生活習慣病に対する知識・態度と行動変容に関する研究(総括研究報告書)

文献情報

文献番号
199900785A
報告書区分
総括
研究課題名
生活習慣病に対する知識・態度と行動変容に関する研究(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成11(1999)年度
研究代表者(所属機関)
國井 修(国立国際医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 金川克子(東京大学大学院)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
平成12(2000)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
地域住民の健康および生活習慣病に対する知識・態度・行動(KAP)、それらに影響を及ぼす因子を明らかにし、効果的な介入方法を検討する。
研究方法
脳卒中発症率の高い栃木県の一地域の40歳以上住民全員を対象に、昨年度、ベースライン調査を実施したが、その後一年間の脳卒中および心疾患の発症の有無、保健予防行動の変化、ソーシャルサポート(MOSSS)、精神心理状態(CES-D)などに関する自記式質問票を対象者567人に郵送し回収した。また、ベースライン調査の結果を基に、現地の医療・保健・福祉担当者と協力し合い、介入方法を協議・実施した。介入方法の検討にあたっては、国内外の介入研究を分析し、社会心理学・行動科学のモデルを応用した。また、地域の人的・経済的資源を鑑み、継続性と実現可能性を検討した。
分担研究者は、コンピューターによる新たな在宅健康管理システムを導入した地域にて、利用登録者271人を対象に、その利用状況、運用状況、有用性・利便性を保健センターからの資料収集および利用者の聞き取りにより検討した。
結果と考察
郵送法による質問調査では、567人中337人(回収率59.4%)より回答を得た。基礎調査を行った1年前に比べ健康が悪化した者が11.3%、精神心理状態が悪化した者が8.9%で、一年間で脳卒中が2人(0.6%)、狭心症が1人(0.3%)、心筋梗塞が1人(0.3%)に発症していた。その他、MOSSSやCES-Dなど詳細については現在分析中である。
介入は、従来の保健活動を強化・促進し、行動変容につながる個別および集団の健康教室・学習を実施した。国内外の介入研究を検討してみると、研究目的に予算・人材を集中させて介入を実施したものも少なくなく、全国レベルに普及させる介入モデルとしては持続発展性の乏しいものも少なくない。また、大規模かつ集中的な介入であっても、短期的にみると効果が見られるが、長期的には効果が薄れるとの報告も少なくなく、介入活動の継続性が重要であることを示している。来年度の研究では、本介入のプロセスとその効果について検討を行う予定である。 
また、分担研究者による新たな在宅健康管理システムの評価では、利用率は全体として年々上昇し、利用者の健康意識は向上し、生活習慣が改善されるなど、その有用性が認められるものの、その利便性・操作性についてはさらなる改善が必要と考えられた。近年、パーソナルメディア、いわゆるOne to one技術と言われる情報の個人化技術、ネットワーク技術を利用した健康行動・生活習慣の改善プログラムが注目されているが、従来の人対人の保健活動に比べ、継続性・利便性・近接性などの点で優れているところもあるが、多様性・個別性・柔軟性などの点で考慮すべき点が多く、将来の新たな介入手段として改善と工夫を期待したい。
結論
本年度は、初年度の基礎調査を基に介入方法を検討し、その準備・実施を行った。実施にあたっては、科学的モデルを用い、従来の保健活動を強化・促進しつつ、個人・集団の健康教育・学習を進めた。分担研究では、新たなメディアを用いた介入方法を検討し、その有用性を認めるも、利便性・操作性など、将来への課題が残された。

公開日・更新日

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