文献情報
文献番号
199900618A
報告書区分
総括
研究課題名
ダイオキシン類の食品経由総摂取量調査研究(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成11(1999)年度
研究代表者(所属機関)
豊田 正武(国立医薬品食品衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
- 飯田隆雄(福岡県保健環境研究所)
- 佐々木久美子(国立医薬品食品衛生研究所)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 生活安全総合研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
平成12(2000)年度
研究費
120,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
ダイオキシンについては、急性毒性の他に発癌性、再奇形性等の毒性が報告されていることから、1昨年そのTDI(耐用1日摂取量)を当面4pgTCDD(TEQ)/kgbw/dayとすることが決定されている。ダイオキシン関連化合物による人への主な曝露源は食品であると考えられるが、我が国における食品由来ダイオキシン類の総摂取量を広範つ詳細に調査した研究は他に殆どない。そこで、昨年に引き続き、トータルダイエット試料により1日摂取量を推定すること、また魚介類、畜産物及び野菜類等の中のダイオキシン汚染実態を知ることを目的に調査を行った。本研究により日本人のダイオキシン曝露量をより正確に把握でき、その低減化対策に貢献できる。
研究方法
1日摂取量調査(トータルダイエット):全国を7ブロックに分け、1ブロック当たり1~3ヶ所からトータルダイエット試料を集め(16試料)14食品群毎にダイオキシンを分析し、各ブロック毎に平均値を求め、食品由来の総摂取量を推計した。14食品群は、1群(米・米加工品)、2群(穀類・種実類・芋類)、3群(砂糖・菓子類)、4群(油脂類)、5群(豆類)、6群(果実類)、7群(緑黄色野菜)、8群(その他の野菜・茸類・海草類)、9群(調味・嗜好飲料)、10群(魚介類)、11群(肉類・卵類)、12群(乳・乳製品)、13群(その他の食品(加工食品))、14群(飲料水)である。
個別食品調査:個別食品として、野菜類16種44試料、果実類5種11試料、茸類1種2試料、海草類1種3試料、肉類7種66試料(牛肉、豚肉、鶏肉、羊肉、卵)、食肉加工品5種5試料、乳類3種15試料(牛乳、チーズ、バター)、魚介類30種92試料、水産加工品22種50試料(塩蔵品、干物、缶詰等)について、それぞれ複数地区で購入し、ダイオキシンの汚染状態を調査した。なお一部の試料については輸入品も調査した。
調査項目:ダイオキシン類(ポリ塩化ジベンゾ‐パラ‐ジオキシン(PCDD)7種、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)10種)及びコプラナーPCB(Co-PCB)12種。
個別食品調査:個別食品として、野菜類16種44試料、果実類5種11試料、茸類1種2試料、海草類1種3試料、肉類7種66試料(牛肉、豚肉、鶏肉、羊肉、卵)、食肉加工品5種5試料、乳類3種15試料(牛乳、チーズ、バター)、魚介類30種92試料、水産加工品22種50試料(塩蔵品、干物、缶詰等)について、それぞれ複数地区で購入し、ダイオキシンの汚染状態を調査した。なお一部の試料については輸入品も調査した。
調査項目:ダイオキシン類(ポリ塩化ジベンゾ‐パラ‐ジオキシン(PCDD)7種、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)10種)及びコプラナーPCB(Co-PCB)12種。
結果と考察
ダイオキシンの人への主な暴露経路の一つと考えられる食品について、平均的な食生活における食品からのダイオキシンの摂取量を推計し、また個別の食品のダイオキシンの汚染実態調査を把握する目的で研究を実施した。
平成11年度の7地区16ヶ所からのダイオキシンの1日平均摂取量は、112.6pgTEQ/dayであり、体重1kg当たりの1日平均摂取量は、2.25pgTEQ/kgbw/dayで、我が国の平均的な食事由来摂取量は我が国のTDIの4pgTEQ/kgbw/day以下となっている。
同一地区で4季節に採取されたトータルダイエット試料を用いて、ダイオキシン摂取量の季節変化を調べた。1日摂取量は季節により多少異なっていたが、ほぼ約2pgTEQ/kgbw/day前後となっていた。
食品の調理影響については、小松菜のダイオキシン濃度はほうれん草と同様に水洗浄、煮沸の過程に従って減少傾向が認められた。魚及び肉のダイオキシン濃度も焼く、煮る等の調理で減少傾向が認められた。
平成11年度の7地区16ヶ所からのダイオキシンの1日平均摂取量は、112.6pgTEQ/dayであり、体重1kg当たりの1日平均摂取量は、2.25pgTEQ/kgbw/dayで、我が国の平均的な食事由来摂取量は我が国のTDIの4pgTEQ/kgbw/day以下となっている。
同一地区で4季節に採取されたトータルダイエット試料を用いて、ダイオキシン摂取量の季節変化を調べた。1日摂取量は季節により多少異なっていたが、ほぼ約2pgTEQ/kgbw/day前後となっていた。
食品の調理影響については、小松菜のダイオキシン濃度はほうれん草と同様に水洗浄、煮沸の過程に従って減少傾向が認められた。魚及び肉のダイオキシン濃度も焼く、煮る等の調理で減少傾向が認められた。
結論
本年度は昨年度に引き続き7ブロック(16ヶ所)からのトータルダイエット試料についてダイオキシン濃度を測定し、1日摂取量を調査し、平成11年度の平均的な1日摂取量は2.25pgTEQ/kgbw/dayであり、我が国の当面のTDIの4pgTEQ/kgbw/day以下であることが分かった。また平成10年度の平均的な1日摂取量2.0pgTEQ/kgbw/dayと比較しほぼ同レベルにあると考えられる。近年における摂取量の動向を正確に把握するには引き続き全国調査を実施し摂取量の増減の有無を追跡する必要がある。地区別ダイオキシン摂取量については、データの年変動が大きいため、地区別摂取量の傾向を正確に知るには、さらに継続的にデータを蓄積する必要がある。
1日摂取量の季節変動調査では、多少の変動があったが地域差や年度差もあることから、摂取食品の種類等の影響がより大きいことを示唆している。暴露へ寄与の大きい個別食品について季節変動、地区変動等の要因について今後詳細な調査が必要である。
個別食品中ダイオキシン濃度は調理により減少傾向にあることが明らかとなり、汚染濃度の高い食品では生食より調理済み食品が推奨される。
1日摂取量の季節変動調査では、多少の変動があったが地域差や年度差もあることから、摂取食品の種類等の影響がより大きいことを示唆している。暴露へ寄与の大きい個別食品について季節変動、地区変動等の要因について今後詳細な調査が必要である。
個別食品中ダイオキシン濃度は調理により減少傾向にあることが明らかとなり、汚染濃度の高い食品では生食より調理済み食品が推奨される。
公開日・更新日
公開日
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更新日
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