加齢黄斑変性症に対するロービジョンエイド

文献情報

文献番号
199900516A
報告書区分
総括
研究課題名
加齢黄斑変性症に対するロービジョンエイド
課題番号
-
研究年度
平成11(1999)年度
研究代表者(所属機関)
湯沢 美都子(駿河台日本大学病院眼科)
研究分担者(所属機関)
  • 小田浩一(東京女子大)
  • 藤田京子(駿河台日本大学病院眼科)
  • 石原菜奈恵(駿河台日本大学病院眼科)
  • 小川 愛(駿河台日本大学病院眼科)
研究区分
厚生科学研究費補助金 先端的厚生科学研究分野 感覚器障害及び免疫・アレルギー等研究事業(感覚器障害研究分野)
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
平成12(2000)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
加齢黄斑変性症で黄斑部の萎縮変性のために不可逆的な中心視力の低下を来した症例に対し、中心視力、固視点の状態、中心暗点の性状などの残存視機能を測定し、障害の程度に応じ適切な補助具並びに偏心視を獲得するように指導し、その有用性を明らかにしていく。さらにロービジョンエイドの結果をQOLの観点から評価し有効なリハビリテーションの普及を目的とする。
研究方法
1.対象は駿河台日本大学病院眼科および身体障害者厚生相談所を訪れた両眼黄斑部に瘢痕を有する加齢黄斑変性症患者とする。2.視機能の評価項目は遠見視力、近見視力、MN Read J Chartを用いた読書視力、読書スピード、臨海文字サイズ、SLOにてPRLの位置、網膜感度を測定する。3.これらの結果と患者へのインタビュー(どのようなことに不自由を感じているか)により視機能の向上が得られる補助具を選択し、実際に試してみる。またゴーグル型のエイドの機器を試作する。4.読書に対しより容易に短時間で適切なエイドを処方するための方法論を確立する。5.同様の病巣を有する患者の補助具を選定し有効なリハビリテーションの普及を目指すとともに残存視機能の点から優れていると考えられる治療法を明らかにする。
結果と考察
平成10年度
1.分担研究者者の小田が作成した縦書き、および横書きのMN Read J Chartの日本語版は妥当性、再現性に優れ、横書き縦書きで読書の成績に差がないことを確かめた。
2.加齢黄斑変性症瘢痕期症例の最大読書速度には遅くてもプラトーが認められる場合とプラトーのない単純増加の場合とがあることを明らかにした。また視機能に関しては、プラトーのない単純増加群に重度の障害があるかを明らかにした。
3.プラトーが認められる場合、視力にかかわらず偏心度が小さい場合には眼鏡、偏心度も視力低下も大きいときには拡大読書器が有効であること、拡大鏡を選択する時にはその倍率と視力、偏心度はよく相関することを明らかにした。
平成11年度
1.MN Read チャートによる読書試験によって臨界文字サイズを求め読書用エイドを処方する方法は従来の近見視力を指標に行う読書用エイドしの処方よりも優れていることを明らかにした。
2.プラトーのない単純増加の場合にプラトーの有無を調べるためのプラズマビジョンを作成した。
3.エイドの倍率および種類を選択するための近見視力と偏視度の関係を明らかにした。
4.治療後1年のロービジョンの観点からみると、中心窩の1乳頭径以下の脈絡膜新生血管膜に対してはレーザー光凝固よりも脈絡膜新生血管膜摘出術のほうが優れていることを明らかにした。
結論
1ロービジョン患者の読書速度には遅くともプラトーが見られる群と見られない群のあることが明らかになった。このことは前者では適切な補助具を使用すれば読書が可能であると考えられる。プラトーのない群では文字の拡大率をあげることによって読書可能になる可能性があると考えられるので大きな文字サイズの読書実験を行う。
2.プラトーが認められる場合、視力、偏心度と選択される補助具の関係を明らかにすることができた。
3.近用エイドの処方にはMN Read J chartの読書試験を指標にして行うのが良い。

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