酵素誘導による医薬品相互作用の発現予測試験法の開発研究

文献情報

文献番号
199900745A
報告書区分
総括
研究課題名
酵素誘導による医薬品相互作用の発現予測試験法の開発研究
課題番号
-
研究年度
平成11(1999)年度
研究代表者(所属機関)
横井 毅(金沢大学薬学部)
研究分担者(所属機関)
  • 山崎浩史(金沢大学薬学部)
  • 中嶋美紀(金沢大学薬学部)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬安全総合研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
平成11(1999)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
経口的に摂取された種々の医薬品をはじめとする外来異物は、小腸で吸収またはその一部が代謝され、生体に様々な影響を及ぼす。ヒト小腸の主要なP450分子種はCYP3A4であり、このCYP3A4は様々な医薬品によって酵素誘導という現象を起こし、酵素蛋白量が増大するという特徴を有する。さらにCYP3A4は肝と同様に小腸における異物の初回通過効果および薬物相互作用に深くかかわっていることが明らかにされつつある。したがって、医薬品の小腸における酸化的代謝をin vitro系からまたは実験動物を用いて予測することは重要である。本研究では医薬品開発における酵素誘導に焦点をあて、小腸における酵素誘導の評価の有用性について以下の検討を行った。本年度はCYP3Aの強力な誘導剤であるリファンピシンによって変動する生体内因子の探求を目的として、ディファレンシャル・ディスプレイ(D.D.)法を用い、肝および小腸における遺伝子レベルでのリファンピシンによる酵素誘導に係わる変動因子を解明した。
研究方法
8-9 週齢の雄性C57BL/6CrSlcマウスより、小腸および肝を調製した。D.D.法により、リファンピシンの投与により発現の変化する遺伝子を単離した。単離された遺伝子のシークエンスを解析・検索した。
結果と考察
CYP3A酵素の誘導剤であるリファンピシンの投与により、D.D.法を用いてマウス肝および小腸における変動因子としてStat 1 (Signal transducer and activator of transcription) mRNA の発現の変動を見い出した。Stat 1 mRNAはNorthernブロッティング法により肝および小腸においてその発現の増加が認められた。さらに、報告されているCYP3A酵素の5ユ-上流領域においてStat 1のシス配列であるGAS配列(interferon-g activation site)が確認された。従ってCYP3A酵素の転写を担う可能性が示唆された。
結論
本研究において、CYP3A酵素の酸化的薬物代謝における役割について、特に小腸において明確にし、さらに酵素誘導のメカニズムの一部を明らかにし、in vitro薬物動態の予測に重要な多くの特徴を見出した。

公開日・更新日

公開日
-
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
-
更新日
-