保健所の調査企画部門充実のための研修のあり方、体制整備に関する研究(総括研究報告書)

文献情報

文献番号
199900791A
報告書区分
総括
研究課題名
保健所の調査企画部門充実のための研修のあり方、体制整備に関する研究(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成11(1999)年度
研究代表者(所属機関)
平田 輝昭(福岡県久留米保健所)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
平成11(1999)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
保健所の新たに期待される機能としての情報処理機能を充実させるため「ある程度の情報処理能力を有する保健所職員を対象とし、研修内容を各職場で伝達してもらうと共に職場のリーダーとして活動してもらう。」ためのリーダー養成型の研修を試行的に実施、より効果的な保健情報処理の研修のあり方や体制整備について評価検討することを目的とした。
研究方法
試行研修の研修内容は「基礎統計学実習」「データベース活用実習」および「パソコンネットワーク実習」の基本は変化なし。今回の特徴として当研究の一環として人口動態統計データベース(CD版)を保健環境研究所情報管理課で開発し、研修ではこの使用法を説明、自分の市町村の統計データを容易に処理できるようになったこと。できるだけ身近な研修にするため、アンケートの取り方・処理法、結核接触者検診の呼び出しシステム試作を加えたこと。グループ討議の時間を設け受講生の意識・行動を把握し、目的意識的態度を生み出すための試みを行ったこと。研修対象者は、結核接触者検診をデータベースの題材とすること伝え「研修の中身に着目して業務に積極的にデータベースを活用したいと考えている人」「現在、業務で情報処理のためのパソコンを活用している人」。研修頻度等は1999年9月から2000年3月まで、ほぼ毎月1回、計8回。講師は、保健環境研究所、保健所職員、本庁職員等からなるワーキンググループのメンバー。外部講師はなし。研修場所は保健環境研究所講堂。研究グループは、研究会が福岡県保健所長会、ワーキンググループは保健所職員、保健環境研究所の統計・情報処理専門職員、県庁職員、大学衛生助教で構成。研究の評価方法は、研修前の対象者のパソコンの知識、利用状況、保健統計の基礎知識、情報管理の状況等統計・情報処理のレベルを確認するためアンケート調査。各研修終了後の保健所、保健環境研究所、本庁間の電子メールで研修内容に対する理解度、感想調査。また、全ての研修終了後、再度研修に対する評価のアンケート調査、及び保健所での所長、受講生よりの聞き取り調査。
結果と考察
受講生は保健所・支所から各2名、計31名。医師、保健婦、薬剤師、放射線技師、事務職と職種もまちまち。所属は、感染症係11名、保健所企画指導係9名等。研修の出席率は88%と前年の出席率に比べかなり上昇。原因は、前年の企画指導係長を指名しなかったこと、月1回になったことで調整がつき安くなったこと。研修前に行ったパソコン等のレベル調査で、前年より受講生のレベルの均一化はほぼ前年並み、表計算ソフト利用者78%、データベースソフト利用者46%、E-mail利用者48%。「正規分布」理解者63%、「標準偏差」理解者54%。研修結果は、「表計算ソフトやデータベースソフトの活用が研修前に比較し多くなったか」の質問で「かなり多くなった」「やや多くなった」が61%と半数以上であったが、「E-mailの利用」46%と研修前とほとんど変わらなかった。「研修後保健所内でレベルアップのための活動をしたか」では46%が「した」と回答した。この割合は概ね過去2年と同様であった。伝達研修が実施されてない保健所もあったが、その理由としては、「所内にパソコンが少なく研修できる環境にない。」「受講生が他職員に教えるレベルにまで達していない。」等前年と同様の理由が聴かれた。試行研修を通じ次のようなことが研修を充実させるために重要であることが分かった。○保健所の具体的業務と結びついた研修テーマを選び、その後の活用を支援する。○研修日以外も双方向で情報交換を行い、連続性を保ち、研修内容を深める。○外部講師にたよることなく、内部職員を大いに活用することで、親近
感を増し、研修後の指導を充実させる。○個人の教養研修と誤解されないよう受講生に研修目的をく返し伝えるともに、一定程度、伝達研修等責務を課す。○保健所幹部職員の認識と理解を得るためくり返し説明を行う。○研修の進行をスムーズに進めるため研修生のレベルをそろえる。なお、保健所の体制については、当初の福岡県保健情報システムが縮小し、それぞれの係りで独立したシステムとなったため当面各係に保守管理する者を配置する方法が容易で最も現実的であると判断。
結論
試行研究の実施の結果、これまでの教養的研修を一歩脱却し、組織的に還元できる研修になりつつある。新年度には事業として実施予定であるが、さらに研修方法等の改善をはかることで保健所情報処理力のアップにつなげたい。

公開日・更新日

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