのCLAIMで独自に定義していた、患者識別情報、健康保険情報、診断情報など、MMLとの共通部分については、MML側の定義を使用し、CLAIM特有の部分(医事データなど)についてのみCLAIM側で定義することとした。つまり、MML側から見た場合、CLAIMはMMLで使うことの出来るモジュールの一つと見なされ、CLAIM側から見た場合、MMLは親規格と見ることが出来る。
CLAIM(CLinical Accounting InforMation)は、電子カルテ-医事会計システム連携のためのデータ交換の仕様である。CLAIMにおけるデータ構造化の対象は、医事請求に必要な診療情報である。ただし、医事コードを送ることを前提としており、医事コードを選択するのに必要な情報(例えば、創傷処理において、傷の長さの情報など)を医事会計システムへ渡すのではない。
本仕様は、日本医療情報学会課題研究会「電子カルテ研究会」が策定したMML仕様Version2.21を上位の規約としている。本仕様によって、定義されるCLAIMモジュールは、MMLにおいて定義されるMMLモジュールと同様に扱うことが可能である。よって、MMLで決められている全ての仕様がCLAIMにも適用される。また、CLAIM独自のMMLに対する拡張(テーブル内容の追加など)も存在する。原則的に本仕様では、MML仕様に記載されていないCLAIM独自の定義が記載されている。
CLAIMモジュールは、MMLインスタンスにおいて、MMLモジュールと全く同じ規格のもとに使用される。すなわち、CLAIMモジュールは、MmlBody- MmlModuleItem- contentエレメントの下位に置かれる。また、一つのcontentに必ず一つのCLAIMモジュールが置かれる。
MMLインスタンスが一つ以上のモジュールにより構成されるのと同様に、CLAIMモジュールも、一つのMMLインスタンス内に一つ以上出現可能である。また、他のMMLモジュールと並存することも可能である。
CLAIMモジュールで使用する、XML Namespace のPrefix文字列は本仕様書で使用されているPrefix文字列を使うことを推奨する。アプリケーションの実装上は、XML Namespaceの規約に従って動作するものとする。
5) 使用言語
CLAIMはMMLと同様にXML(eXtensible Markup Language)で記述する。
結果と考察
C.研究結果
紙面の都合上、XML版CLAIM試案の全貌を述べることは出来ない。詳細は、最終報告にゆずるが、ここではCLAIMで使用するエレメントとその相互関係を図(別添資料)に示した。
紙面の都合上、XML版CLAIM試案の全貌を述べることは出来ない。詳細は、最終報告にゆずるが、ここではCLAIMで使用するエレメントとその相互関係を図(別添資料)に示した。
結論
E.結論
1. XML技術を用いて、昨年度定義した規格をアップグレードした。
2. XMLを用いることによって、MMLとの親和性が高まり、統合的な医療情報規格群として利用しやすくなり、最終年度の実証試験に向けて環境が整った。
1. XML技術を用いて、昨年度定義した規格をアップグレードした。
2. XMLを用いることによって、MMLとの親和性が高まり、統合的な医療情報規格群として利用しやすくなり、最終年度の実証試験に向けて環境が整った。
公開日・更新日
公開日
-
更新日
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