糖尿病予防のための運動教育の介入による運動継続効果に関する研究(総括研究報告)

文献情報

文献番号
199900803A
報告書区分
総括
研究課題名
糖尿病予防のための運動教育の介入による運動継続効果に関する研究(総括研究報告)
課題番号
-
研究年度
平成11(1999)年度
研究代表者(所属機関)
新実 光朗(国立名古屋病院)
研究分担者(所属機関)
  • 津下一代(愛知県総合保健センター)
  • 横地正裕(国立名古屋病院)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
平成12(2000)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
糖尿病の一次予防および二次予防としての糖尿病運動療法を有効なものとするために、運動実践の評価方法を確立し、運動教育と運動習慣を継続維持することによる生活習慣病の改善状況、糖尿病のコントロールおよび合併症進行に与える影響、さらには運動療法の実際・指導のあり方や運動継続のための動機付けの方法について追求する事を目的とする。
研究方法
運動教育ツールである多メモリー加速度計測装置付歩数計(LC)を使用して、 日々の運動量・運動強度・運動持続時間の記録をモニターし、逐次に個人指導(1-2ヶ月毎に)をしながら、継続して運動教育による介入を行うことにより、生活習慣に対する行動の変容に与える影響や長期間での耐糖能、脂質、血圧、体型の変化についての経時的な観察を対照群(運動記録する機器は使用するが、運動教育介入はせずに運動の実践は自主性に任せる群)と比較しながら、縦断的な観察を行なう。
結果と考察
143名の糖尿病患者の身体活動量の評価をしたところ、男性、50-60歳代、運動教育群では身体活動量が多く、肥満者、運輸作業従事者、経口血糖降下剤服用者では身体活動量が少なかった。
はじめて糖尿病と診断された外来通院者(N=71)にprospective control studyによる運動教育介入を行ったところ、6ヶ月時点のLC群では運動実施状況は良好で、血糖コントロールの指標、体力検査値に有意の改善を認めた。
また、糖尿病教育入院患者(N=31)の運動教育で、入院前に比し、運動量は2倍に上昇したが、退院後には運動教育介入をしない群では退院後6ヶ月での一日歩数は9527歩/日に留まったが、運動教育を継続介入した群では14458歩/日で両群には有意の差がみられた。入院前のHbA1cでは両群とも9.4%であったが6ヶ月後では7.6%と6.0%であり、介入群が有意に低値であった。
外来での運動教育あるいは教育入院での運動教育を行い、それに続く定期的な運動教育の追加介入を行うことにより、歩数・運動量は維持され、血糖コントロールも良好な状態を保つことができた。追加の運動教育の介入がない場合は一旦形成された運動習慣も徐々に失われて、代謝状態も悪化することが、病院と検診センター外来で行った二つのスタディで見られたことは、運動効果を維持するためには、継続的な運動教育介入を定期的に付加することがが欠かせないものと思われた。
結論
運動教育ツールを用いて、運動の量および質を評価しながら、運動教育の定期的・継続的な追加介入をすることが、生活習慣病の有効な、また効率のよい治療となり、個人の人のQOLをさらに高めるばかりでなく、 医療費の削減にも繋がるものとなる。

公開日・更新日

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更新日
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