文献情報
文献番号
199900726A
報告書区分
総括
研究課題名
地域における医薬品試験等のネットワーク化に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成11(1999)年度
研究代表者(所属機関)
石橋 無味雄(国立医薬品食品衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
- 中田琴子(国立医薬品食品衛生研究所)
- 中野道晴(北海道立衛生研究所)
- 谷本剛(国立医薬品食品衛生研究所大阪支所)
- 鹿庭なほ子(国立医薬品食品衛生研究所)
- 沢辺善之(大阪府立公衆衛生研究所)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬安全総合研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
平成12(2000)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
国(厚生省及び国研等)と地域(県庁及び地衛研等)、地域と地域の間に双方向性情報交換ネットワーク(「衛研薬事」)を構築し、情報の交換を迅速に行い、不正不良医薬品を市場からより迅速に排除することにより、国民が等しく不正不良医薬品の害を被ることを防止し、国民の福祉をより向上させることを目的に本研究を行う。
研究方法
医薬品の品質に関する情報伝達は、現在、厚生省中心に「縦割りの情報伝達」で行われる。 これに「衛研薬事」による「横の情報伝達」を加え、各機関が、試験技術等に関する情報や医薬品監視のための多くの知見及び経験を共有し、地域及び国の検査技術力を向上させ、また地域で発生した問題の速やかな解決に役立てることにより研究目的を達成する。
結果と考察
試験運用の段階ではあるが、「衛研薬事」の効果により、情報の交換を迅速に行い、不正不良医薬品を市場からより迅速に排除することができ、国民が等しく不正不良医薬品の害を被ることを防止し、国民の福祉をより向上させ得ることを確認した。 また各分担研究者は、次の研究を行い、それぞれ有益な結果を得た。
中田は、ネットワークの構築と運用に関する研究(ハード,ソフト)行い、その研究結果を基に有益情報の記載、アクセス数の計測、参加機関等のポームページのリンク、参加機関名簿の更新、メーリングリストの更新等を行った。 メーリングリストで試験情報の更新ニュースを各参加者に配信することにより、本ホームページの閲覧率の向上がはかられ、またホームページのリンクにより、いまだ、ホームページを立ち上げていない機関に刺激を与え、「衛研薬事」への参加機関数の増加に寄与した。
石橋は、「衛研薬事」が、医薬品の品質確保に対して、どの程度有効であるかを全般的な側面から評価を行った。 その結果、本研究を行うことにより都道府県(県薬務課及び地衛研等)に対し、医薬品の品質確保に対するネットワークの有用性及び重要性を啓蒙することができた。 また、医薬品試験等に関する情報の共有化(現状一部)。 国研から薬局方収載試験方法について指導(崩壊試験、溶出試験、試薬試液、液体クロマトグラフ法等)、取締試験の標準品及び標準チャート等の提供、不正不良医薬品の試験の方法に関する情報提供等の効果が評価された。 地衛研側から過去の医薬等の試験情報の提供、試験に関する技術情報の提供、保持する試験情報等の提供依頼並びに全国衛生化学技術協議会の薬事部門自由集会の延長として利用される等の他種々の研究情報の入手手段として利用され、有意義な結果を得た。 また研究的な成果としては、メイリングリストの有用性を確認し、掲示板の補助的効果を確認した。
中野は、医薬品の試験検査を担当する参加会員間の情報発信を円滑で活発なものとするため、メールパスワードの管理を中心に、セキュリティ保持を目的に研究を行った。 その結果、メールパスワードの必要性、メール交換にあたってパスワードの持つ意味など示したガイドラインを「衛研薬事」の掲示板に掲示し、ネットワーク参加者の協力を求めた。 例えば、本ネットワークのホームページを開くには、前述のとおり、参加者全員に共通するユーザーネーム及びパスワードが必要であり、更にホームページに示す「試験情報」に接続するためには、1機関に一つ宛割り当てた機関別のユーザーネーム及びパスワードが必要となる。 これらのパスワードと会員が設定する会員のメールボックス用パスワードの取り扱いを慎重に行い問題の発生を防止する方法がガイドラインとして提示された。
谷本は、ネットワークに提供すべき3つの基本的情報を昨年度研究で提案したが、本年度は、これらの基本情報のうち、「医薬品分析用標準物質に関する情報」について、その意義及び有用性について検討した。 その結果、これらの情報提供や交換は医薬品の品質試験に対する迅速な対応に極めて有用であることを実証した。
鹿庭は、ネットワークの利用を促進する方法及びネットワークの利用のされ方について検討を行い、メーリングリストを通じて、参加者が抱える問題の投げかけ、それに対して経験者が、迅速に回答するという機能が働き始めていることを確認した。 また溶出試験及び分析法に関する問題も討議され、本ネットワークが有効に活用されていることを確認した。
沢辺は、薬事法違反事例をより高い精度で検出する目的へのネットワークの有用性を検討した。 全国の行政検査機関において、過去あるいは未来に行われる行政試験にともなって蓄積されるデータは膨大な量となる。 現状においては、蓄積されたデータは、各機関に保存されており、全国的な視野から見ると、必ずしも有効に利用されているとは言い難い。 そこで、これらの試験情報を本ネットワークのデータベースとして蓄積、また双方向で情報交換することにより、行政試験の迅速化、効率化、正確性をより増加させるための研究を行い、その結果としてネットワークの有用性を確認した。 また「衛研薬事」において取り扱う情報の質及び量の重要性について指摘し、このため参加機関の積極的な協力と情報提供が不可欠であると結論した。 上記の研究活動の結果、衛研薬事ネットワークの参加機関及び参加者数は、57機関、190名となった。
次に「衛研薬事」において問題とする必要のあるのは、国研及び地衛研に属する薬事関係職員(薬事部門及び検定検査研究者)の直接的な情報交換にアレルギーの強い県があることである。 これは現状の情報伝達が県から国へ、そして国から他の県へとなっているためで、これに反する情報伝達は認められないためである。 しかし、「衛研薬事」の参加者は公務員であり、機密保持が守られ、かつ行政組織を無視する行動を行うものでないことの理解を求め、国民の健康被害を防ぐために、情報の横への流れも一定のルールの基に認められるように改めて行く必要がある。 これらの理解を求めていくのも本研究班の重要な役割と認識する。 例えば、ある県が不正不良医薬品と思われるものを検出したとき、その情報を非公式の扱いで迅速に他府県に通知することは、国民の健康被害を防ぐために、極めて有効と考えられ、このようなことが全国的に可能な状態にすることが必要と考える。
中田は、ネットワークの構築と運用に関する研究(ハード,ソフト)行い、その研究結果を基に有益情報の記載、アクセス数の計測、参加機関等のポームページのリンク、参加機関名簿の更新、メーリングリストの更新等を行った。 メーリングリストで試験情報の更新ニュースを各参加者に配信することにより、本ホームページの閲覧率の向上がはかられ、またホームページのリンクにより、いまだ、ホームページを立ち上げていない機関に刺激を与え、「衛研薬事」への参加機関数の増加に寄与した。
石橋は、「衛研薬事」が、医薬品の品質確保に対して、どの程度有効であるかを全般的な側面から評価を行った。 その結果、本研究を行うことにより都道府県(県薬務課及び地衛研等)に対し、医薬品の品質確保に対するネットワークの有用性及び重要性を啓蒙することができた。 また、医薬品試験等に関する情報の共有化(現状一部)。 国研から薬局方収載試験方法について指導(崩壊試験、溶出試験、試薬試液、液体クロマトグラフ法等)、取締試験の標準品及び標準チャート等の提供、不正不良医薬品の試験の方法に関する情報提供等の効果が評価された。 地衛研側から過去の医薬等の試験情報の提供、試験に関する技術情報の提供、保持する試験情報等の提供依頼並びに全国衛生化学技術協議会の薬事部門自由集会の延長として利用される等の他種々の研究情報の入手手段として利用され、有意義な結果を得た。 また研究的な成果としては、メイリングリストの有用性を確認し、掲示板の補助的効果を確認した。
中野は、医薬品の試験検査を担当する参加会員間の情報発信を円滑で活発なものとするため、メールパスワードの管理を中心に、セキュリティ保持を目的に研究を行った。 その結果、メールパスワードの必要性、メール交換にあたってパスワードの持つ意味など示したガイドラインを「衛研薬事」の掲示板に掲示し、ネットワーク参加者の協力を求めた。 例えば、本ネットワークのホームページを開くには、前述のとおり、参加者全員に共通するユーザーネーム及びパスワードが必要であり、更にホームページに示す「試験情報」に接続するためには、1機関に一つ宛割り当てた機関別のユーザーネーム及びパスワードが必要となる。 これらのパスワードと会員が設定する会員のメールボックス用パスワードの取り扱いを慎重に行い問題の発生を防止する方法がガイドラインとして提示された。
谷本は、ネットワークに提供すべき3つの基本的情報を昨年度研究で提案したが、本年度は、これらの基本情報のうち、「医薬品分析用標準物質に関する情報」について、その意義及び有用性について検討した。 その結果、これらの情報提供や交換は医薬品の品質試験に対する迅速な対応に極めて有用であることを実証した。
鹿庭は、ネットワークの利用を促進する方法及びネットワークの利用のされ方について検討を行い、メーリングリストを通じて、参加者が抱える問題の投げかけ、それに対して経験者が、迅速に回答するという機能が働き始めていることを確認した。 また溶出試験及び分析法に関する問題も討議され、本ネットワークが有効に活用されていることを確認した。
沢辺は、薬事法違反事例をより高い精度で検出する目的へのネットワークの有用性を検討した。 全国の行政検査機関において、過去あるいは未来に行われる行政試験にともなって蓄積されるデータは膨大な量となる。 現状においては、蓄積されたデータは、各機関に保存されており、全国的な視野から見ると、必ずしも有効に利用されているとは言い難い。 そこで、これらの試験情報を本ネットワークのデータベースとして蓄積、また双方向で情報交換することにより、行政試験の迅速化、効率化、正確性をより増加させるための研究を行い、その結果としてネットワークの有用性を確認した。 また「衛研薬事」において取り扱う情報の質及び量の重要性について指摘し、このため参加機関の積極的な協力と情報提供が不可欠であると結論した。 上記の研究活動の結果、衛研薬事ネットワークの参加機関及び参加者数は、57機関、190名となった。
次に「衛研薬事」において問題とする必要のあるのは、国研及び地衛研に属する薬事関係職員(薬事部門及び検定検査研究者)の直接的な情報交換にアレルギーの強い県があることである。 これは現状の情報伝達が県から国へ、そして国から他の県へとなっているためで、これに反する情報伝達は認められないためである。 しかし、「衛研薬事」の参加者は公務員であり、機密保持が守られ、かつ行政組織を無視する行動を行うものでないことの理解を求め、国民の健康被害を防ぐために、情報の横への流れも一定のルールの基に認められるように改めて行く必要がある。 これらの理解を求めていくのも本研究班の重要な役割と認識する。 例えば、ある県が不正不良医薬品と思われるものを検出したとき、その情報を非公式の扱いで迅速に他府県に通知することは、国民の健康被害を防ぐために、極めて有効と考えられ、このようなことが全国的に可能な状態にすることが必要と考える。
結論
「衛研薬事」ネットワークは、試験運用の段階ではあるが、その有用性が種々の研究で評価された。 また、本年度は、構築した「衛研薬事」ネットワ-クをより充実させ、有用性を向上する目的で、ネットワークの重要性に関する啓蒙活動を行い参加機関、参加者数の増加に努め、満足すべき結果を得た。 また、「衛研薬事」ネットワ-クのホームページにおける掲示板、投書掲示板,試験情報及びメイリングリスト等を利用して情報を提供し、これに対するネットワーク参加者の反応からネットワークの有用性について検証を行い有意義な結果を得た。 また機密保持方法、試験情報のデータベース化の方法についても検討を行った。 これらの整備と必要とされる情報の蓄積を進める研究を今後も行う必要性が認められた。 更に次の二点の問題に対する解決に努力することも今後必要である。
その1:現状における「衛研薬事」への不参加理由は、各機関におけるネットワークに対する設備の未整備である。 未整備の理由は、機関におけるネットワークの必要性に対する県レベルの無理解が存在する場合が多い。 この場合、機関側の担当者のネットワークに対する関心も低いときには、その機関におけるネットワーク化がさらに遅延することになり、ネットワークの有用性を考えると、これらの機関及び県に対する啓蒙活動が、更に必要である。
その2:次に「衛研薬事」において問題とする必要のあるのは、国研及び地衛研に属する薬事関係職員(薬事部門及び検定検査研究者)の直接的な情報交換にアレルギーの強い県があることである。 これは現状の情報伝達が県から国へ、そして国から他の県へとなっていて、これに反する情報伝達は認められないためである。 しかし、「衛研薬事」の参加者は公務員であり、機密保持が守られ、かつ行政組織を無視する行動を行うものでないことに理解を求め、国民の健康被害を防ぐために、情報の横への流れも一定のルールの基に認められるように改めて行く必要がある。 これらの理解を求めていくのも本研究班の重要な役割と認識する。 すなはち、ある県が不正不良医薬品と思われるものを検出したときは、その情報を非公式の扱いで迅速に他府県に通知することは、国民の健康被害を防ぐために、極めて有効と考えられ、一層の啓蒙活動が必要である。
その1:現状における「衛研薬事」への不参加理由は、各機関におけるネットワークに対する設備の未整備である。 未整備の理由は、機関におけるネットワークの必要性に対する県レベルの無理解が存在する場合が多い。 この場合、機関側の担当者のネットワークに対する関心も低いときには、その機関におけるネットワーク化がさらに遅延することになり、ネットワークの有用性を考えると、これらの機関及び県に対する啓蒙活動が、更に必要である。
その2:次に「衛研薬事」において問題とする必要のあるのは、国研及び地衛研に属する薬事関係職員(薬事部門及び検定検査研究者)の直接的な情報交換にアレルギーの強い県があることである。 これは現状の情報伝達が県から国へ、そして国から他の県へとなっていて、これに反する情報伝達は認められないためである。 しかし、「衛研薬事」の参加者は公務員であり、機密保持が守られ、かつ行政組織を無視する行動を行うものでないことに理解を求め、国民の健康被害を防ぐために、情報の横への流れも一定のルールの基に認められるように改めて行く必要がある。 これらの理解を求めていくのも本研究班の重要な役割と認識する。 すなはち、ある県が不正不良医薬品と思われるものを検出したときは、その情報を非公式の扱いで迅速に他府県に通知することは、国民の健康被害を防ぐために、極めて有効と考えられ、一層の啓蒙活動が必要である。
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