結核の積極的疫学調査・院内感染対策に関する緊急研究(総括研究報告書)

文献情報

文献番号
199900493A
報告書区分
総括
研究課題名
結核の積極的疫学調査・院内感染対策に関する緊急研究(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成11(1999)年度
研究代表者(所属機関)
森 亨(財団法人結核予防会結核研究所)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生科学研究費補助金 先端的厚生科学研究分野 新興・再興感染症研究事業
研究開始年度
平成11(1999)年度
研究終了予定年度
-
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年の日本の結核対策上緊急の課題となっている結核の集団発生や院内感染問題に適切に対応するため、①結核定期外検診のあり方、②結核院内感染予防のあり方、③積極的疫学調査の導入、の3分担課題を設定し、対策実施のためのガイドライン案を作成する。
研究方法
各分担課題の研究方法は以下の通りである。
①結核定期外検診のあり方に関する研究、および③積極的疫学調査に関する研究、については平成4年の「結核定期外健康診断ガイドライン」(結核感染症対策室長通知)以来の定期外検診の実施状況に関する資料やその後の集団感染対策事例の分析に基づいて「保健所における結核対策強化の手引き」の検討資料を作成した。
②結核院内感染予防に関する研究、については、最近の国内での発生事例とその対応に関する資料、昨年度までの新興再興感染症研究(森班)の調査成績、米国における対策関連文書などをもとに「結核院内(施設内)感染予防の手引き」の検討資料を作成した。
これらの検討資料は、研究協力者(全国の結核専門施設、保健所、医師団体の有識者合計18人)の数次にわたる検討と連絡を経てコンセンサスを形成し、最終的に同名の報告書としてまとめた。
結果と考察
各分担課題の結果と考察は以下の通りである。
①定期外健康診断、③積極的疫学調査については、今後定期外健康診断は積極的疫学調査活動としての位置づけを重視する必要があり、またそのための保健所における結核対策の強化が必要なことが確認されたので、これをまとめて「保健所における結核対策強化の手引き」として報告書とした。現行の「定期外健康診断ガイドライン」と比して、接触状況のより具体的な把握と弾力的な対応(家族のみに限定しない対応など)、検診を進めるに当たっての人権への配慮、保健所の責任などを明確にした。また保健所の結核対策の強化に関しては、市町村・事業所などの関連機関への支援・連携の重要性を指摘し、その中で積極的疫学調査を進めるべきことを強調した。
②院内感染予防体制については、医療施設のみならず老人福祉関連施設においても同様の対応が重要と考えられた。このような施設内での結核感染・発病に関する基礎知識を整理し、管理的(管理体制、健康管理、教育など)、衛生工学的(環境整備)および個人防衛的な対策について具体的なあり方を述べた。
結論
報告書①「結核院内(施設内)感染防止の手引き」、②「保健所における結核対策強化の手引き」はいずれも日本の結核対策の現場において、それぞれの問題への対策の基本的なガイドラインとして利用される。①は日本では初めて出される包括的な院内(施設内)の結核感染防止の技術的な基準であり、また②は現行結核定期外健康診断ガイドライン(平成4年結核感染症対策室長通知)を補完、更新するものである。これらはともに厚生省ホームページに収載され、また関連方面に周知された。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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