特定疾患対策対象疾患の評価に関する研究

文献情報

文献番号
199900594A
報告書区分
総括
研究課題名
特定疾患対策対象疾患の評価に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成11(1999)年度
研究代表者(所属機関)
杉田 稔(東邦大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 武藤孝司(順天堂大学医学部)
  • 吉田勝美(聖マリアンナ医科大学)
  • 田村 誠(国際福祉大学)
  • 宮川公男(麗澤大学)
研究区分
厚生科学研究費補助金 先端的厚生科学研究分野 特定疾患対策研究事業
研究開始年度
平成11(1999)年度
研究終了予定年度
平成13(2001)年度
研究費
24,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
特定疾患対策対象疾患(難病)は、①原因不明、治療法未確立、後遺症残存のおそれが大きい、経過が慢性で経済的負担、介護などの家庭の負担、精神的負担が大きい疾患であると「難病対策要項」で規定されている。しかしながら、最近の医学の発達により、原因の究明や診断・治療法が進んで、もはや「難病」とは呼び難い疾病も多くなり、難病対策の見直しが求められるようになってきた。本研究では、この見直しに関する評価方法を開発することを目的とした。
研究方法
本年度は、(1)難病の現状と近未来像の情報を知ること、(2)難病を規定する因子の重要さの順位を知ること、(3)特定疾患調査研究の対象疾患以外でその対象とすべきか検討が必要な疾患を検討することを目的に質問票を作成した。
結果と考察
(1)の内容は、①原因の究明度、②今後の診断・治療法の進歩や予後改善の見通し、③診断基準と重症度基準の有無、1)罹患・ 死亡やQOL低下などの心身の負担、⑤医療費・失業などの社会経済的負担などとした。この調査は対象を難病研究臨床班の各班長とすることとした。(2)の難病を規定する因子の重要さの順位は全国の医学部の衛生学、公衆衛生学の教室員を対象とした調査を行い、評価することとした。(3)の特定疾患調査研究の対象疾患以外の疾患を捜す調査は都道府県の衛生部長、医師会長を対象として調査を行うことにを決めた。また、難病を規定する重要さの順位の決定の方法は、対立する因子の優劣を問う一対比較法と各因子に得点を配分する分配法を採用することとした。難病の現状を把握するためには、難病臨床研究班の班長を対象に調査することが最も適していると考えられる。質問内容としては、難病を規定する因子を代表するものである、稀少性、原因の究明度、今後の診断・治療法の進歩や予後改善の見通し、診断基準と重症度基準の有無、罹患・ 死亡やQOL低下などの心身の負担、医療費・失業などの社会経済的負担などを問うものであり、これにより難病の現状がかなり詳しく分かるものと期待される。一方、難病を規定する因子の重要さの順位の評価を誰にするかは議論が多く出たところであるが、直接難病患者と接して治療などの行為を行っておらず、客観的な判断が出来、医学的知識もある点から全国の医学部の衛生学、公衆衛生学の教室員を対象とすることが決定された。特定疾患調査研究の対象疾患以外の疾患を検討する調査は周辺疾患の情報が集まりやすいと考えられる都道府県の衛生部長、医師会長を対象として調査を行うことが決められた。また、難病を規定する重要さの順位の決定の方法は、対立する因子の優劣を問う一対比較法と各因子に得点を配分する分配法を採用することとした。この調査票を用い、今後調査を実施する。まず、難病の各班長を対象に行う難病の現状の調査により、難病の現在の状況の詳細が分かり、難病の評価に用いる基礎資料が得られる。 次に全国の医学部の衛生学、公衆衛生学の教室員を対象に行う難病を規定する因子の重要さの順位の調査により、難病を規定する因子の重み付けが示される。この重み付けと難病の現在の状況を考慮することにより、特定疾患対策見直しに利用可能な定量的指標が得られる。さらに各都道府県の医師会、県の衛生部を対象とする周辺疾患の調査により、将来難病の対象疾患とすべき疾患が明らかになる。
結論
特定疾患対策対象疾患(難病)の対策に対し見直しを求める必要性が高まって来ており、見直しを行う際の評価方法を開発する目的で、調査の対象者の選定、調査票の項目の作成、評価を行う方法を検討した。次年度の調査実施により、特定疾患対策に
利用可能な定量的指標が得られる。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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研究報告書(紙媒体)