医療への応用を考えた画像を用いたバーチャル基礎技術研究

文献情報

文献番号
199900877A
報告書区分
総括
研究課題名
医療への応用を考えた画像を用いたバーチャル基礎技術研究
課題番号
-
研究年度
平成11(1999)年度
研究代表者(所属機関)
辰巳 治之(札幌医科大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 村上弦(札幌医科大学医学部)
  • 高沖英二(メタコーポレーションジャパン)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
平成12(2000)年度
研究費
3,607,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
米国医学図書館(NLM)で行なっている Visible Human Project(VHP)のデータや情報G7の subproject 8 によるMulti-lingual Anatomical Digital Databaseの活動を参考にし、人体の解剖学的構造物をバーチャル技術で表現し活用するのに必要な要素技術の調査研究を行い、それに基づきプロトタイプの開発を行いその利用実験をする。
研究方法
各データを関連づけ再利用が容易な方法を検討し、それに必要な基礎技術およびプロトタイプのアプリケーション開発を行なう。技術開発をする一方で、具体的にデータ利用環境を構築しながら、そのデータの再利用をするときの問題点を明らかにし改良を加え、必要な要素技術を検討する。ここで開発したものが何処からでもバーチャルに利用できるように、ネットワーク技術の評価を行ない、IntranetおよびInternetからの利用を実験する。
結果と考察
開発した画像データ参照システムでは、VHPの人体の横断、前額断、矢状断の任意面を縮小画像にてreal timeで観察できる。また、その位置情報を元に、オリジナルのフルサイズの断面画像を表示できるようにした。さらに、この参照システムから、横断面、前額断面、矢状断面だけでなく、フルサイズの斜めの任意断面を高速に画像生成できるようにネットワーク・マルチパラレル・コンピューティングのシステムと通信できるようにした。この高速ネットワークで接続された情報処理教育用のコンピュータを35台使ったマルチパラレルコンピューティングのシステムでは、一台で行っていたときの1000倍の速さ(2100秒が約2秒に短縮)で画像生成ができた。このシステムを活用し情報G7のGIBN(Global Interoperability for Broadband Network)プロジェクトの一環として、科技庁(IMnet)、通信総合研究所(CRL)、米国航空宇宙局(NASA)の協力を得てVHPのサイトである米国のNLM(National Library of Medicine)と札幌医大との間で日米高速通信実験ができる環境を構築した。我々は、医学・医療系に特化したネットワーク対応のアプリケーション開発をおこなっているが、これらを活用するためには地域ネットワーク環境の改善が必要である。そこで、WebやMailの高速化及び安定化を目指し、マルチホームの実験や地域IX実験をも行った。医療への応用を考えた場合、必要なときに必要なデータを即時に参照できることが必要である。それを実現するために、高速ネットワークを活用したネットワークパラレルコンピューティイグシステムを構築したが、情報処理教育用の機器を利用しているため、学生が使うと1000倍も速くならない。したがって常時サービスする為には専用器が必要となる。
結論
大容量のVHPの画像データを概観し、容易に元データの参照ができさらに任意断面を高速に生成し観察することができるようになった。また、GIBNの実験のシステムとして活用できるようになった。しかし、まだまだ改良の余地は多く、各専門領域との共同研究が必要である。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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研究報告書(紙媒体)