文献情報
文献番号
199900771A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品製剤原料の品質確保に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
-
研究年度
平成11(1999)年度
研究代表者(所属機関)
岡田 敏史(国立医薬品食品衛生研究所大阪支所)
研究分担者(所属機関)
- 小嶋茂雄(国立医薬品食品衛生研究所)
- 谷本剛(国立医薬品食品衛生研究所大阪支所)
- 木嶋敬二(日本医薬品添加剤協会)
- 綱川延孝(日本医薬品添加剤協会)
- 武田豊彦(新潟鉄工所)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬安全総合研究事業
研究開始年度
平成11(1999)年度
研究終了予定年度
-
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
以下、各研究分担報告につき、研究要旨に記述した順に沿って述べる。1)ICMの活動に原薬GMPが取り入れられ、ガイドライン作成の準備がすすめられている。このガイドラインは新薬を含めすべての原薬に適用されることになることから、国内的なGMP基準との整合を図るなど、国内的対応への準備を進める必要がある。2)ICH/原薬GMPガイドラインでは、原薬の製造及び品質管理において不純物プロファイルの確立を求めているが、この考え方は原薬での「原薬不純物に関するガイドライン(Q3A)をベースとしているため、Q3Aでの考え方について再検討し、新薬での考え方の何をどのように取り組んで既存薬の品質管理に適用すべきかにつき考察する。3)既存薬の製造管理等への不純物プロファイルの適用に関しては、新薬でのそれと明確に区別して考える必要があるが、新薬での実際がどのようなものであり、製薬メーカーにどれだけのコスト負担等を強いるものであるか熟慮した上で、既存薬への適用について考える必要があることから、アンケート調査を実施し、その結果に基づき無理のない形での対応策を考える。4)これまでに医薬品添加剤GMPの自主基準を作成し、すでに平成11年4月から試行の段階に入ったが、自主基準の指導・支援を目的としてワークショップの開催、異物の発生状況調査及び添加剤GMP評価組織の設置のためIPEC-AmericasのAudit Guidlineの調査を行う。5)医薬品GMPハード規則、医薬品添加剤GMPハード自主基準が公表されているが、現場での適用には抽象的で解釈の余地も大きい。そこで医薬品及び医薬品添加剤工場のGMPハード対応に関わる具体的な指針を作成することを目的とする。本年度は「空調」及び「製造用水」システムについてアンケート調査を行う。
研究方法
1)ICHの品質分野の新規課題として「原薬GMPガイドライン」(Q7A)が採りあげられて以降、現在までに7回の専門家会議がもたれ、ステップ2にむけての努力が続けられてきた。 第6回(ワシントン)及び第7回専門家会議(東京)における議論の進展について総括し、国内的対応について考察する。2)新薬での原薬の不純物に関するガイドライン(Q3A)が求めている、原薬中の不純物管理に対する要求事項のうち、何をどこまで既存の原薬の製造及び品質管理として求めるべきかにつき考察する。3)新薬の承認申請での原薬の不純物プロファイルを求めるにあたっての製薬各社での対応につきアンケート調査を行うとともに、ICH/Q7Aでの議論を踏まえて既存薬に対する不純物プロファイルに基づく製造・品質管理の進め方につき検討する。4)医薬品添加剤GMP自主基準の指導及び支援のためワークショップによる説明会、相談会を行い可能な限り回答を行う。更に、添加剤の異物管理に関するアンケート調査、GMP評価組織設置のためにIPECのAudit Guidlineの調査を行う。5)原薬・医薬品添加剤工場のGMPハード対応に関する指針を作成するために「空調」及び「製造用水」システムに関するアンケート調査を行う。
結果と考察
研究結果=1)ICH/原薬GMPガイドライン(GMP for Active Pharmaceutical Ingredients)の進展につき、第6回(ワシントン)及び第7回(東京)のICH/Q7A専門家会議における主な討議事項を整理して示した。詳細は分担研究報告書に記載したとおりである。本ガイドラインは、[ガイダンスであり、レギュレーションではない」との付帯条件が第1章第1節(Objective)中に明記されたことにより、このガイドラインの性格(位置づけ)が明確に示されたが、輸出入の原薬を中心にして相当な影響が出るものと予想
される。とりわけ、原薬の製造管理において「不純物プロファイル」を確立し、原料、製造条件又は製造工程に変更のあったときは、その同一性を確認する必要があることから(ガイド11,2節)、既存の原薬すべてに対して「不純物プロファイル」の確立を求めることになると、大変な作業量とコスト負担を製薬メーカー各社に強いることになることから、本ガイドの国内的な運用にあたっては慎重な対応の必要があることが示された。2)ICH/Q3Aで規定さ れた新薬における「原薬の不純物に関するガイドライン」で示しされた。不純物プロファイルに基づく品質管理の考え方につき、その整理・確認を詳細に行い、既存薬への適用にあたっての基本的考え方を示した。即ち、Q3Aが新規原薬に求めている諸点のうち、「どのような不純物がどの位の量含まれているか」に絞り込む必要があること、実施にあたっては①製造方法の変更を行おうとする場合に適用することとし、安全性の観点からは②作用が強く、生産量の多いものを優先的な適用対象とするとの考え方がしめされた。3)ICH/Q7Aでの議論を踏まえ、原薬GMPにおける不純物プロファイルの意識を明確にし、その適用範囲及び適用頻度に対する一つの見解が示された。更に、新薬における不純物プロファイルの確立等に関するアンケート調査の結果を踏まえて 既存薬における不純物プロファイルの確立と運用に関する問題点を抽出した。即ち、不純物プロファイルの確立にあたり、①どのようなバッチを対象として行うべきか、①必要なロット数はどの位か、③分析法にはどのような方法論が適切か、④分析法の 精度及び感度は、⑤同等性の判断基準をどこにおくか、が今後の検討課題であること明らかにした。4)ワークショップにおいては資料に示すように4グループに分け意見を収集した異物管理に関するアンケート調査(資料)ではクレームの中では異物クレームも多かった。更にIPEC-AmericasのAudit Guidelineも検討した。5)原薬及び医薬品添加剤工場のGMPハード対応の現状を調査するためにアンケートの様式を詳細かつ具体的に検討し「空調」及び「製造用水」システムについてのアンケートを実施した。
される。とりわけ、原薬の製造管理において「不純物プロファイル」を確立し、原料、製造条件又は製造工程に変更のあったときは、その同一性を確認する必要があることから(ガイド11,2節)、既存の原薬すべてに対して「不純物プロファイル」の確立を求めることになると、大変な作業量とコスト負担を製薬メーカー各社に強いることになることから、本ガイドの国内的な運用にあたっては慎重な対応の必要があることが示された。2)ICH/Q3Aで規定さ れた新薬における「原薬の不純物に関するガイドライン」で示しされた。不純物プロファイルに基づく品質管理の考え方につき、その整理・確認を詳細に行い、既存薬への適用にあたっての基本的考え方を示した。即ち、Q3Aが新規原薬に求めている諸点のうち、「どのような不純物がどの位の量含まれているか」に絞り込む必要があること、実施にあたっては①製造方法の変更を行おうとする場合に適用することとし、安全性の観点からは②作用が強く、生産量の多いものを優先的な適用対象とするとの考え方がしめされた。3)ICH/Q7Aでの議論を踏まえ、原薬GMPにおける不純物プロファイルの意識を明確にし、その適用範囲及び適用頻度に対する一つの見解が示された。更に、新薬における不純物プロファイルの確立等に関するアンケート調査の結果を踏まえて 既存薬における不純物プロファイルの確立と運用に関する問題点を抽出した。即ち、不純物プロファイルの確立にあたり、①どのようなバッチを対象として行うべきか、①必要なロット数はどの位か、③分析法にはどのような方法論が適切か、④分析法の 精度及び感度は、⑤同等性の判断基準をどこにおくか、が今後の検討課題であること明らかにした。4)ワークショップにおいては資料に示すように4グループに分け意見を収集した異物管理に関するアンケート調査(資料)ではクレームの中では異物クレームも多かった。更にIPEC-AmericasのAudit Guidelineも検討した。5)原薬及び医薬品添加剤工場のGMPハード対応の現状を調査するためにアンケートの様式を詳細かつ具体的に検討し「空調」及び「製造用水」システムについてのアンケートを実施した。
結論
1)第6回(ワシントン)及び第7回(東京)のICH/Q7A専門家会議における原薬GMPガイドラインの進展を総括し、国内的な運用にあたっての問題点を探った。2)新薬の承認申請における原薬の不純物に関するガイドライン(Q3A)の確認を行いQ3Aが新規原薬に課している種々の原則のうち、どのような点を既存原薬の品質管理においてもとめるべきかを考察した。3)不純物プロファイルの原薬GMPにおける意義を明確にし、更に、その適用範囲及び適用頻度に対する一つの見解を示した。また、既存薬における不純物プロファイルの確立と運用に関して検討すべき課題を整理した。4)医薬品添加剤GMP自主基準の実施のための指導・支援を行うためワークショップを開催し、更に小グループに分かれて問題点の抽出を行い解説を行った。また、医薬品添加剤の品質上最も重要と思われる異物の発生状況の調査を行った。更に、IPECのAudit Guidelineの調査も行った。5)原薬・医薬品添加剤工場のGMPハード対応に関する具体的な指針を作成するために、今回はGMPハード対応の現状を調査するためにアンケート調査を「空調」及び「製造用水」システムについて行った。
公開日・更新日
公開日
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更新日
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