小児難病又は小児慢性疾患の効果的療育支援及び治療法に関する研究

文献情報

文献番号
199900309A
報告書区分
総括
研究課題名
小児難病又は小児慢性疾患の効果的療育支援及び治療法に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成11(1999)年度
研究代表者(所属機関)
城 良二(心身障害児総合医療療育センター)
研究分担者(所属機関)
  • 佐々木鐵人(北海道立心身障害者総合相談所)
  • 荻野利彦(山形大学医学部)
  • 本間政文(新潟県はまぐみ小児療育センター)
  • 安井夏生(大阪大学医学部)
  • 野口康夫(九州大学医学部)
研究区分
厚生科学研究費補助金 総合的プロジェクト研究分野 子ども家庭総合研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
平成12(2000)年度
研究費
3,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
骨系統疾患は、先天的あるいは後天的な骨・軟骨の形成・発育異常による全身骨格の形態的・構造的異常を呈する疾患で、発生頻度が明確でなく、さらに生活実態が不明なことが多い。そこで本研究の主たる目的は、骨系統疾患の疫学調査および実態調査である。
研究方法
骨系統疾患の内、比較的頻度の高い骨形成不全症、軟骨無形成症、軟骨低形成症、致死性異形成症、ムコ多糖症につき全国の小児学会臨床研修病院などを通じ最近5年間の患者出生数調査を行った
結果と考察
950病院中490病院から回答を得た(回収率51.5%)。うち症例な医病院が386 (78.7%)、症例のある病院が104 (21.2%)、症例の総数は203例で
骨形成不全症81例、軟骨無形成症80例、軟骨低形成症19例、致死性異形成症16例、ムコ多糖症7例であった。
骨形成不全症では、年平均16.2例の出生があった。軟骨無形成症では、1995年から1998年までは16または17例であったが、1999年では12例に減少した。軟骨低形成症では、1995年から1998年までは3ないし5例あったが、1999年はなかった。致死性異形成症では1ないし5例、年平均3.2例であった。ムコ多糖症は、1995年から1997年までは1ないし3例あったが、1998年および1999年にはなかった。出生1万に対する出生有病率は、骨形成不全症が0.132、軟骨無形成症0.140、軟骨低形成症0.036、致死性異形成症0.029、ムコ多糖症0.015であった。死亡症例は、致死性異形成症13例、軟骨無形成症1例、骨形成不全症10例であった。
今回の調査では、アンケートを発送した病院を、日本小児科学会臨床研修病院および医療情報データーベースから選択したため、小規模病院や診療所などは含まれず、全ての医療機関を網羅してはいない。しかし、本疾患が比較的稀で診断治療に専門性が必要であることから、患者は専門性の高い病院に集中すると推測した。実際、複数の症例を有する病院は、大学病院、小児病院、肢体不自由施設などであった。各疾患の出生有病率は、南米、イタリア、スペインにおけるコホート調査に数値より低値であった。このように有病率が低く見積もられる要因として、1)アンケートの回収率、2)疾患の診断が困難、3)患者が医療機関を受診しない、4) 発症が遅い場合などが考えられる。例えば、骨形成不全症のI型の比較的軽症例や軟骨低形成症では、幼児期ほとんど無症状で、学童期の骨折で診断される場合がある。一方、新生児期致死性の骨形成不全症のII型や致死性異形成症では、診断がつかないまま死亡している場合も予測される。したがって、実際の有病率は、算出値よりかなり高く、2倍以上と推測される。
結論
出生1万に対する出生有病率は、骨形成不全症が0.132、軟骨無形成症0.140、軟骨低形成症0.036、致死性異形成症0.029、ムコ多糖症0.015であった。

公開日・更新日

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更新日
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